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空転しそうな少年は
風が吹けば背を向けるしかなかった
夕日からは目を背けずに
焼け付く色を一日でも、忘れずにいたかった

誰かを愛したことはあった
それを背負うだけの重さなんて
誰にもな ....
物置の中では
今日も途方に暮れたものもの、が
自然な姿で融解しあっている
主人は今日も不在だった
あと何年、ここに居ればいいのだろう

ありがとうの行き先を
いつも間違えている気がして
 ....
沈んでみても、何も知らないままだった


それは六月のサイレン
降り止まない四月の桜
同じところを同じだけ繰り返して
歌声はそれでも高いところを目指している

好きな人を好きな ....
このようにして
夏を取り巻く呼吸は
やがて薄れていくのです
擦り剥いてしまった、膝のような
削られていく私たちを
夏空はどんなふうに
抱いてくれるでしょう


グラスの中の氷は
き ....
「輪郭はね、大きすぎない方がいいと思うんだ。
    両手を、こう。ゆらりと、一杯に広げたくらいの」




朝の電車は
どこかに海の匂いが紛れている
だから皆、溺れた ....
「天井に穴が開いてね。いつまでも眺めていたら、
   なんだか塞ぐのが、勿体無く思えてきたんだ。
     ほら、そこから突き抜けていけそうだろう?」




一割ほどの ....
見知らぬ人から葉書が届いた
元気ですか、とだけ書かれているそれに
元気ですよ、と応えてみても
一人の部屋は結局一人だった

置いていかれた
この街も、いつの間にか色が薄くなってきている
 ....
乗り過ごしの君を乗せて都会の
寒いばかりのドアは行き過ぎる
ざらついた坂の向こうで、夏は
君の声を真似て、笑う

誰のものになるか、晴れ向日葵
種を植えたのはふたり、以上で
なりそこない ....
振り分ける少女の、

名前もない
痛む、芯も
未完成な少女の主題は
誰にも知られない、それだけの行く末

本を開けば文字に溺れた
さかなに、なりたかった
揺らぎ揺らすからだの線
 ....
君の操る必殺技を
よく知らなかったので
不用意に踏み込んで
吹き飛ばされてしまった
それと同じような時代、なのかもしれない

人は満水になると、河へ


誰の肩にも当たらないように夢 ....
ささやかな私たちは
長い夜、ごとに膨らんでいく
収まりきれない部屋の、隙間に涙を込めて

名前を、呼ばないで
私たちを訪ねる人たちの
声がはぐれていくから


 月夜に
 ゆっくり ....
夜に、時々の夜に
震えるほどに凍えてしまう私なので
留まるために何度か
君を殺したことがある
深い深い、寝息
子守唄はいつもどこから来て
どこへ行くのだろう

私たちは何が怖くて
寄 ....
さあ、消えていこう


ほんの少しの朝食を
僕と君とで分け合ってから
いつもの通りに鍵を閉めて、出かける
いなくなるという夢を見た
そう伝えると
青色の封筒を渡されて
そこだけは、確 ....
青い目をした窓の向こうの
君かと思うので
遠い朝の海を見せたくなる
手を引いていきながら
引かれている僕の胸の穴からは
いつも空気が漏れていく
見ないでいてくれる君のために
朝の海へ、連 ....
あなたは閉じていきますが
私は閉じませんから
どうぞ
緩やかな言葉だけを

まもなく
向日葵の咲く頃です
その向こうで夏草は
焦らすように香りを時には隠すので
好きですから


 ....
全ての言葉が、その海辺へと集まっていく
見送るためでなく
出迎えのためでなく
肩からの荷を下ろし
波打ちへと捨てていく
やりきれない空の起伏を
ひとしきり戦わせた後で
すこやかに
ただ ....
雨の後には、薄い煙のような街で
君はすっかりと拡散してしまっている
夏は暑すぎて
僕らは重すぎて
渡るつり橋はどこにも見当たらない

この粒の一つひとつが
誰かのため、になっていく
昨 ....
君の欠片がまたひとつ、足りない
玄関を出たところで気付いたけれど
君はそのまま飛んでいこうとするので
あわてて、腕を掴むと
そこからいろんなものが、外れてしまう

繋ぎ合わせようと、もがい ....
閉じられた、そして
知ることもない雨が過去になって
それでも夕暮れと朝には
部屋は明るくなるので


花暦
今の頃は
冷たい雨を探す前に
どこに行けばいいのですか
すべてを抱いたま ....
あなたが海に沈んだ日
僕らはなんでもない一日を
なんでもない日常に組み込もうとしていたところで

ざわめく
白地図を埋めていきたかった
その上にも空はあって
雲は浮かんでいたはずなのに
 ....
知らない雨が通り過ぎて
心音だけが聞こえる部屋に
やっぱり私は取り残されている、のかもしれない

何かが去って
その声が聞こえて
足音が混ざり合って
雨の
ぱたんぱたんと
庭に置き去 ....
遠くを見ています
遠くを見る、街はやがて浮上します
見つめるものはいつだって純粋なものを零していくので
俯けば私の、足跡だけが追い越していく

浮上する声の下で、見送る人がいます
誓いに誓 ....
そこから音が消えてしまうと
彼は言葉で演奏を始めた
語るべき言葉を失う日のことを
ただ、朗々と奏で続ける

少しずつ無理な景色が増えていくと
喪失の夕暮れに出会ってしまう
燃える朝が安く ....
そして滑り落ちていくだけ
ガラス張りの部屋の中
なぞる縁を越えてしまえば
曇り顔の一日は

それでも白線はまだ若いので
すべてのものに区切り過ぎてしまう
おはよう、の合図ですべてが落ちて ....
ついに、越えていかれるのですね。


拝啓、海沿い、立ち並ぶ風車に。ごろんごろんと音をかき混ぜる大きな手に、何でもないことを、挨拶のように振舞うあなたに。ここを、越えていかれるのですね。知ってい ....
誰かがその両手に言葉を沈めた
すべての夜が時間通りになっていく
長い石段のその先で祈り続けてみた
世界はそんなふうに縁取られて

三十回目の離陸の後で
飛び立つ行方のさらに遠くをご覧なさい ....
時間が、かたちになるとしたら
思うよりも綺麗に見えるかもしれない
夕日を右側に受けながら
止まった部屋が揺れた気がする

ほんの少しのリズムを
みんなが取り戻していく
いつかよりも欠けた ....
雨の部屋に静かに崩れる砂の声に
それでも傘を差せずにいる
いつも狭い夕暮れだった
零れていくものといえば、僕らの影ばかり

当たり前なほどに
当たり前はなくて
二十年後の空の色よりは
 ....
いつも眠ることばかりを考えていました
枕の硬さが場所についてを語っているので
少しばかり、指先を開くようにして
眠る場所のことばかりを想っていました

安息は帰りましたか
こちらでは同じこ ....
君の声を聞きながら
僕は背中で昨日の夕陽を夢見ている
後ろ向きに眠りたい夜もある
紙飛行機だけが日付を越えていく

いつも聞こえるユーモレスク
君はどこまでも繰り返しで
世界はいつでも思 ....
千波 一也さんの霜天さんおすすめリスト(180)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
向日葵空- 霜天自由詩406-8-6
ビニールシート- 霜天自由詩506-8-4
沈んでみても、何も知らないままだった- 霜天自由詩906-8-3
夏水- 霜天自由詩1006-7-30
祝福- 霜天自由詩1306-7-26
ひとがた- 霜天自由詩706-7-24
転居届- 霜天自由詩706-7-23
環状線- 霜天自由詩506-7-21
仮想記憶- 霜天自由詩706-7-20
優しい時代- 霜天自由詩906-7-18
鬼灯- 霜天自由詩506-7-17
君の河が海に混ざる、その前に- 霜天自由詩606-7-16
雨通る、風溜りを越えて- 霜天自由詩606-7-15
遊歩道- 霜天自由詩806-7-6
closed,closed- 霜天自由詩806-7-4
水際へ- 霜天自由詩1106-7-2
融和- 霜天自由詩506-6-30
練習- 霜天自由詩806-6-28
closed,and- 霜天自由詩606-6-26
closed- 霜天自由詩406-6-25
閉じゆく景色へのプロローグ- 霜天自由詩606-6-25
遠望- 霜天自由詩406-6-24
奏失- 霜天自由詩806-6-23
水時計- 霜天自由詩406-6-21
good-bye_circle- 霜天自由詩806-6-19
遠近法- 霜天自由詩406-6-18
メトロノーム- 霜天自由詩906-6-17
蒸留水- 霜天自由詩706-6-15
祖国- 霜天自由詩1206-6-14
ユーモレスク- 霜天自由詩506-6-12

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