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(そんな恋)肯きながら何も言えず飲み込む冷めたブラックコーヒー
バスを待つうちから小銭を探してる今もずっと準備している
手放した風船から垂れる糸浮き上がるにつれ役目も消えて
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相手との距離をいちいち測ってるそんな定規、恋にはいらねえ
半目開け寝るクセ笑顔で指摘され治らなくてもいいかと午睡
完熟のすもも真っ赤なジャムにしておまえも染まれと唇にあてる
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もやもやの部屋で
肌をなでる波が
どこからか
どこからも
乱反射して
届いては返す
風のように
耳を目をさらう
探す必要もないみたいに
あなたは届き続けていた
すべらかな感 ....
行儀よく座って
まっすぐ窓の外を見つめると
青みから老成まで
数多の緑点が集まる山並みは
ゆっくりと同じ方向へ
流されてゆく
次の駅では黄色い帽子たちが連なって
せわしなく目の前を泳 ....
たたいても尽きぬ埃で日常にわが身を埋める「砂の女」
めくる字より脳を痺れさせたのは本が吸ったタバコの煙
※「砂の女」安部公房
そのときが来たら
必ずいってしまう
わかっているのに
訪れるのは唐突で
待って、と言って
新芽をのばすのに
青く繁るようにと
その場をゆずられ
未熟な葉桜は枝を
ざわざわとゆらす
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宇宙の一年草
「ネメシアシューティングスター」
画面に映る文字
からうまれたわたしだけの天体空間にあらわれる
きみはまさに綺羅の{ルビ宇宙=スペース}
気のよさそうなお姉さんに紹介される ....
ベッドのへりからあおむけで見つめる
まるい蛍光灯
目を閉じて追いかける残像は
欠けたのか
届かないのか
つながらない輪の形をして
黒の中に赤く燃えて
中も外も見えないほど燃えて
そ ....
牛乳の膜を静かに
針が飛び出しまた潜って
刺繍をクルクル繰り返す
オレンジの軌跡が寄り集まって
丸く浮かぶ
太陽の象徴みたいに
明日になると果汁が染み出し
....
まっすぐ伸びた茎に
まだ開ききらない
若いガーベラ
その素直に親しみ
その芯を持て余した
ガーベラ
まぶたの間に
顕れた苦しみ
黒目を大写しにする
苦い海水のような涙
喉に ....