すべてのおすすめ
『癌と云う/漢字が書けるようになりました』/外科医に向かいて父が笑う


『お父さんの/腎臓を見たよ』と呟いて/遠くを見つめる母の背中


『治るよね?』/テレビを見つめて兄が聞く/誰 ....
ミサイルが発射される音が聞こえる
母が
台所で家計簿をつけているのである

インキは戦車のキャタピラのように
勇ましく前線を進み
赤い数字が攻撃目標みたいに
点々と書き込まれてゆく
エ ....
いまは更地になっている
高校の前から自転車で少しいったところの
あの荒廃した土地には
昔ジャスコが建っていた
しみったれた汚い店だったが
中にはフードコートもスーパーも
一応あ ....
がらんとしたうさぎ小屋には
冬の一等星みたく
赤いまなこが
ひかっている

かなあみに近づくと
わずかに薄荷のにおいがした
君だったろうか

呟いた息が白い

夜空には
おおぐ ....
生きるのは/疲れましたと祖母が言う/空に刺さった冬の三日月

死にたいと/言えてしまう程わたしは自由/くたばることの出来ない自由

黄昏る/冬の寂しい路地裏に/孕んだ放火魔が火を産み落とす
 ....
小さい頃は
家の絵ばかり描いていた
庭付き一戸建て
という物質が
人生の最終形態であると
そう思っていた

今でも
画用紙を与えられれば
わたしは庭付き一戸建ての絵を
あの頃より
 ....
ふとしたきっかけで
王様と知り合いになった

漫画喫茶だった
王様は玉座に座るように
リクライニングシートにもたれ
隣のブースに居たわたしに
飲み物を取って参れ
と言った ....
水曜日
僕は喫茶店のテーブルに座って
哲学者のように沈黙していた
ミミ子に別れを告げられたのは
先週のことだった

ミミ子は犬が好きだった
犬を飼うのでイサオとは別れる
 ....
公園の
ぶらんこの前に
散乱した
足跡

視床下部に
舞い込んで
そこで朽ちる
落ち葉

はい
だいじょうぶです
わたしは
元気です

今宵もまた
お父さん
あなたは咳をしていますね

青い毛布をかけましょう
それはあなたの首元で
小さな海となるでしょう


お父さん
わたしは
あなた ....

しゅんじゃく神社
と云う神社をみかけた
春寂神社と云う字である
煮過ぎた菜っ葉を
噛んだときの音みたいだ
と思った

神様も春は寂しいんだろうか


教習所の帰りに
落ち ....
毎年この時期になると
瞼が退化するので
夜は
眼をあいたままねむる
口をあいていると
小さい生物の死骸が入るから
歯はくいしばるようにしている

深更
瞳孔がうっとりとひらき
 ....
受験を控えた少女が
堪えきれずに道端で
脱皮を始めた

その横をダックス・フントが通る
かれは短足を気にして
朝夕ぶら下がり健康器を
使っているのだけど
伸びてゆくのはもちろん
足じ ....
かわつらさんの奥さんは
精神を病んでいるそうだ
深夜
誰も居ないキチンで
皿を一枚ずつ割るそうだ
あの夫婦は
せっくすれす
だから
ってすずきさんが言ってた
そういうすずきさんに ....

林檎は何時でも
小気味よい音を立てて
裸になってくれる
こんな女の人がいたらいいなと思う
十月の昼間は少し暑くて
隣家から
おもいっきりテレビの音声が聞こえる
シンクには
小腸み ....
泥棒のような前傾姿勢で
妹の洋服を
箪笥から引っ張りだして纏った
ふわわ、と甘いにおいが漂った

わたしは服を持って居なくて
だから何時も裸で暮らして居るのだが
この頃はとみに寒く
や ....
秒針が/ちくともちくとも何かを刻む/焦燥をこぼす君の眼差し

自死を希う/君の髪からフレッシュベリー/毎晩シャンプーしている癖に

此の世には/奇跡もドラマも無いけれど/幻覚や妄想なら ....
うばすてやまについて考えている
祖母をそこへ連れてゆきたい
訳ではない
昼下がり
冷えた湯呑みが二つ
並んでいる

祖母が歩くと
割烹着のポッケットから
何かがこすれ合う音がする
 ....
身分証明書を
と言われて財布を探ったが
パン屋のレシートがぱらりと落ちただけ
カード入れにはブックオフのカードだけ
午後の図書館だった

カウンターのミセスは
住所と名前が記されている  ....
品詞の群れが
淡青く固まって
規則正しく
埋まっている
あの砂浜の
崩れたお城のあたりに

それらは風化し
擦り切れて
最早
意味など成さないのに
皆が使いたがるのは
如何して ....
電車は学芸大学を過ぎた
橙の薄日が
くすくす眼を射り
わたしは数年前に
逃がしてしまった犬の事を
茫洋と考えていた

毛並みの良い犬だった
ルクスと云う名で呼んでいた
或る日鎖をひき ....
りんごは優しく指を濡らし
珈琲は
のどぼとけを笑わせながら
そっとすべりこんでくる

隣のうちのベランダに
タオルケットが干してある
いつから干してあるのだろう
もうずっ ....
日を追う毎に
わたしの頭は
軽くなってゆくようです
わすれていくのだろうか
こんなにも容易く

赤信号が青に変わり
裏路地は繁華街になり
たった今あったものが
次々と消えてゆき
 ....

雨のような音がしていた
始終ずっと
雨のような音がしていた

よくよく考えてみると
それは雨の音ではなくて
誰かの足音だったのかもしれない
雨の音は段々近づいてき ....


最近
妻が出来た
嫁を娶ったのではない
わたしは女であるから

正確にいえば
嫁の方から勝手に来たんである

或る夜のことだった
四百円を手にちゃらちゃらさせながら
 ....
国営放送の請求書が
ひらり
と郵便箱に滑り込む頃

誰かの忘れ物が
公園の隅で
しゅか、しゅか
光る

睫毛に引っ掛かる
砕けた陽射しはもう
夏のように
貪欲ではなくて

握り締めた領収書は
たまし ....
空は何時か
還る人の為に在りますから

行き詰まって

流れるしか無い雲の
あんなにも柔らかそうな姿態

曼珠沙華は
意味を見失っている
紅くしか咲けないから

間接は曲が ....
恋月 ぴのさんの吉田ぐんじょうさんおすすめリスト(57)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
家族- 吉田ぐん ...短歌1606-12-14
家計簿と戦場- 吉田ぐん ...自由詩1406-12-12
ジャスコ- 吉田ぐん ...自由詩2106-12-4
うさぎ殺し- 吉田ぐん ...自由詩906-12-2
考えるのは生死について、そればっかり- 吉田ぐん ...短歌2406-12-1
いえのえ- 吉田ぐん ...自由詩1106-11-30
王様- 吉田ぐん ...自由詩2006-11-29
キリスト(創作)- 吉田ぐん ...自由詩1206-11-28
ゆっくりでいいと思う- 吉田ぐん ...未詩・独白506-11-18
きえる—父へ、きれぎれに- 吉田ぐん ...未詩・独白1306-11-17
習作- 吉田ぐん ...自由詩806-11-15
変貌する女- 吉田ぐん ...自由詩1406-11-14
或る平和の情景- 吉田ぐん ...自由詩1006-11-4
近所のひとたち- 吉田ぐん ...自由詩1406-11-2
所感- 吉田ぐん ...自由詩1806-11-1
すみちゃんのセーター- 吉田ぐん ...自由詩1706-10-27
父やその他の皆の為に- 吉田ぐん ...短歌1606-10-22
うばすてやま- 吉田ぐん ...自由詩1306-10-18
図書館に通う- 吉田ぐん ...自由詩3806-10-17
品詞の活用法- 吉田ぐん ...自由詩606-10-16
『ルクス、』- 吉田ぐん ...自由詩1006-10-15
単純な留守番- 吉田ぐん ...自由詩906-10-12
わすれていくこと- 吉田ぐん ...自由詩1406-10-8
音と言葉- 吉田ぐん ...自由詩906-10-7
妻の話- 吉田ぐん ...自由詩2706-10-6
ひかり- 吉田ぐん ...携帯写真+ ...606-10-5
独り言- 吉田ぐん ...自由詩1506-10-4

Home 戻る 最新へ
1 2 
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する