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このひとつぶに幸いあり
このひとつぶに不幸あり


不ぞろいに置いたそのつぶを
くちびるに含んで夢を見る
あのひとのくちづけを
あのひとのかんしょくを


私の恋はいまだ熟さない
 ....
恋はもう忘れました
涙はもう忘れました
夕暮れ 野辺にぽっちりと
紅く咲く花は火を燃したようで
その火に触れたら焼かれてしまう
心も指先も あの日の記憶もすべて


恋は忘れました
 ....
さびしくなったら
花咲く野辺へゆこう
ごらん
{ルビ凌霄花=のうぜんかつら}に蝶がぶらさがる
水が
光のように満ちる
その上に折鶴を浮かべ
はるかなその波紋を数える
夏の野は風の{ルビ恋歌=マドリガル}
花摘みの少女は一心に
草のまにまに漂っていた
白い花ひとつ{ルビ挿頭=かざし}にして
赤い裳裾をしめらせながら
濃厚な夏の匂いがたちこめる
姫百合の花 ....
白雨さんの石瀬琳々さんおすすめリスト(5)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
葡萄の夜- 石瀬琳々自由詩17*06-9-15
恋忘れ草- 石瀬琳々自由詩12*06-8-4
- 石瀬琳々自由詩9*06-7-18
静か- 石瀬琳々自由詩14*06-7-2
姫百合野- 石瀬琳々自由詩12*06-6-30

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