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耳元で囁く日常
猫がじっと目を凝らして
僕の眼をのぞき込む
だらだら歩いていた日常が
突然両手を上げて走りだす。
平穏に不満を述べている日常が走りだす。
大声を上げて

テレビの事件が ....
病棟の面談室で
並んで座った僕と君は
三五年前と同じで
とりとめもないことを話す

天井は低く殺風景な面談室
飾るものは作者不詳の風景画
部屋の隅のテーブルでは
患者を囲んだ四人がひそ ....

曇り空の夕暮れは
町を朱く染めることも無く
夜の闇が次第に
足元に絡みつく

足取りは重く
暗がりの多くなった街を
抜け出せることもなく
赤い提灯の灯りを頼りに
居酒屋の縄のれ ....
 道端に 老いを養ふ あせびかな こぬか雨骨にしみいる寒さかな

春の雨歩みは遅く花遠く

想ふても雨に流され春の宵
手賀沼やキラリ水面に春来たり

菜の花や見舞いの窓に陽の光
遠い昔の冬景色
吹雪いた白い彼方から
蒸気機関の汽笛音
ポッポーと遠く聞こます。
白い息を吐きながら
走行する機関車の車輪の音(ね)

今、眼の前の雪景色
儚く消え去る場違いな
音無 ....
中二階の六畳間で
タンスの上の黒猫が奇妙なことをする。
長い舌を出しながら
タンスの上を転げ回るのだ。
そして突然畳の上に下りてきて
俺の目の前で長い舌を出し入れする
じっと俺の目を見つめ ....
物語に参加している僕は
確かに主人公ではない。
何かが主人公の物語に参加しているようで
何が主人公なのかとんと分からない。

夕闇の迫った黒い森の周辺を
朱色の夕焼けを背景にした
黒い鴉 ....
今でも夢に見る

北斜面の崖
なだらかな傾きの崖

崖の上のお屋敷の、
裏手の急斜面から
空に舞い上がる自分を

空は樹木に隠れて半分
空は現実に隠され半分
半分の空に半分の自由 ....
冬の下総台地の端に
小さな家一軒
剥き出しの枝と幹だけの
梨畑の中に
小さな家一軒

落葉高木の梨の樹
畑の樹は灌木のようで
海軍レーダーのように
針金が渡されている

白い季節 ....
ほんの数十年前
空がピンク色に染まった夜の日々
凜として生きていた正義の味方

正義の味方は美しく
正義の味方は気高く
正義の味方は清々しく

誰から後ろ指をさされることもなく
 ....
かんかん光る
かんかん踏切
かんかん降りる遮断機の
かんかん赤い光の点滅

その先線路を
飛んで行く
暗闇の中
急行電車が
飛んでゆく。

かんかん手を振る二歳の息子
電車を見 ....
白菜で一本つける宵の口

鍋囲む湯気の向こうに赭ら顔

年の瀬や首すくめたる曇り空
君は最近歌を口ずさむ
歩いてきた距離は途方もなく長く、
希望を持って歩いてきたけれど
どうにもうまく行かないことが多くて
それでも前だけ向いて歩いてきた

君の歩いている道は
君が望んだ ....
今さら遅いと思います。

最後の話は

富ヶ谷の空
まぁるく描かれた
ジェットの雲
五色の輪のことでした

その話をした刹那

一〇歳の僕は
テレビから飛び出して
庭に駆け下 ....
表情の少ない
甥と姪が泣いている
眼を腫らしてはにかんでいる

泣くことなど想像もつかなかった
山男の義兄が
もう少し生きて欲しかったと泣いている

葬儀の場は
涙の大きなプールで
 ....
いつも言葉の足りない弟は
最後の別れの時も
死に顔を見ては泣き
姉の最後の痛みを知っては泣き

もう何の組み立てもなく
嗚咽しているだけの
図体ばかりが大きな
巨大な涙袋と
なってし ....
南から風

そのあと

風が空を押し上げて
秋の空が高くなる

その高い空の下
     山は赤く
     地は黄金(こがね)
     輝く色のグラデぇーション
実りの時を触 ....
私は融ける
部屋の中で
残暑の厳しい光を避けて

私は融ける
一間の部屋で
秋まだ来ない熱風を避け

私は融ける
部屋の布団で
隣に寝ている妻に背を向け

私は融ける
八月の ....
高層ビルの一角に再現された空中庭園
そこに残ったのはサクラの樹一本
話が違う。
そこの地べたにはかつて公園があった。

今日(いま)
ベンチに腰掛ける老人はもういない。
ラジオ体操をする ....
池の縁
額紫陽花の青い花片
咲き誇る菖蒲の盛り過ぎ
梅雨晴れの中 君と歩く

池の中
花睡蓮の白い蕾
亀の波紋と蛙の声
梅雨晴れの池の縁 君と歩く

去年の今頃も二人訪れた
城址 ....
さて また、あのすすり泣き
深夜不気味な静寂と
心の中を踏みにじる
遠吠えのような鳴き声と
嗚咽を漏らしたすすり泣き

寝静まった街の中
街路樹に風
   風だけがざわざわと
聞 ....
途中で途切れた時刻表は
遠い昔に自分で書こうとして
そのまま諦め
しまい込んだものです。

今引き出しの中で見つけ出し
ボロボロになった時刻表を
膝において眺めていると
随分、発車時刻 ....
簾越しに夏の太陽

舗装されていない通りの先

木造の橋をトコトコ渡る

爺一人

手ぬぐいを首に巻き

麦わら帽

やぁと挙げた掌に

いくらか赤みを帯びた顔の皺

 ....
手賀沼の畔

今、道の駅があるあたり

河童が一匹人を待つ

臆病河童の三太郎

道祖神の裏に隠れて人を待つ

手賀沼の畔

大きな椨(たぶのき)の影で

臆病河童の三太郎 ....
絵画空間
言葉による現実認識
目の当たりにする現実の
非現実的な風景

土台が剥き出しの広大な廃墟
コンクリートの心象の
風景と言うには殺風景
埃にまみれた野草が茫茫
土埃の薄くかか ....
埃っぽい倉庫街の一角
赤煉瓦造りの古風な倉庫
その中で熱心に壁の穴を覗く者
それは老人だった
グレーの草臥れたジャケットを着た
老人だった
櫛の通っていない白髪の
老人だった

老人 ....
春うらら梅香る城散歩猫

昼寝猫はなさき薫る梅一輪

黒猫が丸く膨らむ春うらら

黒猫や背に梅の香を漂わせ

励ます誰かの言葉より
一緒に歩く仲間になろう
哀しみ哀れむ涙より
心に響く歌声が
砕けた心を蘇らせる

失ったことを忘れないこと
それと同じくらいのこと
これから何かを求めるため
進 ....
未有花さんの……とある蛙さんおすすめリスト(129)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
非日常- ……とあ ...自由詩15*14-5-16
面談室- ……とあ ...自由詩20*14-5-12
居酒屋幽霊- ……とあ ...自由詩11*14-5-8
早春- ……とあ ...俳句6*14-4-18
雨三句- ……とあ ...俳句8*14-3-31
春二題- ……とあ ...俳句10*14-3-25
雪・松戸- ……とあ ...自由詩9*14-3-11
中二階の黒猫- ……とあ ...自由詩18*14-3-7
物語- ……とあ ...自由詩7*14-3-2
空と自由- ……とあ ...自由詩12*14-2-24
梨畑- ……とあ ...自由詩14*14-2-14
蛙の快楽- ……とあ ...自由詩14+*14-2-4
踏切- ……とあ ...自由詩22*14-1-22
冬三題- ……とあ ...俳句4*14-1-4
君の歌- ……とあ ...自由詩21*13-12-12
五輪−姉弟おしまい- ……とあ ...自由詩12*13-11-27
葬式- ……とあ ...自由詩22*13-11-19
別れー姉弟3- ……とあ ...自由詩11*13-11-13
あきから- ……とあ ...自由詩14*13-10-29
不定型な夏- ……とあ ...自由詩8*13-8-28
跡地- ……とあ ...自由詩9*13-7-30
梅雨晴れ- ……とあ ...自由詩13*13-7-1
余命- ……とあ ...自由詩13*13-6-26
時刻表- ……とあ ...自由詩9*13-6-19
木の橋- ……とあ ...自由詩14*13-6-11
河童のおはなし- ……とあ ...自由詩14*13-5-30
抽象画- ……とあ ...自由詩9*13-5-2
壁の穴- ……とあ ...自由詩11*13-4-8
猫しだい- ……とあ ...俳句8*13-3-18
応援歌- ……とあ ...自由詩15*13-2-28

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