夜
一羽の鳥が生れる
絶え絶え灯つてゐた
電球の切れた 丁度その辺りに
これからは おまへにだけ見える
明りを頼りに
羽ばたいていくだらう
....
黒い 風船 先の無い ナイフ
老人達が 歩いている
墓を 海に 流し
お呼びが かかるのを 待っているんだ
それでも 俺は 行くんだ
ずっと 向こう さぁ ね 知らないよ
赤い 視 ....
さまたげるものだけが
私を
言葉に向かわせる
たとえば 雨
いつだって
あなたも同じだ
突然
ひょい、と現れて
私が
気にしないで生きようと
思っていた矢先にいつも
嫌い ....
ぼくは詩人
静寂なる空間は心を癒し
癒す心は静寂を創りだす
今日もまた
夜の散歩をしていると
月の光に出会いました
澄みきった夜空に
煌々と輝き
ぼくとぼくの心を照らす ....
窓と壁のはざまから
水のような顔があふれ
外を見もせず消えてゆく
風が光に 光が風に
裏切りの等価を与えるとき
狭いところ
熱いところ
いたらぬ波をくりかえす舌
輪 ....
真昼の公園で木漏れ陽を浴びて
癒える筈のない悲しみのことを考えていた
ときおり吹き抜ける風はすこし熱を帯びて
客待ち顔のアイスクリーム売りの老婆の
麦藁帽子を踊るように撫でてゆく
....
さちからウマレタト笑みが言ったか
ぬかるみにゴミつけたままのゴムで縛った水鞠が
息の年老いたぬるい尾ひれで浮かんでいる
縮こまるよりだるい薄さだ
ついたてのはじまりは気管支の中の蒸 ....
満ちていたものは見えなくなり
いたのかどうかさえわからない
かたちはかたちを保てぬほどに
すばやく色も無くすぎてゆく
影のなかに潜む影から
うつろな虹がさまよい出でて
....
朝が来て目覚めはじめる痛みかな
自分より愚かなものを知らぬ朝
頭から頭をどけて朝を見る
我が願い次の朝陽は含まれず
誰も来ぬ分か ....
緑色に発火した昼が
わたしたちのまだ柔らかな背を滑り落ちたら
全ての事情が濃紺になる川原にて
音が消えてゆく水音の肌寒さでわたしたち
ちょっと強張って、けれどそのこ ....
早朝の
夜が やっと明け始めるころ
眠りから覚めた
鳥たちが挨拶を交わし始めるころ
色白の
肌が青白く影を帯び始めるころ
私は、
私自身の気配にかすかな境界を感じ
縁側でぽつねんと ....
つづくふるえ
つづくからだ
水紋は光に変わり
散ってゆく
何かを燃やす夢からさめて
手は緑にくすぶっている
灰のなかに芽吹くもの
誰が蒔いたか知れぬ影
金の ....
6月4日リアルタイム会議室Aにて。
{dl}
{dt}遊羽 [1:32:31]{dd}けんご→遊羽→片野→oldsoup→あをの→焼石→翔太郎(敬称略)
{dt}けんご [2:05:39]{ ....
とうとう動かなくなってしまった
トパーズ色した わたしの鍵
普段持ち歩いているバッグの中で
かさこそ這いまわりながら
わたしの吐き出す
あのひとへの恨みとか辛みとか
どうしようもない思いを ....
お人形と
お気に入りの
絵本を
雲間で
読み終り
障子に透ける
西日の淡く
映るところへ
夢想の焦点残照と
お散歩?
お部屋をくるぐる旋回
お話をお人形のお早うへ
あな ....
水底に置かれて
屈折した空を見上げては
ただの黒い点となって
あぶくを吐きつづける私は
その蒼に抱かれながら
浄化という名のもとに
この躰を満たしながら
還りましょう 雨に
....
真夜中にはかなく舞い飛ぶ
黒アゲハは暗闇にとけ込んでいなくなった
夢の見過ぎで狂った世界の
中で僕はまた孤独のままで
君が泣いた涙がはじけて
世界に響き渡った
一つ ....
音もなく燃える僕たちに
口はいらない
君を抱くこの腕に
月の光が唄う
始まりも終わりもなく
闇の世界に
ふたり
照らされながら
にわか雨は窓ガラスを叩く激しさで
海辺の汐臭さをわたしの部屋まで連れて来た
波音のひたひた寄せるテーブルで
いつか拾った貝殻の擦れる音色がする
ハンガーにかけたわたしの白いブラウス
温もりの ....
朝の空気の
光に濡れた
清々しい香気に、
私の五感はしとしとと沈み{ルビ水面=みなも}をみあげる重く熟した金属の愁い。
空間をよぎる
不透明な視線は、
無知な陽炎となってさえずり虚空を ....
夜に、わたしは
はしたないほど口を開けますから
どうぞそこから私の中に
入っておいでなさい
内側から私を喰い尽くして
やがて空洞になった私の躰は
それでもまだぬるま湯ほ ....
{引用= あのひとの記憶がしずむ海は、いつしか防砂林で見えなくなった
越えられない高さに、すこし安心した}
砂が、降って
深く深く沈んで 底まで
皮膚 ....
それは言葉にならない思いであった
母は母であった
息子は息子であった
いずれは離れ離れになる定めだった
『ふたりは生き別れる』
それは別段、不幸なことでもなく
いつまでも悔恨に捕らわれるこ ....
もう少しで
ぼくは
ぼくについての無知が
分かりそうな
気がするので
暗やみの中
きみを裸にする
不完全なきみが
ぼくを見ている
不完全なぼくの
わずかな感 ....
白い春の夕暮れ
浅い眩暈が意識を通過する
柔らかな距離がゆるやかに傾き
西に沈む誰かの声 遠い声
傍らの抽斗の中で
淡い儀式の記憶が疼く
それはやはりある春の夕暮れの
古い棟のうらさ ....
花のあるところに 埋まってください
日向の多いところで 眠ってください
淋しくないように 小鳥が好む土地で
粟の穂が 棚引いているような地で
魂だけは 健やかに 休んでいてください
出来 ....
いらないものは消えていく
良いものだけが残っていく
詩もそうだ
ココロに響かない、胸に突き刺さらない、誰も共感しない詩は消えていく
消えていた詩達が今僕の中に入りこんできた
とても哀 ....
振り向いてはなりません
疑問を持ってはなりません
殺せるのなら殺しなさい
失くしたいなら捨てなさい
戻れないなら行きなさい
2人の時間はやがて蜂蜜のように
とろけるける様に零れていく。
今ではもうどちらが火を点けたのか分からない。
静かだが時間は確実に重みを持っていて、
2人に時間という秘密の証を与 ....
その皇子
東へ進軍し
その剣
雲を斬り
丘を割き
沼を埋め
戦に次ぐ戦
謀殺に次ぐ謀殺
返り血の乾く間も無く
川にかかれば妻を売って渡り
海峡にかかれば妻を売って船を買い
船を打 ....
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