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長雨が降りしきる
深い森と濃い霧に
おおわれる
絶海の孤島に
もう遠い昔
誰も知らない
猫たちと
鳥たちが住まう
千年杉がありました

樹齢千年を超えて
鳥たちがさえずる
杉の ....
純白の雲から
いつか夏の終わり
銀色に耀く雨粒となって
熟れた小さな果実のように
堕ちていったBluesky
なくしていた蒼い傘が
見つかりました

遠く霞む
紅にたたずむ山脈の
 ....
やや乾いた
風がない
夜空のなかで
Schubertの楽譜から
不思議な音が響く
一瞬のあいだに
戦争写真家が撮影した
たった一枚の写真が伝える
真実みたいに
部屋中に澄みわたる
 ....
星がない夜空で
遠く昔に君が歩いたはずの
もう見えない足跡でさえも
まだアスファルトには
小さな熱としてこもっていて

切ない夏の夜に
孤独な月が隠れながら
白夜について
君のとても ....
真夏の彼方から
静かな夜空へと手前に延びる
扉を開けると
独り涙に濡れている君がいた

ぽろぽろ汗を流しながら
仕事から帰り着いたばかり
ずっと一緒に生きていこうと
伝えた僕は
花瓶 ....
寿退社する君へと
パッションフルーツを
プレゼントする昨日
月末に送別会があるようで
退社するときに演説する
練習をまたしている

揺りかごから
墓場までと云う言葉を
知っている?と ....
僕が使徒を引き連れて
詩を書き始めるきっかけは
十九歳の夏
或る女との
一方的な
失恋の果てにある

契約までかわすこと
になったのは
その歳の秋頃だろう
なぜか失意のうちに
幻 ....
ほとんどの恋とは、
心にだけ映っていて視ることはできない
約束された秘密の世界のことであったなら、
それから、あらゆる愛とは、
はっきりと形がある存在であって、
与えることも与えられることも ....
雨降りから
こっそり逃れるために
少しずつ歩く
小さな黒猫には
首輪もないので
名前もないだろう

彩りある
小さな傘がたくさん
水たまりの
近くにあって
バス停で
トロリーバ ....
深い霧のように
飛沫をあげる
たくさんの雨粒は
花柄の傘が雨をはじく
音が聴こえるあいだに
仕事帰り乙女の
世界を群青色へと
静かに揺らぎながら
変える

遅めの夕食を終えて
す ....
だいぶん昔の
ことだけれども
てとてのしわとしわを合わせて、
しあわせ、
なーむーと合掌するという
葬儀屋のTVのCMが
流行っていた

しあわせとは
もっと違うものだと
感じた僕 ....
きっと初めから
死を覚悟して恋をしていた

随分前のことだけれど
彼女から
死にたいのだと
こっそりと
打ち明けられたことがあった

どんなに哀しくても
明るく振舞う
気立てのい ....
約束の
場所へと
続く道で
恋する自転車を
旅のために
丘を越えて
君へとこいでいく

暗がりを
ヘッドランプで
照らして
今という瞬間は
手のひらのなかで
ぎゅっと
握ら ....
担架の中で目を覚ます
運ばれる直前の
記憶が定かではない
どこで何をしていたのか
今日がいつなのか
答えられない
なぜかはわからない

倒れるということは
命のともし火が消える
手 ....
光が少ししか
届かずに
かすかに耀く
とても小さな
砂漠だけの星へと
旅行をする
少女を描く
ある絵本を作ろうとする
少年がいるのでした

はるか彼方の銀河への旅を
描いた絵本を ....
晴れわたった休日の朝に
僕にとっては
世界で一番優しいのは
君だけだよと
伝えたのだけれど
宇宙で一番優しいはずだと
言ってくれた年上の彼女に
僕がもし火星人と
浮気をしたらどうする? ....
初夏の月から
降りそそぐ
その耀く光だけではなくて
少しずつ零れる
綺麗事のような陰は
どこまでも柔らかくて
穏やかな音色がする

夜空のずっと西にある街には
月の光は差し込まない
 ....
世界のずっと東にある農村では
もっと西の都会よりも早く
夜明けが始まっているはずなのに
朝を待ち続ける
不思議な潅木がある

          新緑が芽吹く軟らかい音が聴こえる
    ....
気まぐれな嵐は
ときおり吹き荒れて
数え切れないほど
散り始める
桜の花びらが
舞い落ちては
ゆったりと流れる
どこかの運河の水面を
どこまでも薄紅色に
染めるように
この春は過ぎ ....
どんな日でも
廻り続ける
人生は
風車を巡る
羽根のように
日はめくるめく

時には
騎士道物語を
読みすぎて
本当と物語の
区別がわからない
竜騎士となって
大空に
翼を ....
ひとつの恋愛が始まると
いくつかの虫歯が
できてしまう

歯医者に行くのを
忘れてしまうこともあるけれども
夜中に眠る前に
歯磨きもせずに
お互いの話をすることに
夢中になってしまっ ....
最近
ユルキャラなる
年をとらないで
人気をとる
命が増殖して
時には人間よりも
元気に活躍している

ここでは新しい
ユルキャラを
企画したい
名前だけは
決まっている
 ....
二十歳になったばかり
一方的な失恋の末
浪人時代の
受験戦争に嫌気がさして
Cigaretteを吸い始めた

カリブ諸島原産のCigaretteは
大航海時代にコロンブスが
率いるアメ ....
彼女が突然
夜食にゆで卵を食べたいと云って
卵をふたつゆでた。
寝そべって
二人でひとつずつ食べながら、
話をする。

彼女には卵の黄身になってくれたら
僕は白身になって君を包みたいと ....
仕事が早めに
終わるときには
少しの安堵を抱くように
同棲は始まっていて
郵便局での仕事がおわって
晴れた日の夕暮に
実家から少し離れた
二人の住まいへと
自転車で走る

なぜか携 ....
夕立は突然やってきて
落雷で鉄道の
運行が遅れている
雨宿りをしながら
駅の改札口で彼女と
待ち合わせをしていて

たくさんの
雨粒のなかには
彼女の残像を映す
きっとひと粒の
 ....
ずいぶん遠くの砂浜には
朝方に打ち寄せる小さな流木が
たくさんありました。
きっと誰かの海辺の
記憶の果てにあるはずです。
どのぐらい時間をかけて
どこから来たのか
わかりません。

 ....
真夏の青空を
吸い込む
くちびるから
生まれる蝶の
羽根の色は
南太平洋の耀く
海の色よりは
ずっと淡く
抜けるような天空の
青空の色に近い

在りし日の情熱からは
傍らで誰か ....
きっと夏の晴れた日の朝には
水を求めて何処かの
乾いた草原で
遊牧民族が
馬や山羊たちとともに
次の場所へと
引越する支度をしている

地球の反対側とつながる
国境の意味が
なくな ....
前略

 朝食に納豆が出てくると君の少年時代のことをいつも思い出します。君は小学生のころ冷静なまなざしで、何についても黙々と何もしゃべらず、周りのことを常に察している性格でしたね。だからかなぜか、 ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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