すべてのおすすめ
信号待ちをしていたら
横断歩道を渡っていく
誰かが捨てたビニール袋が
その足をアスファルトにつけたまま
滑るように
ゆっくりと

信号が青に変わる直前
ビニール袋は渡り終えて
私は
 ....
初冬の光は
ちょっとあたたかで優しい

川のほとりで
すすきが日光浴している

若いすすきは
つややかな穂先をしならせて
本当の冬を迎えうつにあたり
どう生きていこうかって
ささや ....
ぐるりとしつらえられた
アイアン製の肋骨
鳥は出て行ってしまったけれど
残像として
生きている 今も

初冬の夕暮れはまばたきするごとに暮れ
憂うるわたしたちは夜を迎え撃つ
そのうち弾 ....
波打ち際の賑わいに飽きて
少し沖へと泳ぐ
足が地球に着かなくなれば
急に独りが押し寄せる

海は突然生き物になる
いくつかのうねりを助走にして
高くそびえ立った
生まれたばかりのその腹 ....
春は淡い
命がそこかしこに生まれては散る
風はそよぐ
樹々の葉がさざ波になる
風と水は似ている
そうかな
そうだよ
どちらも掴もうとしても掴みきれない
手のひらを開いたとたん
そこは ....
雨が降りそうだからこうもりを持っていけ
出がけにそんな言葉をくれた人はもういない

傘のことをこうもりと呼ぶ人はもういない
雨に打たれることを案じる人はもういない
雨に打たれたことのある人は ....
いつもだったら
爪切りで刈り取ってしまうのだけど
うっかりしているうち
それが
ニョロニョロになってしまったので
育てている

明日を思いわずらうなと
私の人差し指の先に生えた
ニョ ....
つらつらと つららのことをおもってみていた
軒先に根をはやし
重力に逆らいながらも
きりりと尖ってうつくしい
冬がこしらえた期間限定のその造形は
猫とじゃれたあと
うつらうつらしているうち ....
凍てて黒く澄んだ空に
咲くとりどりの花

ずっとずっと昔に
同じようにして見た花火を思い出す

あの時隣にいた人は
もうこの世にいないことも思い出す
なんどなんど思い出してもまた思い出 ....
 明日

空は雪と一緒に

枝は小さな蕾と一緒に

冬の指は
いつかの冬の指と一緒に

夜明けを待っている

 
 ピアノ

女の子が帰ったあとは必ず
ピアノの蓋が開いて ....
もっと散歩にいきたかった
もっと抱いてあげればよかった
もっと話しかければよかった
もっと贅沢させればよかった
もっと遊んであげればよかった
もっともっと一緒に

朝に夕に
百万回名前 ....
寒さは
指の先から入り込み
肩へ
背中へ
そして足先へ

もう何も燃やすものがない
闇の他にはなにもない世界で
やがて闇と同化する

薄くて透けそうな
パラフィンカーテンよ

 ....
十月になっても初夏みたいな日が続き
小さな畑でおくらの収穫をする

母は
穏やかでなんのわずらいもない日よりだと言う
この小さく可憐で柔らかなおくらの花が
せめて実になるまでそれが続きます ....
晴れた日の海のような青
遠い島まで泳いで行けそうな空

台風の落としものを拾う子ども
背中には
期間限定の羽

台風が去った朝に
台風の行方を考える
身軽なようでいて
実は
ひと ....
人がいなくなった庭は
草がぐんぐん伸びて
かつてその地に眠った心臓のありかを隠した
もう探し出せないし
探そうとする人もいない
よく見ればブルーベリーが細々と実り
小鳥が集う楽園になった
 ....
縁側に座り西瓜を食べながら
その黒い種を口から飛ばす
黒々として立派な弾丸は遠くまでよく飛んだ
白くて未成熟な種は気がつかずに食べてしまったかもしれない

夜、蚊に刺されたあとをかきながら
 ....
おととい 小さなせせらぎを見つけて
家に帰ると
網戸に黒い揚羽蝶がとまるのを見つけた
そして
蝶も私を見つけた
気配の優しさ
遠い記憶の静かな切なさ
完璧な蝶の姿で
再び会いに来てくれ ....
 白夜はいつも寝不足になる。

 夜になっても沈まない太陽のせいだ。こんなあたしでも人類の、はしくれ。太陽の光に含まれる活動エネルギーが、自律神経を乱れさせてしまうのだろう。
「おはよう、リン ....
春の約束
永遠に叶わない約束
散るときを知って
失墜しながらそれでも
対の自分をさがす
さがし逢えたら手を繋ぐよ
ひとのまばたきより短い時間を使って

もしも一対になれたら
空へはば ....
幾重にも重なったチャコールグレーの雲模様
ハッヒフヘホー
バイキンマンが登場する定型場面みたいな
重すぎて緞帳になれなかった布地みたいな
そんな今朝の空を額縁にかける

やがて大粒の雨
 ....
昨日から
降ってはときおり止んで
降り続くから
朝か夕か分からなくなる
冬の雨は
うすぼんやり温かい
雪になりそこねた雨に
ずっと昔にも出会ったことがある

時間のあわいのような色の ....
普段は気にも留めないのだけど
ふと気づくと
時があっという間に過ぎている
それにはしっぽも前髪もないので
つかまえることができない

天気予報では雪だったのに
外れてただ寒いだけの日にな ....
麻の半袖ワンピースを
さっぱりと洗い
捨てる時を伸ばし伸ばしにしていた
サンダルに永遠の別れを一方的に告げる

風鈴は日曜日の新聞紙でくるみ
青いペディキュアを消す

扇風機の薄い羽根 ....
白くてぼんやりしている一日
読みかけの本は表紙から冷えていく
犬はどこどこ毛を生え換わらせるから
死んで右往左往している夏の毛を集めて
新しい子犬として
毛糸玉に魂を吹きいれる魔法の息を
 ....
〇一日目
お盆には帰ってくる? と聞けば
コロナ次第かな、と答える息子
じゃあね、と手を振る
新幹線の改札口
人はこんなにもさみしくなれる
胃袋までさみしさでいっぱい

白薔薇
花言 ....
北向きの窓から
ふいに
秋の
風が産んだ子が走り抜けていく
本のすきまから伸びた
栞のしっぽが揺れ
亡くした猫のしっぽも揺れ
過去が
耳なかでちりりんと揺れる

寝転がると
窓い ....
真昼のまぶしさの下
水中眼鏡で世界をのぞく
あらゆるものがここでしかない自由をまとい
わたしだけが不自由だった
にせもののひれを誰も笑わない
ゆるされていた夏
さよなら、まりも
ひんやり ....
犬が
風に毛をなびかせている
冬毛はやわらかな鎧
夏毛はワーカホリックな諜報員
さっぱりと生まれ変わった夏毛たちは
世界を傍受する

遠い国のミツバチの羽音
湖でおぼれたアリがもがく音 ....
手のひらの小鳥が
命を使い果たしていくとき
呼んだら
返事をした

それは
声にならない声
音を失った声は
振動だけになって
手のひらをかすかに震わせた

あれはやっぱり声だった ....
長い連休、借りてきたDVDも底をついた。祖母の家を訪ねる。といっても同じ敷地内にあるので、徒歩三十歩くらいの旅だ。
祖母は祖父が亡くなって、三十数年未亡人だ。未亡人はモテるのよ、と、八十歳になった今 ....
atsuchan69さんのそらの珊瑚さんおすすめリスト(284)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
風の朝に- そらの珊 ...自由詩11*22-12-23
日光浴- そらの珊 ...自由詩9*22-12-12
鳥籠- そらの珊 ...自由詩6*22-11-26
夏の泡- そらの珊 ...自由詩8*22-7-13
赤いちりとり- そらの珊 ...自由詩14*22-4-16
蝙蝠- そらの珊 ...自由詩722-3-28
ささくれ- そらの珊 ...自由詩11*22-3-26
つらつらつらら- そらの珊 ...自由詩8*22-2-4
冬の花火- そらの珊 ...自由詩322-1-8
冬の気圧配置は次第に緩むでしょう- そらの珊 ...自由詩12*22-1-5
さみしさのトンネル- そらの珊 ...自由詩12*21-12-24
パラフィン- そらの珊 ...自由詩10*21-11-12
おくらの花- そらの珊 ...自由詩15*21-11-6
茄子の花- そらの珊 ...自由詩13*21-9-20
青空オルガン- そらの珊 ...自由詩9*21-8-6
西瓜な季節- そらの珊 ...自由詩9*21-8-2
再会- そらの珊 ...自由詩8*21-6-3
明日、世界が終わる- そらの珊 ...散文(批評 ...421-4-27
対の羽- そらの珊 ...自由詩13*21-4-17
そういえばキミはバイキンマンが好きだったよね- そらの珊 ...自由詩9*21-2-15
あわい- そらの珊 ...自由詩9*21-1-23
小箱- そらの珊 ...自由詩721-1-7
夏をしまえば- そらの珊 ...自由詩10*20-11-26
暮れるのがはやい- そらの珊 ...自由詩14*20-9-30
花言葉ダイアリー- そらの珊 ...自由詩15*20-6-15
秋はそこから- そらの珊 ...自由詩14*19-9-16
まりも- そらの珊 ...自由詩1019-8-18
アンテナ\ネバーランドはどこにもない- そらの珊 ...自由詩819-7-17
梅雨空に- そらの珊 ...自由詩23*19-6-8
まにまにダイアリー②サザーランド切手- そらの珊 ...自由詩719-4-20

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する