焚火
石瀬琳々

どこかで焚火が燃えている
誰もいないのに火の粉が爆ぜる
その色を知る事が出来ただろうか
その熱を感じる事が出来ただろうか


今しがた誰が手折ったのだろう
一輪の薔薇が土にまみれて転がっている
(ソノ色ヲ知ル事ガ出来タダロウカ)
赤、白、否、私を嫉妬させるあれは黄の色
その鮮やかさだけが光と影の中で
私を射抜く 痛いほどまっすぐに


どこかで焚火が燃えている
その前に倒れ伏している美しい女
あるいはどこかで出会った私の少年
この目をとらえてはなさない血の唇よ




自由詩 焚火 Copyright 石瀬琳々 2009-04-22 13:49:24
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