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静寂が満ちるのを待つ

あなたは
広げた想像の張力に身をゆだねて
空を映す水面に静かに浮いている

手のひらをつぼみにして
ゆっくりとふくらませるとき
わずかな空間の揺らぎが
水中を ....
張りつめた風の端
やわらかい記憶の糸をほどけば
泣いてしまうかもしれない
あなたは

ほころぶ桜の薄い花びら
その散り際の光景を思い浮かべるとき
過ぎた時を惜しむ眼差しで
未来を見つめ ....
携帯電話で話しながら

「近くのはずなんだけど、、、わかるようにスッキップしてみて」
と言われて正直にスキップする僕は
どうしょうもないバカだ

そんな僕を見て
君が笑ってくれ ....
その女の人は、ずいぶんと寡黙な人で
その寡黙さが
しきりに語りかけてくるのを
熱心に聞いていた

薄い手のひらでくるまれた
さらに繊細な指先は
紙袋のひもに引き伸ばされて
青く静止して ....
ねぇ、ホットコーラだよ

甘い匂いをただよわせて
黒くどろどろしてるんだよ

はじけるように笑ってた頃
涙がかわくのもはやかった
小さな世界から飛び出そうと
圧力に押されながら生きてい ....
鏡の色が
鏡そのものの色でないと気づいたとき

透明で書かれた文字が
読めるようになりました

そこには
「在る」
と書かれていて

それを読むことで
はじめて鏡に映ることができ ....
冬枯れの芝生を背負って空に飛び込めば
雲よりもはるか高くに居られる

重力に吸い寄せられた現実
あるがままの世界は逆さまだ
夕方の日は昇り
夜は足元に降りてゆく
暗闇に沈む星に手をのばし ....
おへその穴が気になって
ゆびをつっこんだらするする入ってしまった

はじめてさわった内側は生温かい
こりこりしたものがあったので
ひっぱり出してみたら癌だった
知らないうちに入り込まれてい ....
感情の糸をわたる指先は
安いヴァイオリンのように響いて
逆立つ髪を宥めれば
傾いた首の方へ流れてゆく


(鼓膜を抜けて届いた先には
 やわらかいあなたがまるまっている)


明滅 ....
天気のいい日はたまらない

家からは出ない
窓も開けない

 (つらいのだ)

去年の夏は猛暑で
「来年の花粉はひどいでしょうね」と
誰かが言っていた


   *


 ....
水平線を断ち切るように
僕らはときおり空を見上げる

加速してゆく時代は
小さな出来事をかき消して
紙の上の真実も風に飛ばされてしまう

渡り鳥が
故郷を忘れないでいられるのは何故だろ ....
生まれ落ちたのは下町だった

色褪せた写真のように
どれも茜色に染まっている
真昼の公園も
二間のアパートも
父親が働いていた小さな町工場も
視線の先には
いつも人がいて
ろくろ首の ....
傷つくほどに赤は流れ

与えることなく緑は枯れて

見上げることを忘れ青は沈んだ


いろいろを手放しても透明は訪れず
白い紙に黒い文字を並べれば


溶け出した灰色に
埋もれ ....
しあわせ村の村長さんは
昨日のことをすぐに忘れる

村の人口は減少してるのに
新しい学校をつくり
新しい文化会館をつくり

そんなこともすぐに忘れて
今は道路をつくることに夢中だ

 ....
煙が這っている

吸殻 だとか 灰 だとか
抜け殻 だとか カス だとか
置き去りにして
きれいに消えてみせる

そんなふうに居なくなるなんて
ずるい
ただただ ずるい
儚さだけを ....
感情というものは
外に現れようとする衝動ですから
奥歯で
ギリギリと音を立てれば
痛そうに響くもの
すべて捨ててしまったと
言う人は
一つ何かが増えるたび
ただ恐ろしく感じます
何か ....
壊れてしまったあなたを
彷彿とさせる
指先 の 震え

揺れる窓辺からこぼれた
儚さとは何だったか

問い は
景色の中に潜みながら
かすかな声を発する

嗚呼

そうであっ ....
逆立ちしてもできるんだと
空に向かって股をひろげたその子は
倒れたあと少し悔しがり
今度は大の字になって
世界に向けて発信中と叫ぶ

その子は誰にでもピースする
やめなさいと言いたくなる ....
風が吹いたと思ったら
あなたはもういませんでした
見上げた空には
枯葉が一枚舞っていて
届きそうで届かない
私は
待っているのをやめて
風になろうと決めたのに
枯葉は  ....
誰もいない
雪のホームで
ふたつの足跡が列車を待っています

小さな足跡が二歩すすむのを
一歩で追い越す大きな足跡が
追いつけない
小さな足跡を残して
振り返るように立ち止まると

 ....
窓を滑る川底に動けぬ魚がいる

空をうかがう眼を光らせても
端々に歪みを見ては現実は遠い
瞳のうろこを剥ぎ
平坦な眼差しで形をとらえよ

朝日は白くひるがえり
刻々と景色をめくりながら ....
友よ
私の背を見るな
たちまち笑い
たちまち逃げる
ほころぶ糸を引っ張って
私を優しく宥めるな

氷雨は土にも嫌われる
地に溢れ濁りきった海
寄り添う島の木の枝に
一羽の鳥が鳴くな ....
外は雨
灰色の壁にカーテンがもたれる
裏に隠した影に「わたし」を探す
探す
見つける
爪痕のようなキズ
記憶を見つめる
何年か前に患った病
真夜中の病室は6人の病人よりも暗い
けれど ....
終電に嫌われて千鳥足
出会いと別れにくたびれてしまった

気がつけばタクシーの中
行く先を告げた記憶もない、運転手は
灰色の髪を暗がりに染めている

「20世紀横丁です」

見慣れな ....
何もかも傾いている
時間にもたれかかっている

不安なのだ

矢印を明日に向け
地に足をつけば斜めになる

上り坂の頂上に
日が昇るのを待ち

やがて

ビルとビルの間から
 ....
さくさくと軽い音をたてながら
生きものたちの影を求めて歩きました
胸いっぱいの冷たい空気を吐き出せば
白いけむりの中に春が見えないかと
苔にすべってつかまった木の肌は
渇いた鱗のように剥がれ ....
繁華街のビルの壁
男はチョークを振りかざし
白い壁に白い粉を降らせていた
書いた文字はたちまち剥がれ落ち
男の足元に降り積もる

時間×距離×事情 
時間×距離×事情・・・

同じ文 ....
オレンジの雲をかじる
甘酸っぱい空気を冷やして飲んだ
気流が発生する前の
静かに流れる朝は鳥の声に押されて
ようやく白い地を染める
地球の回転は空の綱引き
勝ち負けのない勝負は
けれど引 ....
仄暗い公園のベンチで
みかんの皮を食べろと言われている老人が
喜んでと言って頬張っていたのは新聞紙
これでいいですかとにこにこしながら
鳩の目で少年たちを睨みつける

ぽおっぽっぽっぽ ぽ ....
そうやって夜は沈み
盲目のあなたは歩くこともできず
杖を探して這い回るのです

まぶたを透かす希望に
わずかなぬくもりを感じると
胸の奥に溜め込んで満ちるのを待つ
狂いそうな ....
Yousukeさんのベンジャミンさんおすすめリスト(101)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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