月光
千波 一也



きのうを飾る
わたしの言葉の裏がわで

だれかの爪が
あしたを研ぎます


 輝こうとする意思は
 ばらばらに統一された
 石として

 きらきら、と
 眠るのです



しまい忘れた
鏡の奥で

炎と土とを
みごもる水は
しずかに毒を清めつつ、

みな
頑なに
壊してゆきます



 慣例という免疫は
 ほろびの音色、

 おそろしく
 美しく

 そそぎます



ふたたび、

ふたたびの上澄みに
取り残されて

夜は
さびしく
溢れてゆきます

ただ、夜を










自由詩 月光 Copyright 千波 一也 2008-09-02 17:44:54
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【月齢の環】