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順繰りに咲き誇る花々は
緑に浮かぶ星の煌めき
晴れ晴れとジューンブライドになるはずが
ほんのちょっぴり なみだ顔
夜の帳の降りる時間も
知らぬ間に間延びして
雲がたれ込めている ....
街角で黒い蝙蝠傘の君に出会った
夕闇に隠れてこちらから顔は見えないけれど
黒い傘からちらちらと映える赤い紅の色が卑猥で
どうしようもなく赤面してしまったことを覚えている
こんな記憶に必死に ....
幼いころからクレヨンに嫌われていた。
僕がクレヨンを握って紙にあてても
クレヨンは色を出すことをかたくなに拒んだ、
紙は真っ白のままだった。
僕のほうでクレヨンを嫌ったことはない。
鉛筆 ....
レモン果汁のチューハイを
ちびちびとやりながら
溜息をつくのはもはや日課だ
鏡に映る容貌はどうみても
二十代後半には見えないほど
未来を思うには老けていて
過去を振り返るには青臭い
....
{引用=夜を裂く青星の爪 雄たけび上げ
駆け下りて来い わたしのなかへ}
夜の天蓋に{ルビ静寂=しじま}はこぼれ
瞬くのは
ただ蒼い隻眼
その牙は光り その爪は光り
そのたてがみは光り ....
わたしは時々、石になりたい
そして夜の一番暗いところで
じっと丸くなり
わたしの冷え冷えとする体に
とても美しい夢を備え
いつかわたしを拾い上げる者に向かって ....
わずかな思考のすきまから
過去の過ちの風が吹きつける
無念
もう戻ることはできない
船出に出ている
川の水が海に流れ込み
いずれ蒸気となって
空に帰るよ ....
ぼくは詩を書きたい
人は生きる中で悩み
生き方を迷い
時には誤り
生きていることに疲れ
苦しく病み
生きていくことに
背負いつつも傷つき歩む
そうだとしても
無垢な人生よりか ....
横っ面を殴ってくれ
失望に安堵したい
その優しさを
嘘だよと言ってくれ
全てが覆された失望に
ああそうかと安堵したい
加減しないで殴ってくれ
夢は見たくない
失望に安堵したい
君が綺麗な貝殻が欲しいというので
もう夕暮れだというのに海へ
そう人工海岸だったけれど
すっかり自然が染み込んで
目を凝らせば小さな小さな生き物もいる
クラゲもゼラチンの肌で打ち上げられ ....
悪夢に襲われ呆然といる僕
外ははなまるの晴天
しめった心を日向干しようと
公園まで足を引きずりながら
出かけた
サラサラ髪の坊やは
季節に波乗りサーフィン
....
赤い水玉ふわふわり
あなたにすべて預けてしまって
頭を抱えて悩んでる
胸に咲いた小さな花
摘まずにちょっと見せてあげよう
カーテンの裾はみ出し 裸足
早く来て欲しくてしばし ....
まだ暗き
湖のほとりに
銀の鈴ひとつ
小さく小さい音
カップに注ぐハーブティー
白樺林にミント香る
チッチッ、チッチッ、チィ、と何の鳥かな
ほのほのと霧のかかる
湖のほとり ....
耐震強度を偽装した家で
地震計を作っている
冗談のような本当の話をしたら
誰も本当のこととは
思ってくれない
何回言っても信じてくれないから
やっぱりあれは冗談だよと
頭をかいたら
み ....
青いタイルのベランダに降り積もる羽蟻の死骸
雨のない夏 睡魔に襲われる夕刻
ゆっくりと旋回しながら
飛行少年が落ちてくる
脚を尖らせて私は歩く
あなたはコンパスで地球を計り
風 ....
群れなし列なしオムレツを
喰らいにいこうオー!ムレツ
目をツムレ
オツなオムレツ
レム睡眠でも
ツレないオムレツ
オムレツオツムはお疲れお疲れ
めを閉じ くち開け たま ....
乾いた南風にたゆたう
季節のゆらめきが
消えた午後
突然振り返る
反射は音もなく熱を帯びて現れては
空と息継ぎの境界線を漂う
撥ねる水飛沫の淡い影
触れてすぐに手を引っ込める ....
チカチカ
星が瞬く
難しいのは人間関係
やっかいだ
ほんの一言で事態は一変するのだもの
チカチカ
星が瞬く
こんな小さな星の一角で
小競り合 ....
湿気のあがる
風の強さに
飛ばされそうな肩
足を止めて
古いままの 山道にも
じゃりが くだかれてて
こぼれていかないように
角と角の淵に
つま先 入り込ませ
明るい ....
毎日毎日待っている
どこかの国の誰かからの手紙
毎日毎日
ポストを覗く
やっぱり今日も着いてない
その手紙は幸せ召集令状
来ないかもしれない ....
最初はひとつの家だった
それはやがて建物へと変わっていく
それは増殖していき都市を造り出した
都市が建物に光を灯す
光は色をもちさらに数を増やしていく
それは大量に増えていき数え切れ ....
夢をみてた
とおい世界の
雨の日
夕暮れは
どこも同じように訪れるのに
朝が
朝の闇が
いつまでもおわらなかった
夢は
おわるまでおわらなくて
ぼくはいつまでも
朝の闇に ....
{ルビ故郷=ふるさと}に近づく列車
向かいに座った女性は
首のすわりかけた赤子を
前向きに抱えていた
一瞬、驚いたあと
すぐにうつむく仕草は
内腿の{ルビ痣=あざ}を
男子生徒にから ....
感情が雪崩れをおこした
まいった
こんな夜中だと言うのに
うんざりするほど
夜は長い
赤子が愛に包まれて
眠っている
いずれは誰からも
忘れ去られて行く定め
....
ポップでキッチュなお祖母ちゃん
口癖は
「アストロ アストロ」
思うに足りて無いけれど
ポップでキッチュだから大いに失われてよし
「アストロ アストロ」
もじ ....
一人で行った交通科学館からの帰り道
環状線で小学生の僕は
財布を落とした
鶴橋駅の連絡改札は
近鉄線の切符が必要で
連絡切符を買っていなかった僕は
家に帰れない
途方に暮れる僕に ....
人を愛するということに
流儀や作法があるのなら
どうか教えてほしい
風がそよぐ
けれどそれは
私をいたずらに惑わせて
答えなど示すはずもなく
通り過ぎるだけの風
やが ....
時を告げる鳥がやってきた
蜃気楼のように昼は過ぎ
夜の帳が降りる
すすけた心
渇いた涙
行き先のない情熱
生きること
その難しさ
不器用に今日を過ごす
....
大切なのはおっぱい
ただひとつの真実はおっぱい
叫ぶようにおっぱい
呟くようにおっぱい
囁くようにおっぱい
口ずさむようにおっぱい
歌うようにおっぱい
生きる ....
ぼくは詩人
人の情けは人の恩
日のよさは天の恵
今日もまた
朝の散歩をしていると
少女に出会いました
明るい陽の光は
白い帽子に
光に恵まれ
夢に恵まれ
心 ....
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