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しんしんと、雪が降る。あたしの悲鳴を掻
き消すように。しんしんと、雪が降る。あた
し、とやつらの罪を隠す、ために。しんしん、
しんしん。と、罪深く。
雪が、降る。
....
愛おしいひとからの糸が垂れてくるのでそ
れをするすると引っぱっていると空がほどけ
てすっからかんの空になってしまい空の上の
ひとに「なにを考えているんだ」と怒ら ....
女が欲しい 女が
完ぺきな女が
瞳は語るんだろう
心が映える まなこに光が
荒れ狂う 現実を正視して
口は優しく 正しい言葉を吐き
心は程よく 緊張を温めて
女が欲しい
....
やさしいための息をして、あなたの胸に冷
たく溜まる、それを、吐き出して。もう一度、
たった一度でいい、やさしいための、息をし
て息をして息をして息を、して、あたため ....
もう疲れたよ、終わらない迷路
ずっとおんなじことばっかり考えてる
毎日なんにも進歩がない
『もう忘れた?』『やめよう』『でもやっぱり』『ごめんなさい』『でもやっぱり』『好き?』『本当は』『い ....
朝がくるまでに
悪いことしましょ
朝がくる前に
悪いことしましょ
願いごと叶えてあげるわ
悪魔のKissしてあげるわ
朝がくるまでに
悪いことしましょ
....
きみとぼくは いちども
会うことは ないけれど
異端の爪を みがいて
おなじ 事象の平面を
ひっかきつづける 仲間です
水の中に両手を
そっと差し入れ
泳ぐ魚の影を
そのくねりを
掬ってみたいと
思うのです
光と私はいつでも
とても遠い場所で
落ち合うけれど
必ずまた会えることを
知っています
....
君が僕の詩を待っている頃
僕は君の声を待っている
賑わう街では肩を擦らせながら
人々が振り返らずに先を急ぎ
増殖した三角ポールは
国道の硬いアスファルトを齧っている
橋を渡れば ....
癒えるにつれて ひどく
かゆくなる 若いころの
途方もない ゆめをみて
あけがた 目をさますと
指先が 血まみれだった
うつくしい日和に うたを
うたいながら 少女は去った
封印に 桃のくちびるを
少年の おでこに
ぺったり 貼って
まったく違う、
それこそ何千億光年離れた星たちが、
地球からではおなじ、
星座の中に並んでいたりする。
ぼくたちの、
ぼくたちである違いなんて、
遙か向 ....
キッチンから窓の外が見える
小高い山の放牧場には三機の風力発電機があって
巨大な三つ葉の風車が
/ゆっくりでもなく、はやくでもなく/回っている
この街に近づく冬はい ....
夜の始まりは
もうそこまで来ている
この夕刻の佇まいに
街よ 街よ
幾千人の人が
整備された
君の歩道を歩む時
街路の樹木も色づき
寂しげに 落ち葉も 舞う
この風に
....
まるでひとつの季節が終わるように
僕は死んだので
周りの誰もがそのことに
気がつかなかった
僕だって少し前から
予想はしていたものの
実際にははっきりと
自覚している訳ではなかった
....
ほんとうの事が知りたいけど
正しいかどうかはどうでもいい
つまり、とりあえずは磁北を信じて
夜どおし動かない星を探し出す
北極星、と呼ぶのは僕たちだけで
イトスギ達にはきっと別の呼び名がある ....
赤い川縁を歩いていた時
僕にとっての君と
君にとっての僕が
同じだなんて信じてた
夕暮れの合図が
街に鳴り響いた時も
どうにもならないことなんて
どこにも無いって信じてた
月が ....
ピアノのあしは楽器を支えているのか
それとも音楽を支えているのか
ギターをかき鳴らす仕草は
そのあしに似て、共鳴する独り言
マイクを持って空を指したとき
ひとはただのマイクスタンドでしか ....
ベンチで たばこを喫いながら
並木が風をうけて 帆のように
喜ぶさまを見ていた いまならば
わたしも けむりになって
消えてしまってもいいと 感じていた
わたしは、あなたが思うよりも深く、沈んで、いる。
それは深海のようであり、深遠のようでもある。
あなたはあなたが嫌いで、いつも誰かを、装って、いる。
あな ....
きんにくを やわらげるため
首をゆっくり 回す
伸びをして 深い息をついたら
本を読みつつ
心が弛緩して
魂が解放されてる
喫煙喫茶のいつもの席
音楽がたおやかに流れて
集う ....
夜明けとともに
失ってしまう事におびえて
冬の星座がのぼる前にと
眠りにつくふたりには
体温だけが必要で
かたむいていく、その先に
今日の終わりは信じないのです
夜がきます
恐ろし ....
冬時計の 皮をむく
果肉が やぶれて
どろり ながれだす
おもいでを 涙と
いっしょに すする
どうしても君を好きになれなかった
雨の隙間で寄り添っても
思いつく限りに届けても
なるべく話をしないでも
記憶に無い電話をかけても
傷ついた分だけ傷つけても
傷つけた分だけ傷ついても
....
私は眼鏡をかけてよく負ける、無重力を味わうかのように。
鳩尾に鈍痛が走るように、断腸のように、そのように。私の泣かない場所が、
糸巻貝のなかで爪を噛んで噛んでいる。私という肉はすぐに罅割れ、れ ....
鏡のなかの じぶんを
こわすこと ぼくにも
儀礼の ときがあって
いまでも その破片が
胸郭に ささっている
たったひとりの あなたへ
とどく かもしれない
ことばの しんじつを
かんがえて こどくを
えらんだ のです
またひとつ あらたな
欠落を ありがとう
ともに ぎんいろの
ページを すごした
しめやかな 夢の小冊
やぶれめが ひたいに
あるので うつむくと
こぼれて くずれさる
すなの ふくろだから
かおを あげてあるく
あなたと その周辺を分解し
組み立てなおし 恒星のことばで
したためて 郵便受けに
ほうりこんだが 返事がない
いや たぶん絶対に こない
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