環形動物の好む
クチナシの花が咲いて
夏が来る
ふくらんだ
白い腹の上で
笑いながら
木イチゴの実を摘んだ
開かれた朝
口を閉じていたイモリ
小さな水たまりの底に
きらりと ....
どんな蝶でも蜜を求める花に
好き嫌いがあるように
あなたの望む花と
わたしのなりたい花には
どうしても相容れないものが
あるのかも知れない
たとえば地味目なおんなのひとがいて
百人のおと ....
☆ おへそにピアス
おへそにピアスしています
ローライズのずっと上
チューブトップのちょっと下
夏の視線がやたら眩しくて
わたしのまんなか
おへそにピアス
わたしがまだ
あのひ ....
硬直してゆく現実
孤立した魂の群れが虚しく彷徨う世界
それでも確かなものを求めて
それでも変わらないものを探して
流れてゆく風景の中を
走り続けてゆく
そうさ
なにかを掴んだと思って ....
冷房の効いた電車の中
一人扇子を仰ぐ
今日は暑すぎる
虫の動きが速い
耳ではシンセドラムが
正確なリズムを打つ。
次は国分寺出口は右側
おばさんが押して出る
今度はラップがなり ....
雨よ降れ
風よ吹け
雷がなり
眠る妖精
拳を上げ
根性出し
底力見せ
男の意地
元気愉快
緊急事態
緊張状態
放心状態
宝探しをしようか
長い影の伸びる帰り道
長い髪を夏風に遊ばせて君は
少し目を細める微笑みで
子供みたいな提案をした
その話の続きはなく
会話はぷつりと途切れて
また君は楽しそうに風の中を ....
大きなガラス扉
日焼けしたブラインド
貸店舗、の白い貼り紙
コンビニになりきれなかった
角の、たなか屋
殺風景な店先のコンクリートには
ただひとつ
小さな郵便ポストが生えたまま
舌 ....
おばちゃんに虐められて
頭を下げる
頭を下げるくらい
なんて事はない。
怒らせないように
黙って聞き
怒らせないように
ものを言う。
侮辱と屈辱の中
自分を低め
相手を利用 ....
つるかわ
つり革の下には
振動する幽霊の手が
ぶらぶらしているよと
嫁のもらい手がないよと
節だらけの拳を振る
明治生まれの大伯母に
呼ばれたような気がして
リノリウムの床を
....
蜘蛛の編んだ細い網に雫
ひとつひとつに虹がかかり
その上を二人連れ立っていく
時には酔った蝶と芳しい花
時には奏でる風と歌う鳥
今朝、校舎の前で
無口な少女を見た
目が合うと
少しだけ笑って
そのまま自転車の
静かなスピードで
追い越してった、八時十五分。
無口な少女の
名前を知らない、
先生が出席をとっ ....
ヘロー、私がLockTheKey
今日スゲェ恐怖がW.Cをノックするから鍵を掛けろ
それは陽炎か幻覚だろうが貴様にハローと呼び掛ける
答えるな、肩へルナティックな彼方からの光が降りて
まる ....
月光を浴びて生まれた一人の少女
その唇から
言葉がツタのように伸びてからまり
あの家を覆ったの
家の中には
青白い顔をした少年が一人
小さな椅子に座っていて
コーヒーミルを回していた ....
暴力的なラフランス
狂ってごらんなさい
もともと腐った友達と
一センチの三枚刃
氷砕いて乳首の前でひるんだ夕べ
焦げつく匂いが屋敷の合図
ジュマペール黒のJ
歌っていたら泡吹いて倒 ....
の丘に
咲いたダリアの一輪の
唇の頬のうなじの太ももの蹄鉄の
隠された場所の
の丘に
びっしりと生えそろう数億のダリアの一輪の
唇の頬のうなじの太ももの
暴かれた場所の
の丘
....
ノイズを吸って吐いて
ため息を生産している
死ぬ間際のカートの声を聞いて
ほんの少し救われたけれど
まだまだ足りないんだ
枯れ葉がおれの前を舞って
ナイフの様に突き刺そうとする
右胸 ....
夜に、わたしは
はしたないほど口を開けますから
どうぞそこから私の中に
入っておいでなさい
内側から私を喰い尽くして
やがて空洞になった私の躰は
それでもまだぬるま湯ほ ....
ビョー、ビョー
吹く風は
騒がしく切なくて
そのくせに甘えて拗ねて
おまえ何様なんだよと
ふくれたら
おまえの知らない偉い神様に仕えて居るんだよと
ふてぶてしい顔になって
偉い勢いで吹 ....
笑ってたんだ
笑ってたんだ
きっと
あったかい土に抱かれて
優しい雨に愛されて
まだ見ぬ地上の風に憧れて
君たち 泥んこぼうず達は
笑って
幸せに
暮らしてたんだ
そして 素直に育 ....
そこでは ぼく と あなた と だけ だった
ふたり... 手のひらの 傷穴 を 帰って いったのは
日がな 窓の眼の まま いっぱいに
高まり 止んでは ....
緑が目にしみます
僕は
捨てなければならぬものを
いくつも背負い込んでは
その捨て場に
迷っています
そのうえ
次から次へと
捨てたくなってしまうものが
増えてしまい
捨てることも ....
ぼくは詩を書きたい
たとえ自分を見失ったとしても
進むべき道は必ず存在する
今日もまた
朝の散歩をしていると
静寂に出会いました
林の中
光をも遮り
薄暗いその空間は ....
{引用= あのひとの記憶がしずむ海は、いつしか防砂林で見えなくなった
越えられない高さに、すこし安心した}
砂が、降って
深く深く沈んで 底まで
皮膚 ....
それは言葉にならない思いであった
母は母であった
息子は息子であった
いずれは離れ離れになる定めだった
『ふたりは生き別れる』
それは別段、不幸なことでもなく
いつまでも悔恨に捕らわれるこ ....
静寂の水面に一石を投ずれば
波紋がゆらり、影が波立つ
月もまた冷ややかな横顔を
一層歪めて泣き笑いする
この橋の名を面影橋と人は呼ぶ
月明かりの下で我が影を
水面に映せば見えるとい ....
美術の先生が
黒と白だけは
どんなに絵の具を混ぜても
作り出せないのだと言っていた
そんな貴重な色の絵の具は
どんな材料で作られ
どこの国の工場から送られてくるのだろうかと
想像をめ ....
『グミ・チョコレート・パイン』をしよう
ジャンケン・ポイ
グ・ミ
ぼくは早くあがりたいがために
チョキを出して 負けた
きみは二歩進む
ぼくはこのままで
ジャンケン・ポイ ....
春に降る雨で
体のかたすみが
ざりざりです
暗闇に体を置いて
ぬくもりだけに委ねれば
心の対流で
とりもどす
ほんとうのすがたで
触れようと指を伸ばすと ....
学校は不思議
ワックスをかけてみがかれた木の床と
コンクリートの壁
誰も居ないときはすごく寂しいところなのに
そこに私たちがひしめいて笑いあうと
途端に学校が息をし始める
卒業を前にし ....
1 2 3 4 5 6