{引用=
きみがとなりにいて、まつげの
触れるくらいとなりにいて それは
おどろくほど退屈で いとおしい
午後で}
きのう、オジギソウが発芽して
日記にそのことは書かなかっ ....
トワ エ モワ
きみ と ぼく
笑顔は ひろがっては いない
この 丘で
かぐわしい 初夏の 葉群れに
肩を 抱かれて
ぼくたちは いた から...
....
いろんなもんに辟易だわ
だからって今すぐずっぱり頚動脈切る気にもなれん
決定的に血の欠けるまでの35秒間で
全てを諦められるほど強くないことくらい
かろうじてわかる
だからって
無為す ....
海に還る
手続きはいらない
横たわり
網膜を青で満たしたら
循環する感情を
濾過する
やがて
余分な手足は
抜け落ちて
流線型になる
心配するな
そのころには
陸な ....
何も見えなくていいのだ
握りつぶしてきた虫の数を数えてみようったって
できない
地球の反対側の生き死にだって見えやしない
私は限りあるイキモノであって
書物だのインターネットだのが親切にも教 ....
{引用=
金色が たおれる 欠伸が 蔓延する
蛙のうた こもる ねむれない 五月 日々の罅に 滲む
ゆううつの 書物 ふあんていの音楽
刺身 ....
高層_ 大理石建築の なかで なつかしい
( いまは、どこのひとなのだろう? )
ウオシゲに あった
かれは 色の 白い きれいな 顔を して
シャープな フレーム ....
ただそらだけがある
ひとも
たてものも
どうしょくぶつも
わすれて
すみずみまで
ひろがっている
きおくのそとがわから
ことりがいちわきて
はばたこうとすると
そらはきように
み ....
クリスタルの ボールが 放られると
ぼくらの ふたつの 土地や からだに
いのちに 焼かれた 対話が かがやいた
放擲 された ボールには ふらふら 泳ぐ
天の 子 ....
はるは ひたひた湧いてくる
はるかかなたの 地殻の置くから
ひたひたひた
毛細血管を駆け上り
地上にある草木という草木のすみずみまで
ひたひたひた
....
それはなみだでした。
ひとしずく、
わたしをたたいたのは、
なみだでした。
それはぽろぽろと、
わたしをたたくので、
わたしはひとしずくずつ、
ひとに、
....
ねぼけ まなこの アトリエ
いっぱいに 陽光は 満ちて
画布には 旋律から 対話への
やがて ひとつに 見える 道が 伸びる
( それは きつねの なの? うさぎの ....
フライドポテト
ざるいっぱい食べたい
フライドポテト
ざるいっぱい
食べたかった
と思いながら死ぬの
やだな
明日は
給料日だから
フライドポテト
1000円分買って
....
らっきょの「ら」
らっぱの「ら」
つるつるって食べるのも
あったよね。
そばぢゃないよ
わたしって。左利きで
不器用すぎるから
はさみさえ上手く扱えなくて
型紙から
あなたを ....
ほとんど 売れないので
こまかく ちぎって
鳥たちに くれてやる
ごくまれに 心に
翼をもつひとが 買いにくる
箪笥の奥には
凪いだ海がしまわれている
微かに潮の匂いが漂っている
妻は夕暮れの淡い光に
静かなシルエットとなり
折り目正しく丁寧に
洗濯物を畳む
その姿は僕らの感傷を代弁する
何 ....
また 春が きた って だれかが いう
とめどなく 梅は ほころび
いぬふぐりは 淡く むらさきの 列を 走る
つぶらかな 音で ころ ころ と
ひとなりの {ルビ絃=いと ....
・
好きと嫌いが
ギアの上で揺れていました
わたしはちょっと迷いましたが
結局どちらとも決められないまま
右手で好きも嫌いも
すっかり覆い隠して
細心の注意を払い
....
十一年伸ばした髪も切られ
おかっぱ頭になったことだし
明日から金太郎になります
まさかり 担ぎます
熊に 乗ります
もうハッタリも効かなくなってきたことだし
これからは ....
街路樹に抱きついて愛情をほしがる
そうしておまえは湯豆腐が食べたいって言う
俺は冷奴が食べたい
おまえの肌のように白く冷たい
交差点がわめき散らしている
スピーカーつ ....
いさかいなんて どこにでも あることで
うつろなんて 小石みたいに ざらだね
かえすがえす なおざりに うらがえる
そうじゃないだろ ほんとうはなんなのかの思い
ただずまいは ....
ファスナーあいてるぜ
ビーズのドレス
子羊は
オーストラリアで死んで凍えて
この白い皿に乗って
おれたちの血肉になる
あたたかいから
おいしいから
たくさん ....
どうやら先日から
天井裏に
ねずみよりも大きくて
鳥よりも小さい何かの動物が住みついたらしい
夜になるとばたばたと走り回って
うるさいことこの上ない
ただ不思議なのは
わたしの真上で必ず ....
その ほほえみは 生理と いわれる
世に 生まれ 立った きみは まだ 3箇月
歓喜の 波が 寄せる と “ にこ ” と わらう
ときどき 声が 洩れるのは 成長が こ ....
おひょろ
こわいねえ、
こわいよう、
にんげんよりこわいの。
そりゃ、おひょろだぜ、こわいよ。
おひょろは、こころがないんだもん、こわいよなあ。
にんげんは、こころがあるから、わる ....
花瓶の中の水曜日は
ゆっくりとながれてゆく
水のように透き通って
ざらついた日々が
回覧板にぶらさがってる
今はビニールの袋に音もなくおさまっている
でもそれも
ちりぢりになった ....
ロシータっていうおばあちゃんは
サンホアンで一番年取ってて
猫にやさしくて
工房の隣の彼女の家には
いつも猫がたくさんいて
使い物にならないボートが
とまっている
....
見えては いなかった...
かっこうの 産声が 森を 編み
絹糸を 伸ばして 進み ながら あおいで いた
どうしようもなく あかるい 双眸の 記憶の 波が
茫漠とした ....
夕刻よ もっと光をください
冬の息づかいが とても つめたい
雲のミルフィーユ レースの裾に
遠い日のさくらのような
幻想の海が広がっている
雲の山 空の海ね
幼い頬のかけらが 溶かさ ....
夜明け前 ぼくらの宇宙(そら)では
屋根ではじけた流星が うるおいの濃紺に飛び散るんだ
プレアデスの向こう 溢れ出てくる流星を
君の瞳に刺しゅうして
対になった星の光が ちかちか燃えるのを見て ....
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