わたしがむやみに数えるものだから
蛍はすべていってしまった


わたしが思い出せるものは
ひとつ
ふたつ

美しい光

いつつ
むっつ

美しい光

けれどもそこ ....
立ちならぶ火の柱の前に
立ちならぶ木々
古い木々
影を浴びる水の子の
こめかみからうなじにかけてけだものは居て
道を流れる雨を見つめ
永い永い輪の上を
輪の外へ輪の外へとはば ....
見上げている空にも
今ごろ風が吹いているのでしょうか
雲がゆっくりと
あるいは形を変えて

あのやがては消えていくものたちのように
わたしももっと強くなりたい
 
川の向こうに
痛みが待っている
少女の姿をして
けだものの背にもたれて


得られないもののように笑い
届かないもののように立ち
詩わないもののように腕をからめる
 ....
誰も知らないどこかの
小さな部屋で
歌わなくなったピアノに
ほこりが積もっています
鍵盤を叩けばまだ鳴るのに
音符はまだカエルになってないのに
歌を忘れてしまったのは
きっとわた ....
私は夏雲のあるこの空に
人差し指を差し込んで
この青空の
その底にある
人肌の群青に触れようとする
そのぬくもりは昔日の
小さなおまえのぬくもりに似て
あわあわと崩れそうにゆれる
いつ ....
一匹の首輪もない野良猫が死んだ
道路で車に撥ねられた
血は既に乾き 赤い染みのよう

その猫は
必死に捨ててきたのだ
あるいは
必死に守ってきたのだ

そして最後がこれ ....
夏にゆうれいがいなくなってから
夜はとても蒸し暑くなって
何だか過ごし辛くなった

ゆうれいを捜しに
ときどきぼくらは心霊スポットに出掛けるけれども
工事中にたくさん人の死んだトンネルにも ....
私の
家の裏には
杉林があって
その向こうには
すこしばかりの空があって
夏になれば
蝉時雨が満面に鳴り響いているのです
しばらくそれを
みつめていると蝉の声が深く
静かに命を説いて ....
オアシスに刺さった
鋼鉄のストローの先端で
砂塵に揺れる
ユニオン・ジャック 星条旗 トリコロール
日の丸 五星紅旗も仲間入り
乾いた大地 唯一の至宝
石油を果てまで吸い尽くす

終わ ....
ひび割れた岩の目が
波に降る花を見つめている
鳥の翼の生えた草を
銀の署名とともにつかむ手
燃えつきることなく火のなかにある


明かりの下で器をかたむけ
草を焼いた粉を見つめ ....
買い物袋から
オレンジが転がったのは単なる偶然で

私の爪の端っこに
香りが甘くなついたのも単なる偶然で


果実が転がり出さぬよう
そろりと立ち上がった頭上に
飛行機雲を見つけ ....
曇った窓ガラスに
家の印をつけて
それから
母の勤めている店の印をつけて
でたらめな道でつなげる
窓が汚れるから、と
後で怒られたけれど
それがわたしの初めて描いた
世界地図でした ....
暗雲が 死んだ
雨が  遊女だ
な   
なな  男よ
暗雲を 如来に
弔えさせろ

骨が 浮かんでいる

ああ 
骨が ふってくるのか
暗雲よ 生きたまま
未来は 明るい
 ....
雨が止み
もの皆かがやき
手のひらが痛む


ゆらめくいのち
その名とともに
世界となるもの


ふたつの惑星が
三番めの惑星に落とす影
午後と夜の間の ....
少し湿った空気のせいにして
ずっと見つめていられない

まばたきするのと同じ一瞬で
咲いては散る火の花は
たくさんの星を集めたように
火薬の匂いをひいて流れてゆく

ほら
星が夜空に ....
朝 目覚めたら
とっておきの 笑顔で
   おはよう

 クヨクヨでメソメソのきのうも
 ギシギシでこころ塞ぐあしたも
 ヘトヘトで疲れきってるいまも
   ちょっと おやすみ

戦 ....
力をふるうもの
草に狂うもの
ふたたび来る雨に吼えるもの
一片の永遠に触れ
燃えあがるもの


背中に降りる手を感じ
泣きながら目覚め
羽の失いことを知り
ふたたびね ....
おとうさんは帽子と靴だけになって
夏はかなしいですね
おかあさん

虫は人になれないけれど
人は虫になれる
と母は言う
両手と両足を地べたにつける
そうやって虫の産声に耳をすま ....
指先なんか不器用でいい

鍵盤が求めるものは
迷いを持たない、その
指先の重み


ねぇ、

清らかな雨の注ぎに
いつまでも耳を傾けていたいの、




おはよ ....
涙の分だけ人は強くなるだなんていいます
どうも僕は例外のようだ
どんどん浸食されるかのようにぼろぼろになるのです
涙の塩分が錆びさせていくようです
そして今や海綿のように穴だらけで涙を吸ってぶ ....
空をゆく流氷が
原に立つ子の瞳に映る
旧い川が運ぶ黒い土
小さな光の波



いつの日か原に
何本も土の柱が立ち
やがて次々と倒れ
原を埋めていった

原はうね ....
紅さし指で
この唇をなぞっておくれ

宵をにぎわす祭りの夜に
提灯ゆらり


光はたぶんに
正しいものだけ捕まえる
ほら
燃える可憐な蛾がひとつ

短命ながらも風情をもって ....
君がぽかんと口を開けているのは
口の中で風が吹いているからだ
その正体が何であるのか
問う方法も知らないまま
ある日突然に
君は君であることに気づくだろう
そしてそれは
君が君で無いこと ....
香気がどこからかぼくの指にしみこんできた
朝日はいつの間にか木陰を
ありありと作るくらいに大きく育って
父は病んだ体を褥に起こして
指先から瑞々しい桃の果汁を滴らせながら
桃の果肉を噛み砕い ....
水晶の柱の中には

音のない夢や幻想が

どこからか 詰め込まれていて

あちこちの角度から

じっと のぞきこむと

時々忘れなくてはいけない 何かを

少しの間 忘れていら ....
雲へと落ちる風を映して
紙の鏡はひるがえる
ひらくと赤い白たちの
左が暗いまなざしの
うすく小さなかがやきたち


雨にまぎれてそこにたたずみ
雨にまぎれてただ鳴りひびく
 ....
禁止区域 日本人は  舞台の 中で
禁止区域 首をくくる 白い 精霊と
日差しの 自殺者の  下で

モスクの 中では   御詠歌が
ジャズと 共に  煙草を押し当てられ

白い   顔 ....
目覚めたら
僕の部屋に同室者が現れた

両親と暮らしているが
生活パターンが違い
机上の英和辞典よりも顔を合わせなかったから
友達ができたみたいで嬉くなる

彼は僕とまるっきり正反対で ....
遠くの丘の教会の厳かな鐘の音が届く


私は
{ルビ如雨露=じょうろ}を止めて
目を閉じた

愛の門出のサインであろうか
永き眠りのサインであろうか

私がこの手に
掴め ....
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