一つの距離
プテラノドン

樫の木の下で眺める
フェンスの向こう 霞ヶ浦で
クルーザーが揺れている

その遠く 建物の明かりが
夜の中に沈殿する様
ぼんやりと灯っている

広い駐車場には 数台の車
一台のセダンの走行距離は
十万kmをゆうに超えていた

十万行の詩を書くためには
どれだけのガソリンと
行くあてが必要となるのか

一mの 距離は短く
一行の 距離は長い
深さに―

雨が上がる 水たまりに
風が雫を落とす
明日ともなれば乾いてしまう

でもそれは十万行の詩の中で
絶えず溢れる泉であって
無くなる気配など、ないのだ


自由詩 一つの距離 Copyright プテラノドン 2005-07-11 21:51:33
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