待ち合わせに遅れそうな時
メールひとつで済ませてしまう
嘘っぱちの言い訳も
おたがいの顔が見えないから
罪の意識を感じずに誤魔化せる


どこへ行ったか
寂しがり屋の待ちぼうけ

 ....
みもふたもないはなしである

漱石の夢十夜の第一話
おんなはあっさりと死んで行く
おとこは大きな真珠貝を手にとって
庭に穴を掘り埋葬する
死亡診断書は何処にある
埋葬許可書はもらったか
 ....
朝ひとりで目覚めると
皮肉なことに勃起に気がつく
妻のいないベッドのなかで

夢のなかでは
まぼろしのような幼い踝に
わたしはひざまずいて舌をはわせていた

だけどあの少女は
むかし ....
ねえねえ と よびかける妻の声に
ふりかえってみると そこに熊がいて
つぶらな瞳で ぼくを見つめている

月9って何チャンネルだったっけ と
テレビのリモコン片手に熊が訊く

おどろいて ....
writeと書いてあるボタンを押したら
全部消えて真っ白になった
よく見るとwriteではなくwhiteだった

なるほどそういうことだったのか
つまり世界はそういうふうにできていて
ひと ....
何時ものように口ずさんだ歌は
受けとめてくれるはずの
君の笑顔をすり抜け
秋の日の溜め息となる


少し言い過ぎたのかな
でも一度口にした言葉は
もう取り消せなくて
気まずい思いを残 ....
なんでこそくを漢字では姑息と表すのか
それとも姑息が先でこそくと読ましたのか
分からないけど
姑息な結論は止めにして
冷え切った
西瓜を割ることにした
一週間前に
1割引で買 ....
生足は季節のアンテナで
感じる微かな蠢きを捕らえては
白い小箱に忍ばせる

真夜中のブランコ
揺れる君のくるぶしは
季節はずれのアンクレット
楽しかったはずの映画も
楽しみだったはずの ....
山月記の中島敦は32歳のときに南洋の信託統治領へ教科書編修の旅に出た

トラック島とパラオ島間は
4発の水上飛行機
朝潮に乗り
2000m上空から
輝く海の
小さい島を眺め
 ....
インターホンが壊れてしまって
不在票ばかり、溜まってゆく
ドアをノックする手を
誰も持たない


再配達を
今日は頼んだから、
夕暮れにつづく時刻に
言い訳を抱えて
ドアの内側に寄 ....
何かが焦げたような臭いがする
最初に気づいたのは
たったひとりの 男だった
どこにでもいるようでいて
どこにもいないような
若いひとりの 男だった
男は狂っていたのだろう
その臭いに鼻を ....
折れ曲がったあなたの身体を
まっすぐにするのが
私の仕事

あなたは

あなたの意志を持たない
あなたの影になってしまった

その瞬間
私たちは知ることになる
私たちが
実体と ....
季節は
数式みたいで
夏から戦争を引けば 秋だ
傷痍軍人は退場を
嫌って
冷や冷やしている
彼らは
草むらを
不眠不休で
コオロギを集め
どぶに捨てた

月曜の晩
フェリーに ....
手のひらに感じる暖かさがあれば
他には何も要らない


日々思い出を積み上げても
それは単なる一里塚
それは儚い夢幻
振り返れば跡形もなく
積んだ記憶さえ残ってはいない


手の ....
おやすみの挨拶に
朝目覚めた時に
会社へ出かける前に
君は僕に言って欲しいらしい


機嫌の悪いときもあるし
朝は何かと忙しいから
毎回言うのはめんどいなあ


本気じゃなくても ....
ほんとにいい陽気ですね

魚屋さんの店先でも
おかみさんのお愛想いい感じ
月曜日だというのに
悪魔に魅入られたようないい天気

みんなは外へ出たがっていて
おおくの人が歩いてる ....
葉っぱの影に
潜むのはコビト

小人のような
生きものが
住み着いて
いるのです

風が吹いて
葉が揺れて
小人の顔も
笑ってる

秋が来て
葉が落ちて
冬になり
色の ....
殺してしまった

今日、何の罪もない
言葉を

奥歯で
噛み殺してしまった

悔しかったのだろうか
それとも
悲しかったのだろうか

そんなことは
いずれ忘れてしまうのだろう ....
幼い頃のひとり遊びの記憶は
影となって私に纏わり
誰かを愛そうとするたびに
耳元で呪文を投げかける

楓の色づく様を
薄の頭をゆらす様を
人と分かち合うやすらぎを ....
わたしは 鏡のなかで待っている

あなたを待っている



あなたは なにも知らずに
平気で 素顔を のぞかせる

わたしは みとれて 口ずさむ





月明 ....
(その2 自転車屋のおじさん)


おじさんの手にはすっかり油がしみ込んでいて、指紋もわからないくらいになっている。

それが職人の手だと自慢していたけれど、あんまりじろじろ見ていると少し恥 ....
改札口にて
お待ち申し上げております


行き先を
詮索したりはいたしません
どうぞ
ご安心を


あなたがここを
通過してゆく事実のみ
確かめさせて頂きたいのです ....
{ルビ夥=おびただ}しく降り注ぐのは
湿り気のある眼球たち

あまりにも優しい成分なので
それらは
{ルビ容易=たやす}く踏み潰せてしまうのだが
悲鳴に私は恐怖する

オアシスはすぐ其 ....
冒涜の 証の 器が
生まれていたので
宗教の違いを 感じる

私は 打つ
あの 人物という名の 恐れを
あの 人物という恐れ 多いまで

満月が 明るいので
一人の 男が 歩いている ....
(その1 時計屋のおじさん)


裏通りにある時計屋のおじさんは、まるで手品師みたいに器用だ。

おじさんの大きな手からは想像もつかないような、ちいさな部品をちょこちょこといじると、さっきま ....
君は寝た振りが得意
わかっていてもウッカリ騙され
今朝もゴミ捨ては僕の役目


君は大人だから
分をわきまえているよね
僕はと言えば歳はくっても
燃える恋と燃えない恋の分別さえ
未だ ....
竹の林の向こうから
銀の鈴の音 
リン シャラリン


夜露は
月の輪郭を
ゆるりとその身に吸い込んだ



川霧晴れて すすきが並ぶ



トン カラリン
{ルビ独楽 ....
窓越しのアルデバラン

暖炉が背中でうたうなら
ベテルギウスは指輪にかわる

ポタージュの香り満ちる星座紀行は
甘くも、はかない



やがて旅人は
アンドロメダへの郷愁にかられ ....
呪文のような傘さして
尖りねずみの胸借りて
赤銅色のポロネーズ
ピアノに乗って踊ります
古いカバンに銀の夢

二口女に見つめられ
魅惑のピアノに
聞き惚れる
シロナガスクジラの一家が
泳ぎ回れる程
頭の中は巨大だった

目の前は
人いきれで
ぎゅうぎゅうの
すし詰め状態

心が
あっぷあっぷで
溺れる前に

お風呂を
すみれ色で ....
The Boys On The Rockさんのおすすめリスト(358)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
待ちぼうけ- 恋月 ぴ ...自由詩30+*05-10-25
この馬鹿野郎!- あおば未詩・独白7*05-10-24
朝立ち- ZUZU自由詩7+05-10-22
くまつま- 大覚アキ ...自由詩1105-10-21
白い世界- 大覚アキ ...自由詩605-10-21
秋の日の溜め息の- 恋月 ぴ ...自由詩20*05-10-21
姑息- あおば未詩・独白3+*05-10-21
Loving_Blue- 恋月 ぴ ...自由詩15*05-10-19
ねこみみをつけたがるおんな- あおば未詩・独白5*05-10-17
過去の届く午後- 望月 ゆ ...自由詩40*05-10-17
無人列島- 岡部淳太 ...自由詩6*05-10-15
朝に咲く花- umineko自由詩10*05-10-15
季節は- 太郎冠者自由詩4*05-10-15
路傍のひと花- 恋月 ぴ ...自由詩17*05-10-14
ラストオーダー- 恋月 ぴ ...自由詩15*05-10-12
タンクトップ- あおば自由詩4*05-10-11
コビト- あおば未詩・独白4*05-10-11
殺してしまった- ベンジャ ...自由詩8*05-10-10
風葬- 落合朱美自由詩42*05-10-8
わたしは_鏡のなか- 千波 一 ...自由詩14*05-10-7
シリーズ「おじさんと僕」2- ベンジャ ...自由詩9*05-10-6
改札口にて- 千波 一 ...自由詩41*05-10-6
砂嵐- 千波 一 ...自由詩11*05-10-5
toi_la_rock- 奥津強自由詩4*05-10-5
シリーズ「おじさんと僕」1- ベンジャ ...自由詩9*05-10-4
恋の捨て方- 恋月 ぴ ...自由詩32*05-10-4
百鬼夜行- 千波 一 ...自由詩15*05-9-30
氷が笑えば水は俯く- 千波 一 ...自由詩15*05-9-29
誘惑- あおば未詩・独白2*05-9-29
*くじら*- かおる自由詩10*05-9-28

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