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その水に出逢うと
わたしはやわらかい小さな舟

その水面をゆく舟でもあり
その水中をゆく舟でもあり

その水の波を 凪をゆく
瀬をゆき {ルビ瀞=とろ}をゆく
ただその水を感触しながら ....
ここがどこなのか
どうやってここに来たのか
わからない場所で
思う
花が花であったこと
風が風であったこと

今ここに
花かどうかわからないものが
咲いていて
風かどうかわからない ....
君の翅を食べた
君がそうすることを望んだから
君の翅はよくできたお菓子のように
心地よい甘さで
もろくあわく溶けていった
最後に君の背に残る
翅のついていた痕をそっとなぞると
それも夢の ....
九月のしずかなあかるさは
透明な翳りを含んで
その中に点々と
露草の青 浮かんで

波紋するさよならを
心に溜めて
やわらかく孤立しながら
佇む意識の彼方に
ほそい岬
それは空へ帰 ....
清い流れに沿い
{ルビ鶺鴒=せきれい}が閃くように飛んで

揺れるねむの花
ねむの花はやさしい花 と
誰かが云った

小さな手が生み出す
鍵盤の響きはたどたどしくても
その無邪気さで ....
不思議
深く眠りながら
果てしなく醒めている心地
見えない舟が 横たわる僕を乗せて
透きとおる彼方へと 漂ってゆくよ

夜は青く
あえかな香りが僕を包む
この流れのほとりには 何処まで ....
夏が去ったあとのがらんどうに
いつしか白く大きな九月階段が出現していて
そして僕らはその段々の上に
蒔かれたように腰かけていた
ただそこで空を見あげていたり
何かを読んでいたり
歌をうたっ ....
けれども胸は 青く傾斜してゆく 怯える意識には
透明なふりをする思惟が 蔓草のようにからみつく
窓の外では 涙のように 果実の落下がとめどなく
そのさらに遠く 地平の丘の上では 二つの白い塔が
 ....
ジム・プリマスさんの塔野夏子さんおすすめリスト(8)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
水の歌- 塔野夏子自由詩3*22-11-15
再_生- 塔野夏子自由詩5*21-12-15
君の翅- 塔野夏子自由詩13*21-10-5
九月_昼/夜- 塔野夏子自由詩6*21-9-27
夏の練習曲- 塔野夏子自由詩7*20-8-5
見えない舟- 塔野夏子自由詩7*12-2-27
九月階段- 塔野夏子自由詩22*11-9-11
月のない夜- 塔野夏子自由詩20*08-6-1

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