フルルフルルと
大地を震わせ
雨が降る
ふわっとむずむず
芽吹いて緑
ちっちゃくても
若芽はやっぱり
イチョウ型
ハンガーの代わりに
お寝坊な樹々の若枝を
ポッキリ ....
シャープペンシルが軋む悲鳴の
夜がやってくる
割れた背中を 走る糖脈
じりじりと 焼けだす汗
闇と競いだす白
ソルソンバシルが深く肉に食いつき 水を破壊し
水紋を数枚割って 逃走す ....
昔から怖かった
♪ボクの大好きなクラリネット
パパから貰ったクラリネット
この歌はコワイ
♪とっても大事にしていたのに
壊れて出ない音がある
象徴しているすべてがコワイ ....
満ち潮のとき
右足を動かし
引き潮のとき
左足を動かす
波と風の楽団をバックに
けだるげな夕日の照明
そうやってわたしは
地球と踊る
粉々に砕けている銀色の空の傷口から、
降りそそぐ驟雨は、わたしの灰色の乾いたひとみを、
溢れるほど、潤してゆく。
壊れている、遅れている砂時計のなかで
わたしは、眼を浸す溢れるものが涙だという ....
青い窓と少しひんやりとした空気を感じ
明け方にヒグラシホウシが鳴いている
季節を忘れ、わたしは幻を見た。
太陽の往来を無視し、わたしは幻を見た。
覚めることなき夢の季節 ....
愚かなまま沈んでゆく
定義をポケットにつめた
冷たい流れの中でいつも目を閉じた
耳に浸水、視界すら揺らぎに変える
何処かで小鳥が泣いている
誰も居ない静かなこの場所で
誰も描け ....
こんな晴れた日
野の緑はしなやかな腕を
天に向かって伸ばし
陽射しに仄かな生命を温めている
草むらをすり抜ける風は
蜜蜂の
しじみ蝶の
か細い肢に付いた花粉を
祈りに変えて
次の ....
ぼくは詩人
なぴく風も風
吹き荒れる風もまた風
今日もまた
朝の散歩をしていると
紙飛行機に出会いました
とても小さな紙飛行機が
いくつもいくつも
草むらの中に落ちてい ....
午後の視界を横切る
さざ波にもよく似た面影の人
もうすっかり冷めて
固くなってしまった時間を
連れて来る
色彩を逃がした空の
真ん中で私は
強張りかけた呼吸を緩め
それに合 ....
許してくださいお星様
お花の欠片に銀のさじ
私の欠片が食いついた
モーツァルトのセレナーデ
美味しく戴く春の宵
銀の色したお月様
夜の夜中に目を開けて
お腹がすいたと
食べられた
食 ....
大理石の{ルビ初心=うぶ}な冷たさに
灰色の空のもと青い花が咲いている
わたしは、
結果の過程であります
いま見ている景色
いま聞いている音色
いま今は
すくなくともわたし、
うた ....
一.
春待ちゆびが
くちびるにふれて
かた
むね
こし
と
跳ねていく
抱きぐせがつくからだめよ
二.
ぱた ぱた
と舞う洗濯物を
清潔とす ....
春は優しい素顔を何処かに隠し
コートのすそにまとわりつく
うつむいて
泣きべそかいているのは誰のせい
そんな街の片隅でも確かに芽生える
やるせない泣きべそ顔の奥で
見つけたもの
....
ぼくは詩人
綺麗な詩をいくつも創りだし
その詩をみんなの心の中に奏でることに
なんの苦労もない
それは自分の楽しみ
それはみんなへの喜び
今日もまた
朝の散歩をしていたら
....
仏さまが
座っておられるのかと思っていましたら
なんともかわいらしい顔をした
花の精でした
わたしはとてもかなしいのに
まわりのひとたちにしんでほしくないのはふしぎなことだ
はじまりのひかり
きらきらのぜつぼう
ふしぎなことだ
ふたりは出会う
雛連れの野鴨憩う山郷の水面は茜に染まり
ほら手をつなご
これから暫くふたりして
同じ水脈を流れ行くのだから
ふたりのささ舟は
透き通る冬の気象 ....
私はとても小さいので
海を見れば
海でいっぱいになってしまう
私はとても小さいので
空を見れば
空でいっぱいになってしまう
私はとても小さいので
風を匂えば
風で ....
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