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日の出
小鳥はまだ明けそめぬ闇のうちから
啼き始める
辺りを憚るやうに
ほとんど囁くばかりのくぐもり声で
それは天与の美声を押し殺した 呟きだ
野の鳥よ ....
カマキリを殺した
あんまり威張つてゐるから
縄張りでもないのに
アスフアルト道のまんなかに出て
仁王立ちになり
人を通すまいとするから
私はその夏 傷心を抱へて
祖父母の郷へ帰つ ....
山を吹き下ろす風が
水面を撫でる
渓川は波立ち
日が跳梁する
瀬音と光の乱反射
私は川原の石に腰掛けてゐる
振り仰ぐ嶺には
消え ....
あなたの瞳は美しい
四囲の変化や季節の移ろいにも
敏感に反応し
あますことなく映し取ってしまう
だからぼくは あなたを見ていさえすれば
それでもう
世界を手に入れているよ ....