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風も木も滅びゆくときわれもまた等しく愛に抱かれて過ぎよ
降りしきる雨でおまえの声は途切 れ遠い異国である公衆電話
たった今、落ちた花びらだけ見えたった今見えなくなったただ風 ....
好奇心ひろげて崖から飛び立てば ああ、こんなにも太陽のせい
幾たびも安易な夜を貪ってぼくら獣のように純粋
僕たちはすでにレッドを飛び越えて蒸発してゆく抱擁のあと
妊娠をし ....
亡霊ときみの名付けし少年の漕ぎしブランコ揺れている初夏
遠ざかる白い小舟の行く先を流れる水や風に聞く午後
紫陽花を抱きしめているパレットにきみの瞳の色を混ぜつつ
防波堤越 ....
思い出の森をさまよう僕はもう少年時代の歌詞から遠い
おにぎりの形している山登る今はまだまだ海苔の真ん中
紫陽花に紋白蝶の眠る午後わたしが汚れているのが解る
花粉から誘われ ....
青き百合を水に葬る手のひらのかたちのように流れゆく指
横隔膜の失いたる平衡感覚で剣のうへももはや荒野
牛乳を一気飲みする冷たさにすべての蝶の真白く映えり
目を閉じて遠き木 ....
風船がしぼんでゆくのは見たくないだから今すぐ針を刺してよ
箱ならば開けてしまうよ血管を通うわたしのパンドラの血
飢えている仔猫にミルクあげるとき黒い何かの目覚めに気付く
....
ぼくたちの出会いを事故と名づければたちまちエアーバッグが邪魔で
消えかかる蛍光灯の真似をするきみの瞬きずっと見ていた
きみのその背中の刺青の蝶を捕らえるために彫りし蜘蛛の巣
....
降り立った夏の停車場せみたちの鳴き声拍手喝采のごと
実家へと歩く田園風景のさびしきひとりと描かれる夜
秘密基地としての廃屋いまはもう月光だけの棲み家となりて
失った記憶と ....
踏み込んだところが山の入り口でお眠りここがゆめの入り口
僕はまだ死んでいないとあなたから雲の手紙がひろがる深空
この花の名前をあなたに聞いたはず昨日の夢の廃屋の庭
生きて ....
やわらかく流れる小川わたくしのちひさな闇にきらめくひかり
クローバー探して回る少年と少女の絵画にみとれるぼくら
ぼくたちのこの関係を奪うのが風なら運び来るものも風
河原に ....
乱反射している飛沫に映るきみ刹那に過ぎ行く夏のはじまり
六月を雨の季節とたとえれば花嫁たちのヴェールは時雨
水の中の八月だから転校すきみの街までクロールでゆく
ひたいから ....
竹の子を探す少年少女らを囲む竹林千本の闇
ウミウシという生き物がいることもやがて知るのか二歳の娘
あの日きみが嫌いと言った茄子を見て疼くこころのむらさきの痣
たこ焼きのた ....
ぼくたちを結ぶ機会を握ってる獣は未だ箱舟の中
辿り着く場所はどこだかわからないゴタゴタしてる神様の庭
迷い込む羊の群れのただなかできみとよく似たガラスを探す
抱きしめるガ ....
どちらかがいるんだろうよ檻の中ぼくかゴリラか知らないけれど
ずっとふたり一緒だったね動物園 檻の中でも一緒だったね
挟まってあなたの頭ぬけなくて慌てて呼んだわ飼育係を
赤 ....
満開のころに降る雨いつもいつも恋に似たものすべてはかない
なんとなく聞こえる卵の殻が今割れた気がする恋人前夜
自転車であなたの街に着く前に五月の風に抱かれるわたし
たくさ ....
きみがまだ少女の頃はぼくもまた少年だった すれ違う駅
きみと向かいあって話した教室が世界のすべてであったあの夏
きみの吸ってたマルボロライトを吸ってみる吐き出す煙が重い七月
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生きている不思議な夢を君は見た?そろそろ君は目覚めるかもね
野山駆け野山駆けられ僕たちは遂に野山に野山られてる
回転扉を閉めれば良いのですあからさまな反射など屈折してしまう
....
声色を変えてもわかるきみのこと遺伝子レベルで記憶してるから
色々と迷いましたよだけどこれこれにしますよこれはシャケ弁
開花してしまった空をもう一度つぼみに戻す さらば空想
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たぶんきみたぶんきみだと思うんだマリーゴールドみたいな空だ
ハート型に切り抜かれてるきみのむね猟銃くわえる真似をしてみる
きみのため蛍光灯を次々とつけてゆくからどんどん消しな
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少女たち暗黒舞踏を踊る夜旧市街へと駆ける少年
少年が少女の着替えを待っている土の器をふたつ並べて
蜜だらけベッドの上で酔い潰れ蛇足過剰の花をむさぼる
張り詰める音楽室の黒 ....
丘しかない街の周りをてんねんと呼ばれるきみの自転車がゆく
「本当は円かもしれない」そう言って虹の半円探しだすきみ
ていねいに折り目をつけてあれはシャツ飛んでゆくのはアイロンですね
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今青き蛇の抜け殻くぐりぬけ廃墟のごとき雨の降るかも
コスモスの群がる丘で赤と青 少年少女が燃やすむらさき
錆び付いたあなたが今夜もあらわれて僕のくちびる噛んでさよなら
降 ....
バス停で君を待ってる手の平に人とゆう字を千回書いて
鉄棒に逆上がりして校庭を空へと落とすサッカー部員
難解な数の定理を飛び越えてブッダのように眠ってるきみ
教科書の隅に落 ....
罪の森きみの手を取り「逃げよう」と言った途端に僕も罪人
森のなか追いかけごっこふたりして迷い込んだねもうひとつの森
瓶詰めの蝶を埋めます木の根元「飛び立つものはすべて埋めます」
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縁側で闇を見ている妹の白いうなじが僕を呼んでる
夏野山汗ばみながら駆けてゆくゆくえふめいの妹の兄
鉄塔の錆びた階段昇りゆく100階したから姉とは呼べづ
鏡台に映る妹べにを ....
ゆふぐれに君とふたりで春の墓地ここでひととき幽霊しようか
「五千年前の約束忘れたの?」花火しながら妹が問ふ
昆虫がふたりの為の出会いなど知らづに運ぶ花粉かな
警報機こわし ....
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