いつか彼が
窓枠にもたれかかって
初秋の移ろいを見つめていた
そして手を振った
優しい時間があったこと
思い出していた

雨が降り続いていた
ぱらぱら 
窓の向こうで泣いていた
昨 ....
増水の ために

すっかり 荒れはてて しまった

堤の かよって ゆく なかを

猫じゃらしを 噛み ながら

草ひばりの 音が ほそぼそと つづく

すすき野原を  ....
ため息の瞬間は
一度落として再浮上させる
ギアチェンジのようだ
うまくいかない
何度もギアを入れ直す
あなたは
うまくギアが入らないねと
やさしく言う
うまくギアが入ると
ギアが入っ ....
がっくりと
落とした肩を拾う
何かの実のように
赤く色づいて
種を持っている
やがて発芽する
青くてたくましい
力を持っている
肩は落とした数だけ
冬を語っている
肩は拾った数だけ ....
景色が歩いている
わたしではなく
まるで時のように
目をつむれば
色をうしなって
古い景色が歩いてくる
錯覚していた
わたしはこの世界を
歩いてなどいなかったのだ
最初の 真昼の 星が

ことばの 紀元前に またたいて いる

やってきた 9月

地には ことしの 豊穣を

やくそく した 稲穂たちや 曇った空

透明な 稲びかり ....
青や緑の絵の具を
うすくのばして
あの透明をあらわそうとして
さっきから
なんども失敗している
{引用=
手をひいて
石を渡る
ぬらりとした光沢に滑らせた足を
からだごと、ぐいと引き ....
{引用=




あてもない旅の
白い起伏を
さまよって
います


私が蜻蛉だった頃
あなたは



 真夏が大好きなあなたに
 暑いのが嫌いだと言えなくて
   ....
ぼくの 住む 土地で

自然に ひぐらしの 声を 聞いたのは

10年も むかしに なる

それは かぼそく いっぴきの 系譜が

つづいて 啼いて いたのだ けれど

 ....
白い 塗りかべの 建築や 小路を 抜けて

とまどいながら 最初の 一声が いまだ

はばたいている ように かぶさって いた

こちらがわの 無垢な 海砂の 地へ

いく ....
広告のチラシに空白を作って
自分の世界を広げていたころ
遥かに遠い場所で
狂っていた気がする
 
夏休み
朝顔
日記帳
 
全て投げ出して
風鈴を眺めてた
ちりんちりんと
感覚 ....
パンの いる 午後

滑るように わたるように 遠投...

その 距離は 長く 零の領域で 黙秘 して いた

コバルトの 蜃気楼の むこう から

泣きながら 出て い ....
いつか 夏を 見たので 夏のことを ものがたり

旅を したので 旅のことを ものがたる...

やまと 吉野の 山なか で

灼熱した 午後 数刻の 焦点は ひび割れて

 ....
夕凪にざわりと
ちいさな君の髪
真っ赤にしたその表情の下に
たくさんの宝石を隠して
 
何度かの孵化を繰り返しながら
その心を美しく成長させてくれれば
それは私を
百年眠らせてくれる
 ....
髪を 切った 襟足の ひみつ から

娘たちは 飛んで ゆくと いう

純朴な 神話が 解かれて いる

風祭を 孕んだ {ルビ帆用飛行艇=はんようひこうてい}の 陶酔は

 ....
5小節へ と

ベースラインの はずむ 弧線が

988 ヘクトパスカル で 吹いて

フィールドの 天半球と かさなって ゆく...

らぶ ばらっど

( 風乗り  ....
こんな夜、
一人浅い夢から目覚めて
窓外を揺れる葉擦れのざわめきに
わずかに明るむ緩やかな月光に
胸に満ちて来る何ものか
心を澄ますと潮騒の響きに似て
耐えきれなくなる 抑えきれなくなる
 ....
そこはかとなく

カオス から はじまる

巣箱の なかで 羽音が する

複数が 単数を 響きあう

羽音が する

とおく 草陰に 一軒の 廃屋...

誰かの ....
グスターフは 静かに 時を 待って いた

湾口の 砂州は 彼の ふるさと で

きょうは どうしてか

鼓笛隊が 空を 横断 して ゆくよう だった





お ....
な ぐ り...

名栗村 そして 澤

やみ夜を 求めずとも えられる

その 名まえを 記す ことは

もはや うたの なかの 出来事

うたに 遊ぶとき それは  ....
午前4時
ほの白く ほの青い 四角い窓から
まちの寝息が
明かりの粒子が 舞い込んでくる
街灯は 夏の虫を誘って
ゆれるように強く

黒い瞳に ひとつずつ
真珠を入れて
まばたきもせ ....
半ば くらい世界を 見たよ... と

おもい あがった 少年

トマは 12歳

素もぐりで もぐっては

金の さかなや 銀の 貝を すなどった

伸び あがった  ....
まどろみを さめたり もぐったり

白日の 季節の かいなの なか

体力は うばわれ

けだるさに 眠って

窓を 吹いて くる

れもんの 風との トランスファー  ....
裏通りに 傾いた陽が落ちてくる頃
放課後の声たちが 初夏の帯にのって
泳いでくる
バギーの乗客を覗いて
ほんのり口角を上げて
青いランドセルが追い越してゆく
まだかたそうなランドセル
さ ....
 
 
 /雨が降ってる
  小さな砂漠なのだと思う
  講師は教壇に立ち
  黒板に自分の名を書く

  「倉持康雄」


はじめまして、倉持です
皆さんにとって実りのある研修 ....
青色と赤紫色
重たい宙をかいて 混ざり合おうとする
あの思い出
あの肌の{ルビ音=ね}
手をつないで
たよりなく握り会って
こくこくと
室温の仕業の汗をかく
夜は常に進み
太陽は ....
唐水車の水ぎわの
苔むす屋敷のはしっこに
住んでおります
ございます
子どもは巣立ちて
夫は他界しまして
天上の人でして

疎開した猫からの便りにありますのは
ときどき天井か ....
目の前で
ひらりと舞い上がって
足跡は空高く飛んでいった

あのひとの足跡も
ひらりと舞い上がった
慌てて両手でつかまえて
背中に隠したけれど私はすべてを知った

行き ....
【おとなのための童話】

あなたは、スキマは好きですか。たとえば、大切な人とのスキマはどうですか。     

あるところに ひとくみの 恋人どうしがおりました。
ふたりは おたがいの間に生 ....
ヴィルへルム・F の それの ような

白い タクトが

曖昧な ままに {ルビ空=くう}を 振って

プロムナード・ウォークの テンポに

からだと リズムを 泳ぐと

 ....
yo-yoさんのおすすめリスト(240)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
せんちめんたる・ふーる- 凛々椿自由詩8*07-11-7
誰かが去ったあとを見る- モーヌ。自由詩25*07-9-14
ため息- 小川 葉自由詩607-9-12
- 小川 葉自由詩307-9-12
錯覚- 小川 葉自由詩707-9-8
天国の子どもたち- モーヌ。自由詩16*07-9-7
夏のあとがき- 佐野権太自由詩28*07-9-4
私がトンボだった頃- まどろむ ...自由詩9*07-9-3
ひぐらし- モーヌ。自由詩14*07-8-31
夏の終- モーヌ。自由詩10*07-8-24
遡る- ゆるこ自由詩5*07-8-22
モノクロームな_セリスモス- モーヌ。自由詩10*07-8-18
かげろうと檜の木笠- モーヌ。自由詩13*07-8-10
もちも-ち- ゆるこ自由詩2*07-8-6
ライトニン- モーヌ。自由詩22*07-8-3
ぴえろ・ぎゃろっぷ- モーヌ。自由詩13*07-7-20
玻璃の海から- 石瀬琳々自由詩20*07-7-13
くちぶえ- モーヌ。自由詩18*07-7-13
空中の_地上の_ものたち- モーヌ。自由詩19*07-7-6
誘われし澤の奥で- モーヌ。自由詩17*07-6-29
午前4時・真珠- たちばな ...自由詩19*07-6-27
海の児のうた- モーヌ。自由詩16*07-6-22
ランドサット- モーヌ。自由詩21*07-6-15
青いランドセル- たちばな ...自由詩17*07-6-10
雨音- たもつ自由詩1607-6-8
あじさい- たちばな ...自由詩9*07-6-2
千住- mizu K自由詩1207-6-1
足跡- 小川 葉自由詩1107-6-1
【おとなのための童話】スキマの恋人編- るるりら自由詩8*07-5-31
ゲニウスの響き- モーヌ。自由詩10*07-5-27

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