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あまくなった
熟れた私は
のばしかけの髪を
洗う。
したたる
雫をなめてみて。
りんごの
香りがするよ。
モーツァルトを聴いて育ったりんご
のように
あまい
からだ。
....
{引用=夢を見た。}
夢の国に行ったら神様はいなかったけど
ミッキーマウスがいた。
「みんなの人気者」なんて嫌いだったから
ディズニーランドで会っても
手なんか振ってやらないと思ってたけ ....
取り急ぎ、
申し上げます。
(中略。)
そうしてぼくは、
きみよりお年寄りになって、
しまったのでした。
だから。
いつか向こうに着い ....
五年前に自殺サイトの掲示板やチャットルームばかり見ていたぼくは
ぼくの瞳がそれを僕の世界にうつしたように
いまわたしは空気ばかりみつめる。
「PARTY」
真夏のALTA ....
うだるような暑さ
浮かぶ汗は彼の人を飾るオパール
薄いガーゼのシャツ
肢体を包んでいる
あまい匂い
バニラアイスみたいな
舐めたくなるような
誰にでもこんなことするの
と
わたし ....
夏の最後の日差しが眩しくて
何も言えずに目を閉じた
晴れた空に向かって
君は背伸びをして手を伸ばす
それでも僕は何も言えない
ひと夏が終わるたび
....
太陽はひとつの色をうしない
温度がとけていくように
置いていかれた記憶は
そらを重たくさせる
いれものが
ふたつありました
ふたごのようにそっくりでした
どろみずをひとばんためておくと
いっぽうはどくみずに
もういっぽうはのみみずになりました
のみみずは
ひとびとののどをうる ....
われらの旅についてかたろう
われらとは わたしであってわたしでなく
すべての旅を ひきついでありつづける
おおいなるひろがり そのなかへ わたしもきえるが
われらの旅にはおわりがない
強い力で空を裂き
轟音残すジェット機と。
風に乗っていつまでも
無音ですべるグライダー。
わたし?
自転車だよまいったか。
疲れたら休むし。
下り坂では調子 ....
日記は忘れています
かつて
誰かの小鳥であったことを
目を瞑ると
まぶたの中で風景が裏返る
人は皆
空の切れ端でした
それはすてきな
なつのそらを
かついでかえったのに
いない
なつくさのみどり
たっぷりと
しみこませたのに
いない
さっきとったトマト
しおかけて
きゅーっとうまいのに
....
いくら温めても孵らない夕暮れに
灯りはじめた明りが視線にぶら下がっている
帰り道を間違えた私は
街角を覆う木の下で傾くようにして
蝉は鳴かない
明日への蓄えを手のひらに溜めるようにして
燃 ....
煙が隙間を埋めていくので
わたしは思わずフタを開きました。
殻の中を出たいと思っても、
そこまでひらめく元気はありませんでした。
煙が抜けたときに
貴方はとっても怪訝な目をして、
煙を ....
おきたら
羽が生えてた
羽ブラをかってみたけど
どうもまだ慣れない
でも次の晴れた日には
少し飛んでみようと 思う。
サワレナイという女の子がいました
何を贈られてもそれに触れないでかなしそうに笑うので
そう呼ばれていたのです
サワレナイはある朝、さみしい夢に目を覚ましました
そして、毎朝そうやって起きていた ....
レモン水一口飲んでいる間に
地球が生まれ
消えていきました
桜がとてもきれいだったので
あなたに伝言を残そうと思いました
お早うございます
お早うございます
朝の空気は、
ひとしきり
健やかである
しかしこんなに曇った
朝はどこか
薄闇色の逃避行
それでも朝は
お早うございます
あいさつ、をす ....
夕陽の、
あの世界の全てを焦がしかねない熱量を持つ
直情的な眼差しを
一身に受け止めるたおやかな雲
火傷を恐がらずただ信じて手を広げ
柔らかな身体で抱き止めるその姿が
僕を魅了してならない ....
きれいな音楽だとか
物語が
ささえになること
ぜんぶひとから生まれたなんて うそみたい
ひとは まだ じょうずに好きになることができない
うけとめる心の
線の細さは
....
わたしは宇宙人を見つけた
自分でそう言っていたから
たぶん宇宙人なんだと思う
宇宙人はロックバーのトイレで煙草を吸っていた
フロアが混みすぎていたからだと思う
ずいぶん痩せているから
....
出会いがしらに、
さようならっていい言葉やね
とあなたは云った
空は低く銀杏の木だけが一本高く見える
出会いがしらにいってくれて助けられた気がして
知り合いへの手紙を破った、日
ドロップ缶 カラカラ鳴らして
君と歩いて
いつから蹴り始めたのか
解らないその石を
君はテンションに任せて
思い切り蹴り上げ
ガシャーンと
どこかのガラスを割ってしまって
....
窓から窓のかたちの風が来て
わたしの前に箱をつくり
ゆうるりゆうるりまわりながら
冷たい心のありかを示す
あたたかな胸とあたたかな声が
わたしのまわりに円を描く
今は静 ....
石化した太陽が空から落ちてきた
遠くの海にポチャンと落ちた
みんなびっくりしたけれど
津波はやって来ないから
どうでもいいやと思ったそうだ
波に揺られて潮に流され
暗い海底をまりものように ....
お嬢の小唄を
宙に放れば
おてんと様が照らしてくれる
小僧の小唄を
地に撞けば
根っこの隅々しらべてくれる
手毬唄、ひとつ
この手に優しい
中身かどうか
優しくこの手に帰 ....
昼が過ぎる。真夏日が待機した窓を開いた。
半裸な都会の露出度は、夕方に足を突っ込んでいる。
ベランダから返り討ちをしてやろうと、長袖に手をかけてやめた。
―ソファーの色、体毛よりも淡い、素肌 ....
うすい月が窓までおりてきて
わたしの絶望を笑うのだった
からっぽになったところで出発だ
ほんとうの旅は いまからはじまる
なんて こともなげに言うのだった
十二番目で
いつも言葉を間違えてしまう君は
その次の交差点では
左折ばかりを繰り返している
東京
狭い夕暮れで
夢から覚めたばかりの抜け落ちた体を
ついでのような角度でドアの隙間に潜り込 ....
ふしあわせになればいい
あなたの大事なヒトが
嘘つきで
ルーズで
借金持ちで
指名手配で
全部君のためだよって自分のためで
どんなつまらないミスにも言い訳がデフォルトで
甲斐性 ....
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