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六月の空を見上げると
白い雲が流れていく
「思ひ煩ふな
空飛ぶ鳥を見よ
播かず刈らず蔵に収めず」
人にあい人とかたることにつかれ
郊外の家にひっそりとこもり
目をとじると
さびしそ ....
十九世紀の石造りの建物が
蝟集する街
周囲に広がる田園や川や木々の緑の
歪んだ円形が
豊かにどこまでものびてゆく
牛糞が舞い
排気ガスや人の群れの
めくるめく騒音の海から隔てられて
....
何処か知らない 浜辺
の砂の上に座りこんで ぼんやり
海を眺めていたようで
すぐそこの岩屋の蔭
から蟹が一匹
ちろっと動いた ように感じて
眼を凝らそうとしている
つもりが逃げ ....
フィリッピンの
バタンガス地方
カラカの
小さな漁村が消え
三〇万KW石炭火力発電所 出現
あつい日盛りで
海には風もない
遥かセミララから
ふるぼけた石炭船が着いて
なんに ....
舞台の中央には透明な攪拌機がありまして
僕によく似たピエロが登場します
ピエロは無言で虚空を凝視めると
両手をひらひらさせて様々な八月を取り出します
粗末なリュックに詰め込んだサツマ芋 ....
高校時代といえば
一九五三年 一五歳から
一九五六年 一八歳までのたったの三年間なのに
そこには僕のカオス 大袈裟にいえば
天地創造の混沌があった
頭の中は吉川英治から太宰治へと
....
生まれた街は遥か遠い被膜に遮られ彼方に霞んで
そこに戦火があり七歳の僕は大人たちに囲まれ鉄
路を支える土手に鍋を被せられて伏せ夜空は花火
大会のように明るくて騒がしいその夜焼け失せてし
まった ....
時代遅れの政治家並に肥満して
申し分ない冷暖房付の部屋に
横たわり 詩をつくるその男の 別して
濁った目と憂鬱な顔こそ 思うに
現代詩そのもののありようとは言える。
ありふれた喫茶店の ....
ある日のこと
散歩してると
ふと
ユウコのひとみがかがやいて
つぶやいたのです。
アオゾラニ
ホラ
ハルガヒカッテル
ユウコと
ぼくと
ふふっと
ほほえみあって
うたっ ....
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