すべてのおすすめ
草の葉を噛みながら進んだ
狡猾な蟐蛾の三日月の下
浸潤する夜の裳裾とたわむれ
潮風に臭気をさらして干乾びる
蛇行する隘路の果てには
屠られた白き幽愁
高波に洗われるト ....
世界の片隅で生まれた風は
猫柳の枝を揺らし
水辺に群がる蝶の触手を掠め
乾いた轍の上を砂塵を巻き上げながら
叫びと響きを翼にのせて
つむじとなって舞い上がる
鋭いまでの切っ先 ....
生きていること 死ぬことの不思議
さなぎのような体の中に
閉じ込められた私の意識
息を吸うたび膨らむ胸郭
心地よい空気の移動
耳の奥で脈打つ血のうねり
私にしか聞こえない ....
夜の底を穿つ水音
眠れぬ魂のノクターン
聞いているのは無欲な死人
潰えた昨日を懐かしむ
夢路の扉は閉ざされて
明けない夜の牢獄で
呻いているのは咎人ばかり
その頃 ....
はじけた言葉の勢いで
ドアを蹴って飛び出した
夕暮れの空に浮かぶ金星
ポケットには月の石
言わずにいさえすれば
通り過ぎた一日
ひと言 ....
五月の青い闇の中
私はか細い少年になり
夢の迷路へ踏み入った
白いうなじに風を受け
はだしの足で土を蹴り
煙る街灯はすに見て
ネオン流れる色街へ
....
箪笥のいない夜更けに
わたしは廃屋に棲む四つ目と会う
四つ目を思うとなんだかせつなくて
夕暮れ時からたまらない気持ちになる
廃屋が見える路地まで来たら
心臓が喉元ま ....
私の中で歌っていた
リズムはもう死んで
あとには振子とぜんまいが
解体工場の鉄くず同然に
ゆっくりと瞬目しながら
光の中に溶け出していくのだった
....
(それは罰でしょうか
それともただの汚辱でしょうか・・・・・・)
樹の幹につと掛けられた梯子に登ったのは
愚かさでしょうか
それとも下卑た好奇心でしょう ....
ごめんねという言葉 のみ込んで
ただ君の暮らしの一コマ 思い浮かべ
何もしてあげられないこと 少しだけ恥じ
あとはもう 口もきかずに
別々の景 ....