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彼女からの手紙が
炊飯器の中で見つかった
もう
ほっかほかの
ぐっちゃぐちゃで
炊きたてのご飯はうっすら黒く
食べると微妙にインクの味がする
時おりぐにゃりと繊維をかんだりもする ....
一日じゅう
好きなことだけをして過ごした
だれとも会話をしなかった
台所に寝そべって本を読んだ
お風呂の窓を全開にして四回入った
泣いた
難攻不落の坂道を自転車で登りきった
技術の限 ....
夏に捨てられた蝶が
ひらひらと自転車の前輪に身を投げようとしている
これ以上ペダルを重くしないでおくれ と
黄色いはねをかわす
崩れそうな空
地響き
空鳴り
....
舞台の中央には透明な攪拌機がありまして
僕によく似たピエロが登場します
ピエロは無言で虚空を凝視めると
両手をひらひらさせて様々な八月を取り出します
粗末なリュックに詰め込んだサツマ芋 ....
高校時代といえば
一九五三年 一五歳から
一九五六年 一八歳までのたったの三年間なのに
そこには僕のカオス 大袈裟にいえば
天地創造の混沌があった
頭の中は吉川英治から太宰治へと
....
いきなり
目の前に飛び込んできたのは
黄色い蝶です
秋に向かって明け放れた
私の窓から
季節なんてと
挑戦状をたたきつけて
不敵にヒラヒラ舞っています
私だって
この生にバン ....
流されるように
従ってきた
働くとは
こういうものかと
思ってきたが
部品はいつか壊れるように
許容量にも
限界がある
出張先から
帰ってきての
報告で
笑いながら
居てもいな ....
大橋川近くの酒場で
降る雪を
窓越しに見ていた
街灯の灯りの向こうを
大きな海亀の甲羅が流れていった
哄笑と囁き
古いジャズのスイング
青いソフトに降る雪は・・・
触れ合うコップの ....
膨らんでしまった
地球の半分の大きさになった
わき腹に インドネシアがささるし
南アフリカからドイツまで腕をのばすと
陽が射さないと 苦情がくる
こんなに大きくなったのに
考えるの ....
締め切った部屋
風のない時間
友達の彼女の前髪が
ゆらゆらと
そよいでいる
本能と言ってしまえば
あまりにも簡単で
あまりに悲しすぎ
なにか意味が欲しくて
新しい名前を探してみる ....
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