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青い川の写真をみた
あなたの引き出しにこっそり隠してあった
どこに流れているのかわからない
冷たい夜明けの川だ
(どこか遠くでそれとも耳元で汽笛が聴こえた気がして)
あなたは ....
振り向くと、
肩先をかすめて飛んでいった
風のまにまに光って小さきもの
僕をもう追い越して それは八月のまばゆい光のなかへ
ドラゴンフライ
そのうすい羽の向こうに少女が見える ....
草原の彼方にあなたを見た
昨日の夢のように意味もなさずに
草の葉だけが知っているこの遠い既視
足もとがおぼつかなくなる
一羽の鳥が飛び立って空は青く
(わたしは行方知れずの夢 ....
あの月をおぼえている
かつて輝いた太陽を知っている
その手に触れたものも
触れ得なかったものもぜんぶ
それは、
緑陰にそっと揺れていた
真昼のしんとした光を浴びて
それは、
あ ....
まっさらな春の手紙を開封す花びらこぼれていちめんの花
雨のように心は君をおぼえてるインクのにじみ幾度もなぞり
桜闇何を待ちわびあの日からかごめかごめの輪のなかにいる
雨で ....
なつかしい声がする
し、と、す、のあいだ
あなたが人差し指で押さえた
かすかなつぶやきのように
わたしの中で目覚める
し、と、す、のあいだ
声にならない言葉があふれて
あとからあ ....
夜のように黒いギター
男の心は弦のように震えている
お前を求める狂おしさに
かき鳴らす指は赤い血でにじんだ
男の心は届いているか
男の歌はお前に響いているか
闇のように黒いギター
....
ほらこんな風に
指と指で窓をつくる
その空間に映し出されるのは
きっといつか見た事のある
冷たく水を{ルビ湛=たた}えた青い空
耳をそばだてて そして
聞くのはなつかしい声
冬から冬へと ....
放課後のプールサイドに一人きり石を投げれば割れる太陽
まだ細い腕もいつかはヘラクレス鏡にうつる半裸少年
肝だめし墓場を歩く君とぼく怖くないよと結ぶゆびさき
花火あがる綿菓 ....
何度でも愛しているとくり返す
雨打つ窓にムスカリ蒼く