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生きものを傷める
永い夏は終り
エノコログサは緩み安堵のやわらかさで
午後の風に踊る

一本一本でありながら
一帯そのまま総体の伸びやかさで
秋空を仰ぐすがた

空は
宇宙の闇と光 ....
淋しさとは
消えゆく炎の眩しさです と先日聞いた
ひとの言葉を思い出す

七輪で
ひとり肉片を炙っている

網のすき間から
火が時にやわらかく伸びるのを見ているが
すぐに消え ....
八月の
草加健康センター

高温のサウナで
汗を流していると
空襲の火の海で逃げ惑う人々を
想像する

熱い 熱いと
泣きながら 親や子を亡くして
祈りながら川に飛び込んだひとが
 ....
令和の五月
夏のようでも冬のようでもある夢の白昼
暑さに震えて
五反野駅前を歩いた

わたしのわるい眼では
通行人の姿が見えない影だけが揺らぐ

バス停では
不揃いの椅子が並ぶ
ど ....
生身のひとが
都市に残っている噂とは逆に
鉄路を踏んでゆくと
霊とすれ違った

稀にたたずむ
かつてのひとの家宅は
いま わたしの背丈を遥かに超える蔓草が
幾世紀の愛憎を晴らすように
 ....
どうして
こんなに平穏なのか
冥土へと導く と信じられたホトトギスも
いまは五月の鳥

森を抜け
砂の砦みたいな監的哨跡にのぼって
海のまえに出ると
もう詩に出会った気がした

壁 ....
姿見池には
何も映らない 別名は影見池

梅と詩文を愛惜したひとが
西へ行く路
水鏡を覗き
月に宛てて歌を呟いた

古代の風景は
異国のお伽話よりもわからない

ありもしない罪に ....
幼いとき
旧電車通り と大人たちが呼ぶ
ながい一本道を渡り
手習いを教わった

空も海もしらない
蛍光灯の平板な光がまぶしい

美しくも醜くもない
手本を右に
半紙をよごしてばかり ....
きみに逢うために
踏んだ路を歩きなおすのは

 唯是西行
 不左遷

と かの詩神ほどの気概や嘆きを抱いていた訳でも
まして花の匂いに誘われたからでも
ない

梅が枝を
敵意のす ....
atsuchan69さんの形代 律さんおすすめリスト(9)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
2024年秋- 形代 律自由詩524-11-20
「淋しさとは」- 形代 律自由詩424-8-28
草加健康センター- 形代 律自由詩424-8-11
五反野- 形代 律自由詩5+24-5-19
後年- 形代 律自由詩924-5-17
離島- 形代 律自由詩1024-2-18
姿見池- 形代 律自由詩6*24-2-3
手習い- 形代 律自由詩6*24-1-15
- 形代 律自由詩524-1-5

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