ドアを叩いて消える

近づいて そしていつも消えて


わかっていながら
誰もいない部屋で待っていた
いつまでも

窓はちゃんとある
カーテンは少し分厚い
少しだけ外の空気が流れてくる

訪ねて来てくれないかと
楽しみにして

誰もいない部屋で待っていた
いつの日も


たまに声を出す 叫ぶ
外の世界に聞こえるように
まだ僕はここにいますよ と

そうすると
聞こえてくる気がする
壁の向こう 足音
更にはノック

慌ててドアを開けると
足音は遠ざかる
外は怖いからすぐに閉める

そして繰り返してきた





幸せとか そういう 漠然とした待ち人
いつだって ドアを叩いて去って行く
入ってきてはくれない

終わらないお話にはしたくないから
今度来てくれたなら
ちょっと 
追いかけてみようかと思っている

意味はないかもしれないし
逃げられそうな気はするけれど




今日も
足音が 聞こえるような 聞こえないような
もしかしたら 
風の音かもしれない


自由詩 ドアを叩いて消える Copyright  2005-10-28 00:29:18
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