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平原を行く象の群れは
なぜかいつも
夕日を背負つてゐる
象よ
夕日をいづこへ
運んで行かうといふのか


そのゆつたりとした足取りで
夕日を
悠久のかなたへ
返上しにゆくのか
 ....
ひまはりは
駝鳥のやうな脚をして
太陽電池を支へてゐる
もう花びらは一つもないが
悲観などしてゐない


ぢりぢりと
ゆるぎない正義のいのちを
蓄電して
飽和に達すると
過去 現 ....
山麓の寂しい町に

月はかうかうと照つてゐた

すべての人が

月を見たわけではないけれど

みんな

ボールを胸に抱へるやうにして

眠つてゐた
海岸の岩場のシーワールドでは
イルカが芸をしている
イルカを若い母親と女の子が見ている
ぼくはその少し後ろから
若い母親と女の子を見ている
二人を通してイルカを見ている
女の子がイルカのど ....
海はまだ広がっているけれど

ぼくはもういらない


―窓を閉める―


室内が戻ってきて

マチスの絵がまぶしい

木椅子

ポトス

絵の中で金魚が{ルビ捩=よ ....
詩は語らずに歌えって
俺の先生が言った
先生って誰だ
そう訊くから
雀だって言ってやったよ
スズメ?
雀だ 雀だ 雀の学校の先生だ
俺はそう言うしかなかったぜ
だって、その通りだも ....
 夜になると風が出て
 {ルビ毬栗=いがぐり}は落ちてゐた
 次々と
 加速されて
 硬く冷たい実が
 ぱらぱらといふよりは
 すぽすぽと黒土にはまりこむやうに
 降つてゐた
 流 ....
 鐘の音がひときは澄んで響いてゐる
 高原の牧場
 風は爽涼として
 日は明るく照つてゐる

 ここに一頭
 健康優良の乳牛がゐる
 乳が溜まつて乳房が張るものだから
 たまらずク ....
 暑い日だ
 こんな日は
 私にパラソルの女が
 寄つて来る

 女が来ると
 私もパラソルの陰につつまれる

 ―日盛りに
  ぼんやり立つてゐると
  日射病になるわよ―

 ....
 草の茂みから 
 木の上へ
 さらに
 低空から
 中空へと舞ふ
 一匹の蛍

 漆黒にあらがひ
 淡く
 かぼそき線を曳き
 線といふよりは
 点滅
 ・・・・・・・
 ....
カマキリを殺した
あんまり威張つてゐるから
縄張りでもないのに
アスフアルト道のまんなかに出て
仁王立ちになり
人を通すまいとするから

私はその夏 傷心を抱へて
祖父母の郷へ帰つ ....
山を吹き下ろす風が

 水面を撫でる

渓川は波立ち

 日が跳梁する

瀬音と光の乱反射


     私は川原の石に腰掛けてゐる
     振り仰ぐ嶺には
     消え ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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