大工は黙々と
もくもく雲を
鉋で削っている

おが屑のような 白い雲
見晴らしもよく
遠い山脈は 透きとおって見える

黄昏 誰も彼もが眼の上に
反芻いようのないことに
さよならし ....
猫に追われたネズミが、
Oの形をした穴の中へと逃げ隠れた。
はみ出していた尻尾のせいで
Qに見えなくもななかったのだが、
はたしてそれは問題となるのだろうか。
答えは猫の胃の中だというのに? ....
「ぶち猫も欲しがってら。」
ばあちゃんの言うとおり、窓の外で三毛猫が
僕らが食べる蜜柑の行方をじっと見ている。
けれど本当に三毛猫が
蜜柑を欲しがっているかは知らない。
一体全体、僕は(きっ ....
静かなところに
土手か あぜ道か
そこらに
とりたてて めでたくもないが
ハーモニカの記念碑を建てよう

風が 風が吹いたなら
地球にたくわえられた音が
プァ プァ
聞こえるような
 ....
12時、きっかり。門を閉める。
鍵を閉める。金庫を閉める。

薄暗闇のバーには、どんなお客の姿も見えない。
11時。すべての客は、バーテンダーを置いて帰っていった。

小さな敷地に店を構え ....
三時になるとベビーシッターの女は
「おやつ」の入った戸棚を開く。そして
それを取り出すと、大きなお尻で扉を閉めて
床に座って足を投げ出し、それからだ。
彼女は瞼越しに日差しを感じながら、まるで ....
昼下がり、蝉のバッチをつけた男が
ショウウインドウを覗き込んでいる。そこには
アンティークのオルゴールが置かれていた。
しばらくすると、店員がやってきてネジをまわした。
すると蝉が鳴き始めてあ ....
影の、模様が、オレンジ色の光の混ざって、
ひときわ目立つ、クリーム色の壁。

朝には、日差しが、ベランダの、遅起きの昆虫を、
執拗な温度で照らす。

次の日も、町内に響く、下校のチャイムが ....
ぼくの恋愛感情は
小学6年生だった

授業のチャイムが聞こえたならば
急いで席に着かなくちゃならない

なのに先生である彼女は休みがちで
せまい教室でぼくは自習ばかりしていた

そこ ....
てっぺんでは

からすがしんでいる

この長い坂で

唯一すれちがった女の嘲笑を

不可解には感じたが

歩みを止める権利のない僕は

そのまま

遊園地へむかうとする
「魔女の宅急便みたいには、しなくていいからね。」

という注意事項

(カーブで、からだをぎゅーんと傾けることらしい。)




風が かおの横をさらさら通り抜けていき

こわい ....
街は、宣伝する車の謳い文句と、気にも止めない通行人を生贄にして
せり上がる暑さよりも、乾いた空虚さを従えていたので
僕等は、長い橋の上からきらめく水面を眺めている。
そこにありもしない目印を探し ....
わたしが放課後こっそりえさをやっていた
あの河川敷の林の猫を
あなたがちいさな段ボールに詰めたとき
ほんとうはおどろいたし
とてもかなしかったのだけれど
それがあなたの愛し方だと知っていたの ....
それを少女は 
みなに内緒にして
草むらのなかを
さがしていたんだ

川につらなる
あたらしい蜘蛛たちは
糸に針とえさをつけて
釣りをしていたり

雲のなかでは 
ニンジンをぶら ....
あまい声で
怠惰を呼んで、呼んで
とおく、遠くを見つめたまま
しだれたしっぽを揺らす
羽虫を追う
窓辺の
小さなひかり
 廃墟で美しい女が窓を拭いている。
手にしていたのはハンカチか、雑巾か、どちらにしろ
窓のガラスは全部割れていた。
柱の陰から鼠が、いつかいつかと
女を驚かす機会を伺っていた。が、それは無駄だ ....
最初で最後の崖は
未知というより 
無知な土が育んだ。
時々、崖の下の海へ
化石をペッペと吐き捨てる。
海は化石を食うと
ゲップをしたり
腹をこわして泡を吐く。
化石のなかには一万年
 ....
おっきなカエルが枕元に立って
コートの襟を直しながら
鼻の穴をヒクヒク ゲコゲコ


寒い季節になりました
子供たちを運ぶのを
手伝っていただけませんか?


あたしは目をパチ ....
十二番目で
いつも言葉を間違えてしまう君は
その次の交差点では
左折ばかりを繰り返している
東京
狭い夕暮れで
夢から覚めたばかりの抜け落ちた体を
ついでのような角度でドアの隙間に潜り込 ....
樫の木の下で眺める
フェンスの向こう 霞ヶ浦で
クルーザーが揺れている

その遠く 建物の明かりが
夜の中に沈殿する様
ぼんやりと灯っている

広い駐車場には 数台の車
一台のセダン ....
男は冷蔵庫の中で傘を飼育している
夜の方が良く育つときいたので
朝になるとわくわくしながら傘に定規をあてるのだが
傘の長さが変わっていることはなく
その度にがっかりする
けれど男は知 ....
ねぇ、アリス
貴女が居なくなっても
この世界は続くと思っているでしょう

ここは 
たまたま落ちた夢の国

だから
たまたまなんて
二度と起きたりしないのよ


ねぇ、アリ ....
自分で自分が保てないとき
ベッドの中で
ヘッドフォンつけた魚になる


音は内壁を舐める
あたしの形をなぞって
まだ崩壊してないことを教えてくれる



でもあたし
気分は ....
 街は停電していた。僕等は街外れのバッティングセンターへ向かっていた。
夜だというのに「竜巻が渦巻いているせいだ」という友人はヤンキーで
彼が走らせる車は、真っ暗な交差点に渦巻くいくつかのそれをか ....
甘栗むいちゃいました
三点倒立で甘栗むいちゃいました
航空ショーで甘栗むいちゃいました
筋肉ミュージカルで甘栗むいちゃいました
死海で浮かびながら甘栗むいちゃいました
女性専用車両で甘栗むい ....
言葉で武装してはならない
言葉を武器にしてはならない
争いは銃からではなく
言葉から始まることを知らなくてはならない

言葉で武装してはならない
言葉を武器にしてはならない
言葉の扱いが ....
脅迫です。
書いたから読め、ということです。
2回ほどありますよ。この寡黙でおしとやかでシャイな砲丸投げ選手として活
躍しているMonkさんも。こっぱずかしいですよ。誰かのために詩を書いてそれ
 ....
さかさまつげ と診断され
父に手をつないでもらって
眼科に通って いた頃

診察してくださった先生は
遠くをみつめなさい と言った

遠くの山の緑 遠くの景色を
とても 眼にいいか ....
若く情熱があり頭の回転の早い人たちは、はやく自分が何者であるかを定義したがる
早く世界に出て自分の態度を説明しようとする
どれだけ自分が一人前であるのかを社会に認めてもらおうとしている
分かる、 ....
娘は将来アイス屋になりたいと言う
好物のアイスを好きなだけ食べられるから
ではなくて
沢山の人を幸せにしたいからだそうだ

いっしょにお風呂に入ると必ずその話題になって
バニラ ....
デニスホッパーさんのおすすめリスト(35)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
「雲と大工」- プテラノ ...自由詩3*05-10-7
Question- プテラノ ...自由詩2*05-10-3
蜜柑の味- プテラノ ...自由詩6*05-9-16
ハーモニカの記念碑- プテラノ ...自由詩5*05-9-15
バーの悲しみ、とトリコロールの跡で- チャオ自由詩2*05-8-16
ベビーシッター、その周辺- プテラノ ...自由詩2*05-8-13
「蝉」- プテラノ ...自由詩4*05-8-10
住宅地の陰口- チャオ自由詩3*05-8-6
落書き- プテラノ ...自由詩9*05-8-3
六ノ坂- コトリ自由詩5*05-7-21
カゼノマチ- コトリ自由詩4*05-7-21
訪れない、その手前で- プテラノ ...自由詩11*05-7-20
はこねこ- コトリ自由詩14*05-7-20
「トレードマーク」- プテラノ ...自由詩9*05-7-18
窓辺の- かのこ未詩・独白205-7-16
「マジシャン」- プテラノ ...自由詩6*05-7-15
「崖」- プテラノ ...自由詩3*05-7-14
カエル交響曲no5- 蜜 花自由詩5*05-7-12
トーキョータワー- 霜天自由詩4305-7-12
一つの距離- プテラノ ...自由詩3*05-7-11
七人の男(傘を育てる男)- たもつ自由詩4705-7-7
不思議の国のアリス- 千波 一 ...自由詩16*05-7-3
ベッドではねる魚- 蜜 花自由詩5*05-7-3
yankee- プテラノ ...自由詩6*05-5-31
甘栗むいちゃいました- マスイジ ...自由詩58*05-5-18
武装放棄- いとう未詩・独白62*05-5-9
これは君のために書いた- Monk散文(批評 ...1705-4-21
とおくを_みつめなさい- 砂木自由詩58*05-4-20
若い人に捧ぐpoem- 馬野ミキ散文(批評 ...4505-2-23
十階の家族- たもつ自由詩100+04-12-11

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