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坂道の下で
夏を深呼吸する
あのひとが
駆け下りてくる気がして
小さい頃
ラムネのビー玉は
取れると思っていた
母と行く縁日
たくさんの人混みに
少し怯えて
けれど
ピー、ポンポン、シャラシャラ
音に惹かれて
駆け出した
ー手を離さない ....
「暑いよぅ」
…だから
お家に入りなさいってば
窓を
開け放して
眠った朝
窓辺に
水滴が残っていた
それは
音もなく
部屋に
忍び入ったのだろう
まるで
わたしのこころの
あのひとの面影のように
たくさんの
言葉を交わしたはずなのに
覚えているのは
「さよなら」
の四文字だけ
もう
顔も思い出せない
その仕草も
でも
まだ
あなたが好きです
天気がいいから
あのひととふたり
散歩に出かけた
珈琲を飲もうよ、と
あのひとがいう
わたしも頷いて
ふたり喫茶店に入った
向かいあって
お茶するだけでもしあわせ
一 ....
なにもすることのない月曜日だから
なにもしなくてもいい月曜日だから
木陰のベンチでまどろんだ
静まり返った林は
小鳥たちの鳴き声しか聞こえず
風はそっとわたしを通り過ぎていき
こんなのは間違ってる ....
遠く虹が見えた
それは
儚く夢のように
あのひととそれを見た
わたしのなかに
さざ波のような
何かが広がって
虹のたもとには
幸せがあるという
探しに行かなくても
ささやかな幸せは
たぶんこ ....
セミの鳴き声がうるさくて
透明な風がふいて
初夏の香りがしていした
生きていれば
いいことがあるよって
そのうちきっと幸せになるよって
俯いて歩く帰り道
足元の青い花が揺れる
何の根拠があって
....
過去の記憶が
感情が
腐食されていく
それは今日の恩寵なのか
それとも
明日への道標なのか
わたしの上には
初夏の青空が広がっている
テレビだって
顔だって
敷居だって
膝だって
ぼくのマクラだけど
やっぱりここが1番
・・・それにしても
クビ痛くないの?
こんなベンチに
ふたりで
ただ座っていたいの
…だめ?
そんなに難しいことじゃ
ないでしょ?
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