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きみとぼくは いちども
会うことは ないけれど
異端の爪を みがいて
おなじ 事象の平面を
ひっかきつづける 仲間です
癒えるにつれて ひどく
かゆくなる 若いころの
途方もない ゆめをみて
あけがた 目をさますと
指先が 血まみれだった
うつくしい日和に うたを
うたいながら 少女は去った
封印に 桃のくちびるを
少年の おでこに
ぺったり 貼って
ベンチで たばこを喫いながら
並木が風をうけて 帆のように
喜ぶさまを見ていた いまならば
わたしも けむりになって
消えてしまってもいいと 感じていた
冬時計の 皮をむく
果肉が やぶれて
どろり ながれだす
おもいでを 涙と
いっしょに すする
鏡のなかの じぶんを
こわすこと ぼくにも
儀礼の ときがあって
いまでも その破片が
胸郭に ささっている
たったひとりの あなたへ
とどく かもしれない
ことばの しんじつを
かんがえて こどくを
えらんだ のです
またひとつ あらたな
欠落を ありがとう
ともに ぎんいろの
ページを すごした
しめやかな 夢の小冊
やぶれめが ひたいに
あるので うつむくと
こぼれて くずれさる
すなの ふくろだから
かおを あげてあるく
あなたと その周辺を分解し
組み立てなおし 恒星のことばで
したためて 郵便受けに
ほうりこんだが 返事がない
いや たぶん絶対に こない
ハッピーエンドの
ものがたりの はじめに
もどって また おなじ
ストーリーを ひとつ
とどけてください