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僕に関係の無い人が笑っている
僕に関係の無い人が泣いている
僕に関係の無い人が風に揺れている
僕も少し風に揺れながら口を開けて
あの日のことを思い出そうとしている
あの日、が何のことなの ....
 
 
水のない駅でした
蝉の音がしました
産まれた日もあやふやなままに

服の端が揺れて
私たちは何か話をしました
並んでいました

指を伸ばせば届きそうなほど
影になるとすべ ....
回ることをやめた
ライン
過程と工程の
限りない
狭間で
先端で

血小板の
ひとつひとつまでもが
記憶している
置き去りにされた
メモ書きの表面がたてる
微かな音を
 ....
 
 
部屋にハンカチが落ちていた
ふとした拍子、の形のままに
それから
洗面所で好んでよくうがいをし
何本かの正確ではない平行線を引き
人が衰えていく様子を眺め
時に貧しい正義を振り ....
 
忘れ物のような話をしました
ただ長いだけのベンチがあり
終わりの無い話を続けました
読みかけの本が無造作にふせられ
背表紙は少し傷みかけていました
マリエはすぐに人を殺そうとする
け ....
 
 
クラゲの心音がする
放課後
筆箱の中で

黒板消しが羽化するのを
慣れない手つきで私は
手伝ったのだった
 
ひっそりとした
カーテンの向こう
湿り気のある列車が
外 ....
部長室にはいつも
風が吹いてる
日あたりのよいところで
書類の端がめくれている
窓を開けているのは
たぶん部長さんだと思う

机の上で
ピストルが少し色あせてる
微笑みながら毎日 ....
手作りケーキのお店で
あなたを愛した
愛したあなたは
ケーキを作った
作ったケーキは
おそらく誰のことも
愛することはなかった
その向こう
山と海とが
平行に交わっている
窓か ....
41

市民会館の大ホールを
ゼリーは満たしていた
屋外では雨が
土埃の匂いを立てている
観客の思い浮かべる風景は
みな違っていたが
必ずそれはいつか
海へとつながっていた


 ....
「序詞」

ゆりかごの中で
小さな戦があった

理不尽な理由とプラントが
長い海岸線を覆いつくした

けたたましくサイレンが鳴り響き

その海から人は
眠りにつくだろう
 
 ....
今夜半過ぎ
関東から東海地方にかけて
優しいものが降り積もるでしょう
と、予報士は言った

翌朝
優しいものは降った様子だったけれど
予報どおりに積もってはいなかった

私たちは ....
駅前に
都会が落ちていた

命のように
きれいだった

なくさないように
拾って
ポケットにしまった

そして
三年振りの待ち合わせに
僕は現れなかった
ひとがひとの形をして笑っている
ひとがひとの形をして泣いている
国道を走り
国道は走られ
やがて国道は海へと続き
ほとんどのひとはその手前で右か左に折れ
他の所へと行こうとする
ひとがひ ....
ウォーリーは探されなければならなかった
探されるためには行方をくらまさなればならなかった
行方をくらますためにはいつも同じ服装をしなければならなかった
その服装が決めたものなのか決められたものな ....
テレビの画面いっぱいに
モザイクがかかっている
娘は笑って見ているから
面白いアニメか何かなのだろう
低俗なものはきちんと排除され
僕らは安心を手に入れる
新聞の記事にもモザイクはかけられ ....
犬小屋の中でお父さんとお母さんが
おままごとをしています
春の陽が一番良く当たるお庭で
せまいね、と言いながら
それでもきれいな身なりで
プラスチックの食器を並べていきます
  きょう、の ....
母とふたり
ブランコを引きずって歩く
強い陽射しに皮膚は焼かれていく
健康に良いことだ
母は教えてくれた

たくさんの人とすれ違う
みな一様に微笑んでくれる
支柱が肩に食い込んで痛 ....
象の飼育係をやめて
バスの運転手になった
象の目は悲しげだ
と言うけれど
乗り降りする人たちも
体のどこか一部が悲しげだった
遠くに行きたかったのだろうか
数頭の象が停留所にいた
 ....
飛び込むと
その先には砂漠が広がっていた
課長がいて
砂粒をひとつひとつ数えていた
課長
声をかけてみた
砂漠では名前で呼んでください
と言われたけれど
課長は課長だったので
知 ....
身体の中に高速道路
を抱く女
車の往来があり
多ければ渋滞になった
特にそれは料金所付近で
もちろんETCも使えた
あちらこちら防音壁は壊れ
溢れて久しかった
両の乳房に顔をうずめ ....
バスに小川が乗ってきた
どこにも流れることのできない小川は
だらしなく床に広がった
立っている人は足を濡らした
座っている人は足を濡らさないように
座席の上に膝を抱えた
大学病院
 ....
服を買って着替える
着替えている途中にそば屋があったので
天ぷらそばを注文する
持ってきたのは昔の恋人だった
昔のように優しくしてくれた
着替えをしながら自分はそばだけを食べ
天ぷらは ....
皿の上には電灯があった
鶏肉がなかった、と
きみは言った
どうやって食べるのか聞くと
説明書をくれた
そのとおりに取り付けてみる
電灯はきゅこきゅこ音をたてた
飛べやしないのに
 ....
 *

朝起きて色を塗る
テーブルの上にある
野菜ジュースの中を
遠くまで行くことは
とても難しい

 *

虹を壊し
虹に壊されながら
走る子どもたちの足音が
回覧板でまわ ....
先端のあやふやな人が
細長い話をしていたので
窓をもち歩く人が
そっと窓をしめる
何かが入り込むように
何かが出て行こうとするから

わたしは遅い夏の陸橋
レタスが逝った日のことを話し ....
生野菜が部屋を出て行く
生の野菜
それだけの理由で
ぼくらはたくさんの歯形をつけた

外では大切に育ててきたバス停が
音もなく
静かに腐っている
逝くものだけが優しいのだ、と
き ....
 固定された都市。流入する者と流出する者。
その背中には皆一様に大きな鳥のくちばしが
あり、そして光沢がある。鳴くわけではなく、
また、捕食するわけでもない。ただそれは背
中にあり、そ ....
たべかけのくっきいに
ゆうひのはがた
これは いったいぜんたい
こんせいきさいだいの なぞですぞ
そういった はかせのくちもとから
うつくしいゆうひが こぼれてる

*

わ ....
傘にたくさんの
好きな模様を描いて
それからその後
他に無い、の

こんな日は
幸せに
誰ひとり
死ななくていい

美味しい珈琲だ、ね
これはきっと
朝から何も
降りてな ....
彫りの深い司会者が
深い彫りの中で溺れて
ウェディングケーキはもう
瞼の中でしかカットされない

花束を越えて
何度も生まれてかわろうとする
たくさんの父と母は
まだ静かなまま ....
久米一晃さんのたもつさんおすすめリスト(66)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
さよなら- たもつ自由詩2418-6-8
記憶- たもつ自由詩1015-6-28
ライン- たもつ自由詩410-2-27
経過- たもつ自由詩809-9-24
首都- たもつ自由詩1009-7-29
放課後- たもつ自由詩1009-6-17
ゴムを踏んでる- たもつ自由詩1307-11-5
教室- たもつ自由詩807-10-18
「その海から」(41〜50)- たもつ自由詩1407-8-4
詩群「その海から」(01〜10)- たもつ自由詩31*07-7-17
坂道- たもつ自由詩1607-6-24
待ち合わせ- たもつ自由詩1507-5-18
灰と雪- たもつ自由詩1107-5-8
探されウォーリー- たもつ自由詩1707-5-3
モザイク- たもつ自由詩3107-4-30
おままごと- たもつ自由詩707-4-3
夏汗- たもつ自由詩1006-9-25
同じ目- たもつ自由詩23*06-9-23
決裁- たもつ自由詩806-7-16
ハイウェイ- たもつ自由詩506-7-3
最初に- たもつ自由詩1806-7-1
着替え- たもつ自由詩10*06-6-28
鳴く電灯- たもつ自由詩8*06-6-25
朝起きて無題- たもつ自由詩1306-5-23
逝く、レタス- たもつ自由詩10*06-5-16
性教育- たもつ自由詩1106-5-11
断片- たもつ自由詩806-5-1
ファザー・グース(3)- たもつ自由詩19*06-4-23
ひねもす- たもつ自由詩906-4-12
じみこん- たもつ自由詩506-2-10

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