はら
はら
落ちる
散る
風邪をひいた 熱 まだ、散らない
生まれ、愚鈍の、花
さっきまで
五月まで
月までの遊覧飛行、
乱費す ....
空の中に沈め
どこからか
笛が聴こえる
それは君を呼ぶ笛だ
やがて君も
死者の隊列に加わる
その時のために
空が君に向けて吹く笛だ
山の稜線があまりにもくっきりと際立っていて
空はあ ....
黒い夕暮れ
かたちのない傷から
夢のように沁みてくるものがあり
壊れがちな覚醒
鋭角的な儀式の
あるいは 金属的なサーカスのさなかに
暗く降ってくるのは
誰の声なのか
蜥蜴の閃 ....
なぎの さなぎの しろわた ほころび
ふれど ふぶけど つちいろ こいこう
つづり とらわれ やまいの つむゆび
くれて くぐった ねあかり おいこし
ほろほろ ひいた かごの ....
夜は暗い
夜は寒い
いまこの荒野を
この時間にしか在ることが出来ない騎士が
ひとりゆく
彼は自らの馬を失くした
それは五百年前のこと
彼は自らの体を失くした
それは五百年前のこと
い ....
遠い日の夜
私が目を覚ますと
家には誰もいませんでした。
このとき私のなかで青い虫が鳴きました。
(きいきい)
さらに遠いむかし
最後の氷河期が
始まろうとする夜
私は猿で ....
南の野原は
みんなあかるく
はやいのです
日と風に
ほされる草たちは
わたしの訪れに
あいさつしますし
ほらあの
草むらから
何かがとうらいするよ と
日と風が
さあ ....
気色の悪い風景を目前にしたときに回転体は急に速度をひるがえした
諸々の事情は飲み下す事はできたがあめ玉のように喉奥にのさばっていた
それのお陰で僕は死ぬのだと白いのに告げられて ....
始まりと終わりは少し似ている
そんなことばをつぶやいてから
4年の月日が流れていた
あの春
予期せぬ始まりに出会って
私は終わりというものを知った
終わりと始まりは少し ....
水色のグラスの中で水色の花が咲いたような午後
出会って溶け合うものの柔らかな感覚に包まれる
自然に生まれるものの優しいエネルギー
本当に大事なことはとても自然 ....
夜、
扉は開かれる
恐れることはない
我々は誰もがそこへ向かっている
まずは 手による想像を洗い浄め
火をもってすべてを鎮めよ
みだりに本当のことを口にしてはならない
それは君を不幸にす ....
流れにさからってのぼってゆく鮭の産卵のよ
うにうたうたうものは自らを束縛するすべて
のものに抗いうたうたう水の飛沫がとびちる
ようにうたのかけらはとびちりその濡れてふ
とった水を全身に浴びて鰓 ....
それは
あなたの優しさ
ですか
あなたを
忘れないための
痛み
静寂の月夜
わたしは
雪虫となり
{ルビ羊歯=シダ}の葉に滴る
朝露に溺死する
時間という
....
白鳥を見つけた人は飛んでいった
白鳥の話をするとき
すでに空を飛んでいた
美しい白鳥はイルカのような瞳で話しかけ
その傷跡に柔らかな手を差し伸べた
白鳥を見つけた人は自由になった ....
瞬く間に
ホームは行く
狼は走る
涎と舌を垂らし
加速する列車を追いかける
黄金色の眼光
離れ小島の青船
点々と帆を広げる
君が去ってゆくのか
僕が去ってゆくのか
フラット ....
ささやく声が空気を揺らす
消えてゆこうとする白い空気の鼓動
伝えることを止めた白い空気の残像
ささやく声が空気を引き寄せる
薄まってゆこうとする白い空気の躊躇
流れる ....
病院の長い待合い廊下に坐って
考えている
私の気はたしかなのかと
時々 呼び出しに応じて
いくつかの個室のどれかへと
人が 入ってゆく
そしてやがてまた出てくる
入ったまま
出てこない ....
{引用=事象の地平線・・・ここでは光さえも脱出できず、時間の伸び率は無限大∞となり、知覚できるいかなる事象も行き止まりとなってしまうという・・・ }
君の顔が歪んで見える
その肉声は
....
それは 破綻だった 小さな部屋で
はじまっていた 壁が不必要に白すぎて
かといって 何を置けば あるいは ただひとつの
窓に 何色のカーテンをかければ その白が
中和されるのか わからなかった ....
水色の箱に雪が降る
白い箱から遠ざかり
気付くとそこにあった水色の箱
積もった雪の幻影が
白い箱を思い出させる
水色の箱に雪が降る
自ら発する温もりが
雪を溶かしてゆく水 ....
この無限の宇宙の一点で
この無限の時間の一点で
君は
失われた
きつく抱きしめた
ぼくの腕の中で
ぼくは
あの特異点を探している
漂いながら探している
この無限の ....
厳しく枯れたアスファルトへ
刺さり損ね
刺さり損ね続ける、冬枯れの枝葉の
その陰、から
密かな微かな摩擦、それは残像です
かつて彼らは節足動物でした
密かなのは、そ ....
窓をつくった
何に向かって開かれればいいのかわからないまま
そしてオブジェのように空間に散らばる
さまざまなかたちや色のCHAIRS
ふと気づくと別なのに腰かけてたりする
時計はもう ....
私の中に
さかなが棲む
私の知らない
さかなが棲む
何も知らないくせに
あなたは
さかなを求めてる
そうして
私は
さかなを解き放つ
自在に泳ぎ
反らし
そこは ....
ピアノジャズにゆれて グラスに色水を注ぐ
彩度を少し落としたセピアの空気を 長い煙が流れ泳ぐ
その小指の高音 鍵盤がはねる
私の気持ちは泡と跳ね ゆっくり細いかかとでリズム
天井のプロペラが ....
夢を見ました
私はあなたの親友を一突きに
殺しました
飛び立って逃げようとする私の足を腕を
あなたはその剣で切り裂きました
熱い痛みが
夢の中のはずなのに
熱い痛みが
私を支配 ....
ダヒテ。
ダヒテの発音は砂のようで
ダヒテの腕はいつもきみどりいろな気がする。
僕の魂は重みにつぶされたりはしない
青梅線を走る送電線に巻き込まれたりしない
そうなったら
....
雪が白く彩るために切なさは増すのか
薄紫の雪原に伸びる影はただ一つだけ
記憶の奥深くにあの憧憬を閉じ込めて
氷の枝の先に探す冬の太陽は遠く遠く
深く俯いて一月の短い午後 ....
さしこむ月明かりに
浮かび上がる
窓枠におかれた青白い手
古びたホログラムのような
その手の
輪郭が、ぶれ
はしる、ノイズ
握られたナイフの
かるい重み
ナイフは澄んだ鏡
凪い ....
見えない糸でんわで結ばれていても
青い微笑がしみわたる夜ですから
ともだちだけが変わってゆきます
無声音の言葉はみちにあふれ
生きる水位が青い
少女たちの
渋谷です
原石 ....
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