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割れた小窓の向こうに
子供の靴が転がってる
幸せはいつも
シャボンが泡立ったときの
匂いに似て苦しい
どうしてわたしは
名前を書いておかなかったのだろう
指を動かして
桟に父の旧姓 ....
鉛筆を指で回す君
鉛筆に指を回される僕
色の付いた服を着ている先生
お花畑の隣にある工場でつくられた黒板
下手糞なうそ
という言い訳

筆箱を空けると
いつもそこには青い空が広がってい ....
コンビニのレジから
僕らのタクシーがあふれ出すから
春はまた息苦しい

行き先も告げずに乗ると
君の家を通過して
犬小屋の屋根を壊してしまう

料金を体温で支払う
少しのおつ ....
校庭で担任の先生が
カマボコを食べ続けている
僕らのささやかな幸せを願っている
その向こうの少し遠いところには生家があって
大きな窓から僕の可哀想なお父さんが
目を瞑っているのが見える
 ....
信号機が故障したので
シマウマがやってきて
代わりの信号になった
白と黒しかない縞模様で
シマウマは精一杯頑張った
多少の混乱はあったものの
車も歩行者もそれに従った
強いものは ....
友人からの年賀状には離婚したことが添えられていた
数年前、結婚の挨拶に来た二人
こんな美人お前にはもったいねえな、なんて
憎まれ口にもニコニコしていた二人

昨年もいろいろな人がこの世を ....
帽子を覗くと
中には都会があった
かぶることも出来ないので
しばらく眺めることにした
頬杖なんてしたのは
いつ以来のことだろう
自分にも重さがあったのだと少し驚く
風変わりな光景があるわ ....
だるまさんがころんだので
うしろを振り返ると
大切な人たちはもういない

草原のように広いものがただ延々と続き
中くらいの動物が
美味しくなさそうに草を食んでる

わたしは組成 ....
休耕田に群生する
セイタカアワダチソウをかきわけるように
一両の気動車が港の方へと走っていく

スズメガの幼虫にかじられた痕のある
サトイモの大きな葉が
その風に揺れている

排水 ....
ドロシー、カサブランカ、
喪中の君が
家の塀で遊んでいる
数台の引越しの車が側を通り
今日もどこかで引越しがあるのだ
と何となく感じる

言葉はまだ書けないから
でも言葉はもう口に出来 ....
洗濯物を取り込む音が
二階のベランダから聞こえてくる
言い争うことも無く
君はもう産まない
とつぶやいた

僕らは同じ悲しみを
分かち合って生きる
多分同じくらいの
分かち合えな ....
窓をひとつひとつ
捨てた
魚のうろこを剥ぐ時のような
つうっとした痛みも無く
部屋はほのかな幸せとともに
凪いだまま夕闇へと
進行していた
それから壁に
偽物の窓を描き
美し ....
セミの抜け殻を
たくさん集めて帰った
何となく
母にほめてもらえる気がした
母はパズルのピースが足りない
と探していた
父は受話器を握り
そこをなんとかお願いします
そう繰り返 ....
立ってる君、座っている僕、違う遠さの水平線を見てる



洗濯物干しといて私ちょっと銀行強盗してくるから



ごめんなさい、なら何度でも言います。謝罪と反省はただなので


 ....
さよならと書けずにsayonaraと書く僕らのポエムは今日も悲しい



鼻のにきびをさっきから気にしてるあなたは僕の大切な人



誰にも食べさせないよと子牛を抱きしめ泣いた従兄弟と ....
どこにも行かないバスに乗りたい。君の拙いお弁当を持って。


雑草といっしょに雑草以外のものも抜いた真夏の裏庭


家に帰る途中、下水道工事をする父を見かけて手を振る


ノック ....
振り返る
後ろから来る君がはぐれないか
振り返ること

振り返る
君がいなくても
他にはぐれた人がいないか
振り返ること

多分そんなことを教わったのだと思う
それが本当の愛な ....
色をぬる記憶
人に触れる記憶
僕らの言葉が
キスを学習すると
背中にも匂いがあってよかった
バッタのようなものが
死んでいたよ
あのあたり
空も見ないで
僕らは縄跳びをします
回数はとっくに僕らの歳を超えて
縄の外、日が暮れていきます
僕らは縄をなくし
それでも縄跳びは終わることなく
気がつけば僕らは形をなくしています
誰もが僕らのこと ....
夜中、リビングに降りると
テーブルがひとりで
テレビを見ていた
外国の戦争映画だった
たくさんの人が
次々に命を落としていった
リアルなくらい
みな清潔な最後だった
突然テーブ ....
君が糸電話を作っていた
夕暮れまで
まだ時間があるというのに
いったい誰にかけたかったのか
小学校の図工の時間のように
器用な指先で紙コップの底を切り取り
セロハンを貼っている
 ....
苺ジャムから
苺を引いたら
夕日が残った
誰も地下鉄になど
乗ったことの無い町だった
くすんだ陽射しの中
食品工場の隙間では
猫たちがよく逢い引きをしていた
友だちにもみな両親 ....
夜の明ける頃
苺ジャムの小瓶を積んだ船が
幅広の海へと出港する
その間にも
私たちには忘れていく言葉があり
その言葉を思い出すために
また忘れられていくものがある
産まれてきたし ....
虹を食べ過ぎてしまったか
のように少し大きい女の人が
愛という字を
消しゴムで消し続けている
あの鉄橋を渡れば私の故郷があるのよ
と指差す先には
窓がないので
景色の良く見える庭 ....
弁当を開けると
中に海が広がっている
故郷の海のように
凪いできれいだった
朝の静かな台所で
君がどんなふうにこれを作ったのか
想像しようとしても
後姿しか目に浮かばない
帰れ ....
脈を取ると指先に
セミの鳴き声が
伝わってくる
僕らの身体の中にも
駆け抜けていく夏があったのだ
どうかお元気で
手を振り
手を降り返したあなた
あの日に
友だちでいてくれて良かった ....
東京行きの列車が
一番線のホームに到着する
 あれに乗ればトーキョーまで行けるのね
娘は言った
 うん、行けるよ
 行きたいな、トーキョー
 この間の日曜日みんなで行ったじゃないか
 ....
あめがやんだので
もう かさのはなしはおわった
それから
こいぬのなみだで
ちいさな こうちゃをいれた

+

ふたごのおとうと
くちぶえ ふいた
くちぶえふいて なきだした
 ....
バスの停留所に
動物列車がやってきた
乗ろうとするけれど
人間はお断りです、と
動物の運転手に怒られてしまった
レールも無いのにどうして
そう思ってよく見ると
窓から次々と動物たちが ....
木、その大きな直立
階段でいっしょになって笑い
二段抜かしをした九歳のように
セミの声だけが
音でよかった
根元に座って
レンガらしいレンガばかりを
レンガと呼び
それ以外のものは ....
水在らあらあさんのたもつさんおすすめリスト(65)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
窓からみる- たもつ自由詩14*07-1-20
制度(教室)- たもつ自由詩1107-1-17
制度(タクシー)- たもつ自由詩1907-1-12
遠足- たもつ自由詩1007-1-8
優しい日- たもつ自由詩18*07-1-5
新年- たもつ自由詩29*07-1-2
都会- たもつ自由詩2206-12-29
- たもつ自由詩12*06-12-25
帰宅- たもつ自由詩17*06-12-21
ドロシー、カサブランカ、喪中の君が- たもつ自由詩1806-12-10
空にあってよかった- たもつ自由詩2106-12-2
戦火- たもつ自由詩1706-11-25
セミの抜け殻パズル- たもつ自由詩19*06-11-21
君と見ていた- たもつ短歌1806-11-18
sayonara.com- たもつ短歌2406-11-13
最終バス- たもつ短歌1906-11-9
- たもつ自由詩1206-11-8
初恋- たもつ自由詩906-11-2
産声- たもつ自由詩1306-10-29
生存- たもつ自由詩16*06-10-27
図工- たもつ自由詩1406-10-21
苺ジャム幻想- たもつ自由詩19*06-10-18
苺ジャム幻想- たもつ自由詩11*06-10-18
景色- たもつ自由詩1006-10-16
空腹- たもつ自由詩3606-10-14
さよなら- たもつ自由詩2906-9-28
- たもつ自由詩1306-9-22
ファザー・グース(4)- たもつ自由詩1506-9-14
動物列車- たもつ自由詩21+06-9-7
旧友- たもつ自由詩1706-8-23

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