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閉め切った部屋の窓硝子の温度差
水滴によって曇っている硝子表面
外界の寒さと此処は無縁の筈だが
独り曇った硝子窓を見つめている自分は
一匹の黒猫だ

雌なのか雄なのか去勢されてから
噸( ....
年に一度お楽しみ
村の外れの野っ原に
大きなテントが出現し、
チンドン屋が触れ回る


さぁさサーカスが始まるよぅ
このサーカスは面白いよぅ
そこいらのサーカスとはチと違う
空中ブラ ....
雪が朝から降っている
景色の輪郭を消しながら
道路の染みを消しながら
隣の境を消しながら

雪が一日降っている
人の予定を消しながら
人の日常を消しながら
人の時間を消しながら

 ....
夕陽のあたる夕暮れの
古いレンガの倉庫街
漂うあの歌 あのメロディーは
港の悲しいエレジーで
昔の俺(おいら)の子守歌

港近くの襤褸アパートで
親父も知らずに育った俺(おいら)
酒場 ....
時間を掴み取って宝箱に仕舞っておけるのなら
僕は、初めて君と会ったあの古ぼけた体育館の片隅で
君に卓球をやろうと声を掛け、ガムをあげた
あの時間をそのまま宝箱に入れよう。
あの時の気分あの時の ....
秋深しとっとと黒猫歩きけり

紅葉舞う掌の中のぞくはてな猫

落ち葉踏み尻尾を立てて猫二匹

             蛙
猫は一日
ひがな一日丸くなり
日だまりの中で丸くなり
屋根の上で丸くなり
塀の縁でも丸くなり
玄関口で丸くなり
自動車の下でも丸くなり、
部屋の温もりに丸くなり
タンスの上で丸くな ....
また、夏が
また、あの光景が見えて来る
田圃の畦道を
母と一緒に歩いている
手を繋いで歩いていく

畦道の陽射しは強く
麦わら帽子の隙間から
頭髪の汗をさす
揺らめく道端
青い稲
 ....
刈り入れ後の田圃
夕暮れ時に老婆一人
誰かを呼んでいる。
腰は幾分曲り膝に手を当てて
前を向き誰かを呼んでいる
視線の先には白い犬が一匹
老婆に向かって息せき切って走っている
懸命に走っ ....
夏の始まり
山へ向かって
坂を駆け上がり
坂の上の神社から
振りかえった僕の目の前には
静かな港の防波堤の内側
鏡のような水面が見え
防波堤の外側には大きな青い海が広がる
水平線に見え ....
客車の窓から外を見て
景色が後ろへ飛んで行く

しゅっしゅらしゅっしゅ
しゅらしゅっしゅっしゅ


山は青から朱に変わり、
不気味な道が這い回る。

しゅっしゅらしゅっしゅ
しゅ ....
街の底の暗がりに
今日もジッと上目遣い
月の光の届かない
煉瓦倉庫の一角で
人を脅す生業(なりわい)の
舌なめずりで誇りもなく
動くことすら億劫で
知性の欠片は今何処
物欲食欲性欲と
 ....
二人で歩く梅林は
さくら咲く前 城跡の
猫に導かれて 迷い道
そこだけ陽射しが春めいている

その梅林に入る前
道端を歩く猫を見つけ
その痩せた背を撫で、餌をやり、
猫の道辿り 梅林へ ....
 しかし、啓示を受けたのだ。山の彼方へ行くように。地平線へ。





俺という人嫌いは
背中にうっすらとした毛が生え
頭部には後光が輝くよう
髪が一部欠落している。

歩き出し ....
朝の微睡みの中
腹に行儀良く座っている黒猫
薄く開けた眼の先には
彼女の瞳がある
夢と現うつつを行き来するうち
そのまま抜け出した僕の意識は
彼女の瞳の中に落下する
真夜中のコンビニの中
街は冷たい雨が降っている
どこかへ行くあての無い二人が
仕事を終えて会う約束の場所

外はどこも冷たい雨が降り
二人の居場所はどこにも無い
ただ暗闇の中にぼぉー ....
闇夜の風景の中
自分が生まれて初めて見た月光は
生家の隣の空き地に聳える
土手の上の屋敷の樹々
梢の葉の茂る隙間から
サーチライトのように照らされた
幼い自分の心臓を鷲掴みにす ....
寒気のする空気を切り裂く
垂直のシルクスクリーンの像
空間と平面の狭間に
ポツンと取り残された縁
アブダビの呪文に囚われた
寒冷砂漠の隊商の
砂の丘から望む
深い藍色の地溝に
蠢いてい ....
飼っていた黒猫が突然行方不明
家の玄関の鍵は掛けていた
どこか窓が開いていたのか
窓から見える風景は
空っ風舞う冬景色
街路樹の葉はあらかた落ちてしまい
魚の骨の並木道

ふと見る ....
? 

玄関扉を開け左壁面 家で一番大きな鏡がある。
その鏡は 不可能な空間ではないが、出入りする者の体全体を映すだけでなく、家全体を裏返す。

鏡の中に空間があるのだが、その空間に誰かが住 ....
彼は誰時の薄明かり
隣のプレデターが覚醒しないよう
そっとエイリアンは飼い猫に朝の挨拶を済ます
飼い猫は小さな赤い口を開け
小声でキュアと鳴く
彼女もプレデターは怖いのだ

食い扶持目当 ....
誰もいない六畳間
頬を畳にくっつけて
夏休みも終わりの午後
八歳の僕は昼寝する

風が簾を通して頬を撫ぜる
うつらうつらしている僕の眼の先には
隣の部屋でミシンを踏む
母の姿がぼんやり ....
猫 呑気にたんすの上
バスケットの縁に首をのせ
顔だけ見せてご挨拶
声にならない鳴き声で

名前を呼ぶとニャンと鳴く
小さな口でニャンと鳴く
小さな声でニャンと鳴く

今日も呑気の ....
雨が静かに降っている。
この悲しみを流せるか
悲しみすべて流せるか

雨がしとしと降っている。
この嘆きを流せるか
嘆きをすべて流せるか

雨がひたひた降っている
この苦しみを流せる ....
岬の突端にある一本杉
その根元には猫の額ほどの草原が
崖下に望める港町は
なだらかな坂のある町で
火の見櫓以外高い建物もなく
斜面にへばりついた小さな
小さな灰色の箱の集落

漁船が停 ....
岬の突端にある一本杉
その根元に猫の額ほどの草原
崖下に望める港町は
なだらかな坂のある町で
火の見櫓以外高い建物もなく
斜面にへばりついた
小さな小さな灰色の箱の集落

漁船が停 ....
(猫)
  おれが歩き始めた港町
 鴎が去って、鴉だけがうようよいる
 古臭い歌しか唄わない詩人たちが
 古臭いことこそ正しいことだと
 言わんばかりにおれたちの居場所で寛いでいやがる。
 ....
前の街で
俺は淫売宿のいかがわしい玄関口で
夕立に打たれて濡れながら歪んだ
恐ろしいほどの雷は
地上の何物かを鷲掴みにしようと
空から腕を突っ込むが
本当に一握りの無辜の生命を食い物にした ....
アンカーに係留されている大型船
岸壁の縁に並んでいるビット
その上に座り俺をじっと見ている猫は
俺を町中からここまで連れてきた。
俺は猫に話しかけた。
ポケットから取り出した小さな煮干し呉れ ....
跛(びっこ)をひいた男が独り
本屋の軒先を横切る
そこが本屋の軒先であることなど
全く意にも介さず

杖をついた老人が本屋の中から出てくる。
一冊の本を購入するでもなく
じっくりと日課の ....
未有花さんの……とある蛙さんおすすめリスト(129)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
窓際の猫- ……とあ ...自由詩9*13-2-19
サーカスのおはなし- ……とあ ...自由詩12*13-1-18
雪が降る日- ……とあ ...自由詩18*13-1-14
エレジー- ……とあ ...自由詩8*13-1-5
時間の感触- ……とあ ...自由詩18*12-11-28
猫三題- ……とあ ...俳句7*12-11-20
猫の日課- ……とあ ...自由詩12*12-9-28
夏休み- ……とあ ...自由詩17*12-8-1
おふくろの風景- ……とあ ...自由詩17*12-7-12
港の絵日記- ……とあ ...自由詩13*12-7-5
汽車の車窓から- ……とあ ...自由詩10*12-6-26
あんこう鍋/あんこう節- ……とあ ...自由詩14*12-4-19
梅林- ……とあ ...自由詩12*12-3-27
時計のない部屋- ……とあ ...自由詩13+*12-3-22
微睡(まどろ)み- ……とあ ...自由詩12*12-3-16
冷たい雨- ……とあ ...自由詩10*12-3-14
月光- ……とあ ...自由詩22*12-3-8
砂漠- ……とあ ...自由詩6*12-3-5
鏡の中の猫- ……とあ ...自由詩24*12-2-2
- ……とあ ...自由詩18*12-1-11
彼は誰時(かわだれどき)のエイリアン- ……とあ ...自由詩12*12-1-6
昼寝の思い出- ……とあ ...自由詩10*11-11-19
猫と昼寝- ……とあ ...自由詩1211-11-13
雨の唄- ……とあ ...自由詩711-10-11
野良猫あるいはルンペン(全)- ……とあ ...自由詩811-10-2
野良猫その0- ……とあ ...自由詩7*11-9-3
野良猫その4- ……とあ ...自由詩611-8-30
履歴_ー野良猫3・5ー- ……とあ ...自由詩10*11-8-9
ダイアローグ_ー野良猫その3ー- ……とあ ...自由詩911-8-8
頑固堂書店購買部- ……とあ ...自由詩13+*11-7-27

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