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誰かが蝉のようだ
と言った

虹色の6月の間だけ
土中からいでて
短い間にぎやかに鳴いて、次の月にはもういない蝉

そんな儚いものではない

わたし/たちは
わけなく嫌われて
叩 ....
あおい空と山なりに投げられた白いボール
以前、ソフトボールのチームの練習にまぜてもらってたことがあった

わたしはまったくの初心者でバットの握り方も知らなかった
そこは野球をちょっとでも知って ....
こどものころ
朝顔の種をもらった
それは幼くして亡くなった子の
短い間育ててた朝顔がつけた種の系譜で
いのちの大切さが書かれた
小さな紙が同封されていたように思う

朝顔は朝だけ咲く花
 ....
髪に白いものがまじって
目尻に笑い皺ができて
腹がたぬきになって
アッハッハと笑う
陰鬱な17の春にはできなかった溌剌さで

ながく、あまりにながく
春が続き
たくさんの芽がひらくこと ....
もう服を買うな、買うな、と言い聞かせながら
またショッピングサイトを漁ってる

季節の変わり目には
巨大なショッピングモールを足が棒になるまで
ぐるぐるまわるが
どこにもぴったりなやつがな ....
怒りを抱きしめる
しっかりと両の{ルビ腕=かいな}で{ルビ抱=いだ}いて
だれにも盗まれないように

他人の怒りに迂闊に乗っかったりしない
酔っぱらいがハンドルを握る暴走車に乗るのと同じ
 ....
境とは細い線のようなものではなく
どこまでもどこまでも続く長い道のりのどこかにあるまぼろし

どこかで今までの着物を焼き捨てて
河岸を変えなけりゃ
この旅行きは終わりやしないが
そもそもど ....
深い夜やおら身を起こし
冷たい水を求めて蛇口をひねった
それから数週間。
ずっとぽとりぽとりと音がする
蛇口を力いっぱいしめてもしめても
ぽとりぽとりと落ち
滲み出るそれ
どうにもくくれ ....
思い出せないくらい長いあいだ履いていた靴の
ソールがなめらかになり
雨の日にツルツルすべって
ひとりだけ氷の上を歩いているようで
それも悪くはなかったが
いつかは転んで頭を打ちそうと思い
 ....
17時15分、浴室の混雑が落ち着いたころ
Мさんの髪の毛を洗う
独特のウェーブが水をはじくので
シャワーが頭皮に浸透するように
丁寧に指でもむ
濡れた入浴着が脚にまとわりつく

Мさんが ....
印画紙に染みついた影
人生から落とすまいと誓っていたものから
手を離した瞬間を覚えている

何度も何度も反芻する
記憶が消化器官と口内を往復する
輪郭がとけ筋も擦り切れ味もなくなる
そん ....
幼いころ
あした学校が爆発しないかなと思いながら
すべてやり過ごそうとして
石のふりをしていた
すこしのぬくもりもない
割れたばかり
そんな印象の石だ

大人になって
壊れた学校を目 ....
やわらかい布を
やさしい手つきで
そっと顔に
シャンプーのスッとする香りと
頭皮をマッサージする指

うちに来てくれたひとが神妙な顔で言うには
これは訪問入浴の道具と同じものだって
ふ ....
そらはあおい
みんなそういうし
ぼくもそうおもっていた
でも
じっさいよくながめてみると
そらって
あさやけはみかん
くもりはふるいふとんのなかみ
あめはへやのすみのほこり
ゆうぐれ ....
嘔吐物の匂い
リネンの手触り
二日酔いの痛み

神さまが死んだあとに
うまれてしまったので
自分の重みを
神さまとわかちあえない

昨夜
目につく鏡をすべて割ってしまった

や ....
毎日アンパンを食べている
このアンパンはすべての栄養がバランスよく入ってると宣伝されていて
飢えないためだけに食べる

完璧な栄養のアンパン
それを手にしたブラウン管のなかの刑事、張り込みを ....
手のひらですくえるほどの軽さ
ふっと息をかければ羽毛のように
水のようにさらさらと
それくらい
それくらいと言いたいのに

あなたが踏んだ泥は何億年後かにも
化石になって残るだろう
た ....
あなたが天にましますかどうかに興味はない
あなたが起こす地上の奇跡も期待しない
あなたが開いている天上の門もどうでもいい
ただあなたと呼ばれるもの
あなたを呼ばう人の声の
ただくちびるの動き ....
神を探している
渦巻く嵐に仕え
霞に額づき
灰色の聖餐を受ける
そんなことができるような神だ

雪が降るよ
遠く故郷を離れ、胸の中に
あの重い、湿った
削ったばかりの木片のような
 ....
おんなたちがあの崖から飛んだんよ
つぎつぎと
あの美しい波濤に
着物の端が消えてったんよ
おんなたちの背後にはなにがあったんか
なにをおそれて飛んだんか

波間の白い泡
地上では生きれ ....
花の種を植えようよ
そこに種があるかぎり
植えようよ

おおきな水が
うずまく火が
ようしゃない光の炸裂が
通っていったあとの
街の
そのあとの
地面を探して
土があれば
植え ....
走ってる
走ってるよ
ただ走るために走ってる
ああ、明日が追いついてくるよ
影が手を伸ばしてるよ
もっとはやくしなくちゃ
とまったらだめだよ
立ち上がれなくなっちゃう

足がもつれて ....
秋に撒いた種が花を咲かせたか
わたしは知らない
春になる前に去らなくてはいけなかったから
瓦礫のなかに
そっと咲いていたらいい

眠ると亡くなった人に会える
まだ生きているような感じで
 ....
わたしが習ったことのない踊りを
みんなが踊ってる
わたしには聞こえない音楽
踏めないリズムで
ようようと
あたりまえの顔で
大通りで隊列を組み
ひとつの祭りのように

わたしの身体は ....
1台のシーシャのように
同じ味の夢を共有した
あおい煙をくゆらせて
交互にホースを持ち替えて
ぽつりぽつりと交代で話す

夢ってね叶わないんだよね
そんなこともわかる年ごろで

けれ ....
さみしさはすきま
からのポケット
置きざりにされた影

白く柔らかな波で覆い隠し
なにかもみちみちている
そんな人に見えるように
努力している

けれど一分のすきもない人は
これ以 ....
ほしがることがむずかしい
いろいろほしいものがあるのに
舌が糊で貼りついたように
口蓋にくっついて声にできない

夢を語るだけならお金はかからないけど
断裂があちこちにあり
わたしは押し ....
闇のなかへ祈りをポンと放り込む
どこか奥のほうでぱしゃん、と水の音がする

跳ね返ってくるかすかな水音が
応えなのだろう
それを紐解いたりはしないけど


冷える夜に丸くなって眠る
 ....
夢のなかに
大好きだったおじいちゃんがいる
しずかにわたしを見つめている
なにかを言いたくて
なにも言えず
冬は皮膚がかたくなる

さみしさを大切に抱きしめて丸くなる
さむいよ
また ....
なにになるのかわからぬまま
船を漕ぎださなければならない

河岸を変え
肉に刃を入れ
針を刺し
名をあらため
これまでの日誌は燃やした

空は暗く北極星もない
羅針盤はくるくる回り ....
atsuchan69さんの凍湖さんおすすめリスト(33)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
PRIDE- 凍湖自由詩325-7-14
ソフトボール- 凍湖自由詩425-7-14
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長い季節- 凍湖自由詩325-6-26
ファッションモンスター- 凍湖自由詩325-6-15
オパール- 凍湖自由詩5*25-6-14
越境者- 凍湖自由詩325-6-13
滲み出る- 凍湖自由詩4*25-6-9
新しい靴を買いに- 凍湖自由詩425-5-28
それぞれのかたちの- 凍湖自由詩625-5-1
反芻- 凍湖自由詩725-4-28
やわらかい石- 凍湖自由詩4*25-4-7
湯灌- 凍湖自由詩125-4-5
そらはあおい- 凍湖自由詩425-4-3
無痛- 凍湖自由詩625-3-30
アンパン- 凍湖自由詩425-3-24
たましいの重さ- 凍湖自由詩924-12-30
傾きつづける- 凍湖自由詩424-12-28
神を探している- 凍湖自由詩324-12-25
- 凍湖自由詩324-12-5
種を植える- 凍湖自由詩324-11-7
走りつづける- 凍湖自由詩424-10-6
花を渡す- 凍湖自由詩524-9-29
囲まれた時間- 凍湖自由詩324-6-14
煙の味- 凍湖自由詩324-5-22
さみしさはすきま- 凍湖自由詩624-3-30
ほしがること- 凍湖自由詩724-3-30
まどろみ- 凍湖自由詩824-2-3
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