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結び目を
ほどこうとする指先は
きみの吐息の熱さのなかで
やわらかに
能動のつもり、の
受動となる

名を呼ぶほどに
ひとみはひとみの鏡となって
きみは時折
ひとりで勝手に向こうへ ....
{引用=
元素の記号に音を託して、

ひとつの譜をここに。

それぞれの元素たちの姿を探しつつ、

あそびに流れてみませんか。}



●Fe(鉄)  

   フェンス越し ....
逢うことは必ずしも救いとならない

つかめない泡のなかで
幾百の約束は
いさぎよく果てるためだけに
咲き誇る

散りゆく夜の
風たちは
雨に満たずに群れをなす
寄る辺をしずかに願い ....
手は届かない
だから
わたしは指をくわえる

手は届かない
だから
わたしは素直にのぞむ

手は届かない
だから
わたしは
ポトリと落ちた果実をよろこぶ

非力な諸手で果実を ....
のら犬がいた

そいつは
安全な距離を保ちながら
一生懸命に
オレを吠えた

かるく
しっぽが揺れていた
もとは白かっただろうに
よごれた茶色が寂しかった


砂利道にし ....
風の手触りなど
いくらでも描けてしまうように
わたしとあなたの
輪郭は
ありふれた景色なのかも
知れないけれど
戯れることの
ひとつ
ひとつに
やわらかく透ける名前があって
眠 ....
どこへ続くかなんて知らない

呟きながら
レールを敷き詰める私

そのレールを通るのは
私ではなく
どこかの
誰か


私の役目は
それを眺めて
続きの途絶えを防ぐこと ....
ときには
顔を真っ赤にしながら
たくさんの風船を膨らませてきました

割れたものも
木の枝から離れなかったものも
見知らぬ空や海の彼方へと流れたままの
ものもあります

それは ....
おのれの呼吸が
一つの音であるということ
それは
あまりにも気づき難くて
ともすれば
日々の暮らしの意味さえも忘れてしまう


月の満ち欠けは
暦の通りに
全く正しく空に映るの ....
きれいな若者たちが
無惨な船首に触れるとき
潮騒は
永遠の座を退こうとする

これまでもこれからも
財宝は
何一つ約束を交わさない
けれどもそれは
語り継がれず
求めるこころの ....
水が割れるのです

いま
指先の銀の引き潮に
水が
割れるのです


うなじを笑い去るものには
薄氷の影の匂い
たちこめてゆきます
たちこめてゆくの
です


紫色の ....
祈りを土に捧げましょう

記憶は
ひと知れず育ってゆきますから
たくさんの道で迷えるように
そのぶんしっかり
戻れるように


空を翔ける翼のない者たちは
すべての責任を
空に負 ....
一羽の鳥が空をゆく

わたしには
その背中が見えない

いつか
図鑑で眺めたはずの
おぼろな記憶を手がかりに
爪の先ほどの
空ゆく姿を
わたしは
何倍にも引き伸ばす

こんな ....
昆布の匂いがする、と

おんなの言うままに
おとこはそっと確かめてみる


漁師町で育ったおんなは
季節ごとの海の匂いを
知っている

おとこは
ただなんとなく海がすき、とい ....
晴れのち曇り 雨 みぞれ

空のほんとは
どの日でしょうか

わたしたちには
空を知るすべが少なくて
たまたま覗いたその日の空を
強くこころに
留めがち
です


吹雪  ....
蒼く枯れるまで傍にいて下さい

たなびく煙に ほそめるひとみは
可憐な強さを{ルビ匿=かくま}って
夜風に つめは うるおいながら
{ルビ狡猾=こうかつ}な よわさに長けてゆきます

そ ....
飛ばない鳥がいたとして
飛べない鳥はいないでしょう
それとも
逆の語りの方がお肌に合いますか

ひとつ許せば
色は濃く
ひとつ拒めば
尚更に濃く
それが
青というものです
さきほ ....
うやむやに熔けてしまっていませんか
その夕暮れに

指揮棒に従うことで
いくつの雑音を聞かずに済みましたか


なつかしい歌たちに包まれたい日があります
拒みたい日もあります

 ....
宛てたい心があります

傍目には
いまさらでしょうが
いいえ
いまだからこそ

伝えたいことは簡単なのに
前置きが長すぎて
床に散る便箋は増えるばかり
傍目には
綺麗な足元か ....
覚えていますか あの国道を


場所のことではなく
名前のことではなく
もう二度と通ることのない
あの
国道のことです


向日葵の頃には
とても眩しいものでした
容赦のない陽 ....
暑い日だった


目覚めのベッドは僕のにおいで湿ってた


喉がカラカラだった

コップの水をかるく舐めたら

少し、ぬるい



鏡に映るはだかのおとこ


汗 ....
{引用=

一、漕ぎゆく者へ


  明るいうたは明るくうたおう
  明るくないうたも明るくうたおう
  そうすれば
  必ず
  いつかどこかが壊れてゆくよ
  治すというのはそ ....
豊かなくにの人々は選り好みをする
もともとは貧しかったものだから
それを遠い昔に捨てるため
それとともに
薄れてしまったものが在ることを気付きもせず
豊かなくにの人々は



ある気 ....
   {引用=   地球は絶えずまわり続けて
   そのうえに
   わたしたちは絶えず揺れている}




或るおとこの背広が
夜風に揺れている
その内側では
同様にネクタイも ....
「わたし、ヨーデルが好きなの。」

それがぼくたちの出会いだった
未知の在庫が減少していることは
それなりに聴いていたけれど
まさかここまで及ぶとは

通行人は誰一人として興味を示してい ....
{引用=一、くじらヶ丘


 口に出してごらん
 うるおい、と
 その
 やわらかな響きは
 途方もなくひろい海の
 すみからすみまで
 満ち満ちてゆくようなものではない

 干 ....
あの頃は
生まれたばかりの気分でいたけれど
あの頃の僕は
生まれてさえいなかったのだと
思う

もしかすると
こんな僕も
未だ知らないところで同じように
恥ずかしそうに
解ける ....
吐息に曇る夜の硝子に
時計の文字盤は
逆行をみせて
捨てた指輪の光沢の
おぼろな記憶さながらに
銀河の揺らめく
午前零時


涸れてしまう代わりに涙は
こぼれる理由を失ってしま ....
空のいろには 届くはずもなく
だからこそ
仕方のないほどに
空のいろを 
瞳に宿しながら
きりんは ゆっくり緑を{ルビ咀嚼=そしゃく}している

その
長い長い首の得る高さは
 ....
この路地裏の
アスファルトのひび割れは
どこかの埠頭の 
それと 
似ている

相槌を打ってもらえる筈が
ここにあるのは
頬を刺す風



見上げる雲の隙間から
一筋の光が降 ....
かおるさんの千波 一也さんおすすめリスト(187)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ももいろ玩具- 千波 一 ...自由詩12*06-9-15
◆元素の譜- 千波 一 ...短歌15*06-9-15
川霧- 千波 一 ...自由詩12*06-9-14
手は届かない- 千波 一 ...自由詩12*06-9-13
久しぶりに微笑んだ- 千波 一 ...自由詩15*06-9-12
地獄に一番近い島- 千波 一 ...自由詩16*06-9-4
私はレールを敷き詰める- 千波 一 ...自由詩11*06-9-2
風船のあふれる部屋- 千波 一 ...自由詩15*06-8-31
ノクターンには逆らえない- 千波 一 ...自由詩19*06-8-30
座礁- 千波 一 ...自由詩10*06-8-25
十六夜- 千波 一 ...自由詩19*06-8-24
祈りを土に- 千波 一 ...自由詩13*06-8-23
鳥のうた- 千波 一 ...自由詩17*06-8-22
海の匂い- 千波 一 ...自由詩18*06-8-21
空を想う魚- 千波 一 ...自由詩15*06-8-19
夜伽歌- 千波 一 ...自由詩17*06-8-5
群青だより- 千波 一 ...自由詩14*06-8-4
メイプル・ハープ- 千波 一 ...自由詩24+*06-7-28
絵葉書など- 千波 一 ...自由詩20*06-7-21
向日葵の頃- 千波 一 ...自由詩12*06-7-18
暑い日だった- 千波 一 ...自由詩13*06-7-13
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酔っ払って歩道橋で叫ぶお父さんを見つめる娘の彼氏の元カノの可 ...- 千波 一 ...自由詩11*06-7-6
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悲報- 千波 一 ...自由詩11*06-6-26
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