すべてのおすすめ
蒼き夜空に裸体の桜
瞬く星に影だけ揺らす
オリオンの傾きが
その時を告げるまで
その腕に
無数の蕾を抱いて
むすんだくちびる
静かに眠る
くちづけは
春一番に
すこしずつ
色を足し
気づかれないよう
形をかえて
満月を
あとふたつ数えたら
「春」になります
北風の止んだ空に
雲の声がした
かまくらで
みかんが食べたいって
のんちゃんが言ったから
なん日もくもった空だった
なん日も雪がつづいていた
そう、だから、ふたりで
かまくらを作ろうって、ね
どうろわきによせた ....
無くしちゃった青い傘
お気に入りだった青い傘
さがしに行くよ
雨に会えそな雲の下
風が頬にあたるのも
ポケットの中の手が
温まらないのも
気にしない
雨の降りそな雲の下
み ....
濡れるのは
おかまいなしで
傘はささない
足跡は
雨と一緒に
大地へと還る
雨が唇をふさぐから
言葉にしたいことも
足元へ、足先から
行き先は
忘れてしまえるかしら
....
あるときは
強く美しい旋律を奏でる
それはまるでピアノの線
あるときは
掴むには細く守るには脆い
それはまるで蜘蛛の糸
喜びも
哀しみも
銀色に光るひとすじの涙
なっちゃんだって
辛いこと、悲しいことあると思うよ
みんなが寝静まった頃
こっそり泣いてるのかもしれないな
それでも朝には
こんなに笑顔
自分も頑張ろうと思う
降り続く雨が
肩を優しく包むから
あふれた涙が止らない
ひとしきり泣いたあと
涙のわけを考えたけれど
言葉にすることが出来なかった
それは
生まれたときから
始まっていたのかも ....
今朝書き終えたばかりの
手紙を紙飛行機にして
あなたへと向かう
風を探している
雲ひとつない晴天の空は
太陽の傾きが眩しすぎて
方向を示すものが
見あたらない
そこへ向かう風は ....
年末の掃除の時に、もうずいぶん、多分しまってから一度も開けていない小さなダンボール箱が出てきた。
中を確認してから、いらないものなら捨てようと脇に寄せていたものを今日になって開けてみる。
....
眠りに就く時間
西の窓に月明かり
眺めて寝るには
ちょうどいい
感じるほどの冷たさに
静まる鼓動
もの思うには
ちょうどいい
きのうの顔と
きょうの景色
きょうの顔と
あ ....
美しい風景写真を
眺めていた
若草色で
縁とられた何枚もの
それを両手にのせ
黄色や 桃色の
ふわりと匂う
いつかの春の息吹
こいしいが
夢の入り口
扉をひらく
....
底から見上げる水面が
青く青く煌めく
僕等は魚になったのだ
こぽこぽ
君の吐く息が
光の結晶になって
水中を揺らめかす
こぽこぽ
僕の吐く息が
滑らかな
螺旋をえがく
....
日溜まりが好きなこの手の願いはただひとつ
あなたの笑顔を見ることだった
ガラスの窓に近づける
湯上り 頬が 体が
滴の残る 洗い髪が
外気をひろい
火照ったのを
冷ましてゆく
くもったガラスに
呼べない名 を記して
人差し指は
その名を容易く
....
青い表紙アルバムの
厚さの分の年月と
重さの分の思い出が
一頁めくるごとに
セピアの匂い
胸にあふれる
微笑み手を振る
写真の中のその顔は
ふくよかな紅色の頬も
まるく黒い瞳の色 ....
おもいおもいの
願いを
高く
初春の空は
あわく波たつ
冷たい手
温もる場所をさぐる
しんしん
しんしん
時計の針を
止めないままで
布地に残る
甘い匂いを手繰り寄せ
指先をからめる
しんしん
しんしん
時計の針の
....
氷の風が吹く夜は
星の瞬き蒼蒼と
淡く浮かんだ
あなたの表情を
交す言葉の
間に間に見つけ
愁い喜び泣き笑い
腕を伸ばして
頬に指さす
柔肌温み
伏せた睫毛に星あかり
鼓動の ....
あんなにも
街中が躍っていたのに
クリスマスは、もう
両方の視界を跨いで
遠退いていったね
‥貴方と私
色あせたイルミネーション
雪の花が咲くのを待つ
‥雪の降らないこの町 ....
五十八の石段を
数え終わる頃には
湿気を帯た冷気が
まとわりつく
空が
見え隠れする木立は
小さな欲望が
うごめきを見せるよに
さわさわ
ざわざわと
社の片隅
秘密の場所にも ....
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