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夕暮れの城
ひかりは厚さを失いはじめひとりまたひとり
公園の砂場から友達がいなくなってゆく
やわらかな指の持ち主を伸びきった影が薙ぐ
夕暮れの城を築く今日の砂が水を失い
ひと葉の小枝を支 ....
嗅ぎ終わり 爪を纏めた 招待状
心さえ 閉ざす余白に 紙の赤
父母は笑む 滂沱鼻水 蠅憩う
祝詞さえ {ルビ手跡=て}に淀ませて 墨もくろ
別れの紀 渡す花束 枯れ ....
指の跡 みじかい文の うらおもて
いまさらの 恋が見えない あぶり出し
ときどきが どきどきするほど わるい恋
初冬というには、カーテンとレースと硝子の温度差の
循環もいまだ緩やかな隙間 立冬の日の深まりらしく
ベランダに出てみれば 秋のつつがない光
唖 唖 そうそろ落陽ですな
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