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増水の ために
すっかり 荒れはてて しまった
堤の かよって ゆく なかを
猫じゃらしを 噛み ながら
草ひばりの 音が ほそぼそと つづく
すすき野原を ....
まどろみを さめたり もぐったり
白日の 季節の かいなの なか
体力は うばわれ
けだるさに 眠って
窓を 吹いて くる
れもんの 風との トランスファー ....
高層_ 大理石建築の なかで なつかしい
( いまは、どこのひとなのだろう? )
ウオシゲに あった
かれは 色の 白い きれいな 顔を して
シャープな フレーム ....
クリスタルの ボールが 放られると
ぼくらの ふたつの 土地や からだに
いのちに 焼かれた 対話が かがやいた
放擲 された ボールには ふらふら 泳ぐ
天の 子 ....
曇った 庭の かたすみ に
そんな 便りが ある
二季を 過ぎて きた 冬の 朝顔が
ア・カペラを 一輪 ふるえて
白さに ひらかれた 暗さの 土地で
無伴奏( ....
見えては いなかった...
かっこうの 産声が 森を 編み
絹糸を 伸ばして 進み ながら あおいで いた
どうしようもなく あかるい 双眸の 記憶の 波が
茫漠とした ....
にわか雨は 去り 桜草の 露の うすももいろに
ぼくは きょうを 生い 立って ゆく
( 撒き 散らされたんだ )
それは ブリリアントに かがやいて
偶成の 初夏 ....
病窓の 最後の 一枚の 葉っぱ
とは ちがう 美しい まだらな 編み物の
精緻な 空間が 午前の ひかりの なかで
なごやかな シラブルに 響くのを とおく 聞いた
....