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ちょっと長めの旅行を終えて
ベランダに出てみると
大切な鉢植えのミカンの葉が
全部無くなって
大きなさなぎがぶら下がっていたのです
街ではもう、見かけることも少なくなった
アゲハチョウ ....
あたたかな深い世界と
冷たく閉ざされた陸地の
あいだにおかれたからそれは
あなたに触れたときの私の肌
のように、あしもとでざわめく
むねのどこかで
小さなちいさな六分儀が
あやふやに極星 ....
くぐり抜けていく
いつも裸足だ
闇のそばでは
どうして自分だけは
かわらなくていい、などと
つぶやいていたのだろう
ああ、それはちがうよ
タングステン
熱で溶 ....
いくつかの橋が
思い出せないでいる
名前を覚えなかった川の
こちらとあちらを
思い出せないかたちで
きっといまもつないでいる
完全なものが美しいと
君は言うけれど
不完全なものは
....
紅葉が近づく{ルビ樗谿=おうちだに}は
とうめいなたくさんの蛍が
言葉だけつまった
名前だけの思い出を
夕暮れにかえそうとする
いろだけになってしまう
ぬくもりを失うと
とうめいにな ....
緩やかな曲率で
道は行き止まりまで続いていた
そこより遠い場所を
知らなかったので
墓標はその岬に、と決めていた
漁火の整列する底には
冷たい海流があって
行き止まりの
もっと向こ ....
月が消失点のようだ
描かれた風景は
オルゴール、オルゴォル
ピンの抜けたドラムの内側で
漏れる光を、星だと
僕たちはささやきあったね
モルモットの遊具のように
夜空をまわし
時計の ....
告げるとも言わず
告げぬとも言わず
立ち尽くす老木は
潮風に白くやかれて
ただ待っているかのようです
運命とは渡り鳥でしょうか
暗い海のとぎれるもっと遠くから
糸車を回す母の手のよう ....
四時三十六分
始発
どいつもこいつも
終着にむかっていきやがる
終着は、またどこかへの始発で
始発は、いつしか誰かの終着で
だれもかれも
途中で降りるのだろう
{ルビ可変電圧 ....
夜の長い季節がめぐって
今年もまた
潤んだ果実の薄皮が
あなたの細い指先ではじけて
枯色の穂の律動
その春のようなくちびるに
すべり込むのです
かわききった大地で
....
魚の名前や花の名前に似ているけど
それとは違う言葉
直線ではなく曲線にも似ていない
それでも閉じている言葉
数え切れないそれらを
生み出しては忘れ去り
墓標をたてては
思い出と気取っ ....
波や風は待つものなのよ、と
長い髪を旋律で
砂浜の反射が切り抜いて
細めた視線の届く先に
僕の胸は高鳴る
星座盤の小さな窓から見たように
君のことを知ったかぶりしていた
そんな気がすると ....
改札を抜けるように明日が来るのです
明日が毎日、未来であると信じるひとたちが
道端にこぼれてこびりついたジュースまみれの
自分の影を踏んでいるのです
カタチあるものだけに価値があるかの ....
空を飛びたいなど思わない
眠ってしまおうとも思わない
そんな明るい雨の昼下がりは
激しく窓ガラスで弾けて
つたい落ちる滴を
ずっと、ずっと見ていたい
大切に飼っていた金魚を
....
夜よ深まれ
闇はもっともっと深くまで
暗く、黒く
私の胸に小さな灯り
ゆるりとめぐる闇となり
深く、深く
包み込む暖かさや
優しさなどいらない
そんなものはいらない
ほし ....
私はあなたから生まれたというのに
もうそんなことを忘れてしまって
自分だけの死を抱きしめていた
まるで沈むために港を離れた
あのポンコツな捕鯨船
たった一つの獲物を射るための{ルビ銛=もり} ....
海沿いの盆地にみちた
湿気と体温と上昇気流の
かたち、あの夏の雲
想いだけが熱いから
激しくゆらめくように
それでも
倒れるわけにはいかないから
ひとしきりの雨を
足跡にするのでしょう ....
海という隙間で息も絶えだえに
船がただひとつ進めない方角があり
羅針盤の鏡にこうして映すと
宇宙も空も無くなる時間なのに鏡は
越えられない境界線を示すだけなのです
宇宙に似た深い暗闇を
....
夜を乗り越える呪文
古いノートの落書きから思い出す
詠み方を忘れた大人には
雑踏に落ちている足音に似て
あどけなく残酷な
季節を乗り越える呪文
変色した写真の束から探し出す
今日しか ....
真夜中の街
儚い灯りを縫い合わせて
君はいくつも
星座を作ってみせ
物語がわからなくても
知ったかぶりで綺麗だねと
僕は何度も
言うのだろう
地上の流れ星はいつも
赤 ....
水面のやさしさを信じ
身を投げる木の実の
沈んでいく運命の先を
知らないかのように
綺麗な音色だと
美邪気に笑う君に
かなしくなる
西の雲は入り日に
焼かれるからかわいそうと君 ....
低い雲が覆い隠す
放牧場のある丘には
みっつの風車が立っている
ぎゅおん、ぎゅおんと
海にむかって唸って
いるはずの刻
{ルビ霞=かすみ}のように薄い雲が
まわっている時間を
見えなく ....
風をつかもうとして
草をちぎってしまった
てのひらが
鳥を呼ぼうとして
こんちくしょうと叫ぶ
声が
心のかたちを確かめたくて
君のからだを抱きしめた
腕が
今夜もずれてい ....
月は
硝子に描かれた設計図なのです
半透明に、透明に
あるいは暦のように
時は
暦の影絵
季節を待ちこがれた獣が
手に入れた花占い
君は
峠ではためく{ルビ経文布=タルチョ} ....
行基さんでの
待ち合わせは飽きたので
采女神社でって
君がいうから
僕は池をぐるりと歩いて
時計回りで君を待って
興福寺の夕暮れに
見上げると
和紙に漉かれた
六分の月
君 ....
また腐りかけた吊り橋だ
いつもこうやって
たどり着く先で
誘う危険は
谷奥からのそよぎに共振する
銀河を流す暗い川には
大きな{ルビ鰐=わに}が寝そべり
冷たい水に ....
いつか遠い日に出会う音
誰かの死んだ鍵の
大理石に落ちる音
すでに決せられた、今
・・・を巡りあいと呼ぶのなら
遠すぎて忘れてしまうほど
遠い日の約束を、
型録に載ってる幸 ....
今日死んだ太陽の
お仕着せな光を反転させて
月が夜を奪う偽物の夜
太陽を復活させる呪文
水晶を微電流で虐めて
僕たちも一緒に
ふるえる
言葉が聞きたかった
なのに
誰 ....
ネパールとインドの国境付近は深い密林に閉ざされている。失われれば二度と手に入らない暗闇をはらんだ命の混沌。それがジョグ・アレースの森だ。かつてサファルの月、南下したモンゴル軍が侵攻したときにも、この森 ....
僕は、女が欲しい
女のかたちではなく、女というものだ
できれば女のかたちに入っていると
うれしいが
それが別のかたちでもかまわない
君がもしも男だとしたら
僕は女というものになりた ....
前田ふむふむさんのたりぽん(大理 奔)さんおすすめリスト
(78)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
あげはちょう
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たりぽん ...
自由詩
18*
06-11-25
波、とはもう呼ばない
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たりぽん ...
自由詩
18*
06-11-12
でたらめな星の水族館
-
たりぽん ...
自由詩
17*
06-11-4
沈下橋
-
たりぽん ...
自由詩
17*
06-10-27
砂丘で蛍を見たあいつ
-
たりぽん ...
自由詩
15
06-10-19
風、とまどう鳥よりも
-
たりぽん ...
自由詩
14*
06-10-8
いちばん_遠い夜
-
たりぽん ...
自由詩
13*
06-10-5
冬告鳥、海風に吹かれて
-
たりぽん ...
自由詩
15*
06-10-2
クロスシート
-
たりぽん ...
自由詩
10
06-9-27
春の葡萄
-
たりぽん ...
自由詩
18*
06-9-23
大人になって、僕は
-
たりぽん ...
自由詩
18*
06-9-12
岬にて、星を見る
-
たりぽん ...
自由詩
17
06-9-6
駅・秋葉原
-
たりぽん ...
自由詩
15*
06-8-26
明るい雨の昼下がりは
-
たりぽん ...
自由詩
15*
06-8-17
流し灯籠
-
たりぽん ...
未詩・独白
10
06-8-11
生まれたことも忘れて
-
たりぽん ...
自由詩
15*
06-8-8
足跡、夏の
-
たりぽん ...
自由詩
15*
06-8-6
ひとしずくの水彩
-
たりぽん ...
自由詩
17
06-7-31
驟雨の足音、あどけなく
-
たりぽん ...
自由詩
17*
06-7-29
夜景、そして
-
たりぽん ...
自由詩
17*
06-7-24
ホタルブクロ
-
たりぽん ...
自由詩
16*
06-7-2
風時計、雨空を文字盤に
-
たりぽん ...
自由詩
17*
06-6-27
初夏の断層
-
たりぽん ...
自由詩
16*
06-6-21
星を、かぞえてはいけない
-
たりぽん ...
自由詩
16*
06-6-13
駅・近鉄奈良_〜猿沢あたり
-
たりぽん ...
自由詩
9*
06-6-10
吊り橋を渡る、僕は帰らない
-
たりぽん ...
自由詩
13*
06-6-4
邂逅(或いはエフィメラ)
-
たりぽん ...
自由詩
10*
06-6-3
矢文、我に放て
-
たりぽん ...
自由詩
12*
06-5-29
第一次発掘報告の未発表草稿
-
たりぽん ...
未詩・独白
8*
06-5-27
きみのかたち、ぼくのかたち
-
たりぽん ...
自由詩
14*
06-5-23
1
2
3
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