抽象画
……とある蛙

絵画空間
言葉による現実認識
目の当たりにする現実の
非現実的な風景

土台が剥き出しの広大な廃墟
コンクリートの心象の
風景と言うには殺風景
埃にまみれた野草が茫茫
土埃の薄くかかったアスファルト
その脇に生えている茫茫

ほんの二年ちょっと前には見えなかった海が
随分と近くに迫っている
またあの堤防を越えてくる
盛り上がる巨大な水生生物
潮風が直接生き物の顔面に
容赦なく叩きつける街

猫が一匹 犬が二匹 親父が三人
他に歩く影もなく
今、初夏を迎えようとしている
広場と言えば全て広場なのだが
広場に漁船一艘、乗用自動車一台

鴎が宙を舞う街に
あてなく彷徨う生き物六個
いつまで続く空虚な時間
いつまで続く自然の爪痕
ほんにシュールな現実の空間



景気が良くなるんだってさ
だってものが高く売れるんだ


自由詩 抽象画 Copyright ……とある蛙 2013-05-02 16:33:20
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