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明け方の空へ左様なら
わたしはいつか
あちらへ行く。
終わることが出来ない
という のは ある意味、
絶望である
永遠の命なんて。透明な
花時計が求心する眼球の
水 ....
薄明の時計の刻む音は、
いつまでも初まりを歩み
エボナイトの光沢がにおう黒光り
遠い山脈は墨色に燃えて春の
おとずれをいまかと願う白日の、
足もとにも咲く花の。。
残雪へ便 ....
私は現在。
湾刀の先で風を切る一隻の、ゴメ
一隻の ゴメだ
これは帰れないみちのりであって
忘れていることなど何もない、道
ここに道があるからあるいて行く
あそこにはたどり着けないとし ....
知の晦冥に閉ざされた盲目を
混沌が縦横無尽に終会をする
さて、始めようか。
つみとれない亡霊果実を
暗澹たる宇宙の墓で
貫徹する意識不明の夢路
濫獲された言語の希望はあてにならない
....
「 ほころびる時 」
宇宙の襞目にある 水のこころ
器をえらばず しん透し いのちを潤す
真空において純粋回帰する単音
貴殿の耳にこだまする
(覚めることのない果実を。
遠いま ....
ここ数日の晴れ間が穏やか。
さんさんと陽光の降りそそぐ。
影を濃くするのは、私のみではなく、
炭酸がのどをシュワシュワと通りすぎる。
はて、宇宙の寒さは星の光を清らかにする
白い指先 ....
喪失した傷は取り返せない
異次元の彼方に漂着した 傷に
いつかあなたは口づけ青ざめる
日の出直前の白白とした空のように
種子の記憶が芽生え。
ミシミシ、と殻は青ざめ幽かに
震えつつ怯え ....
午前零時の産声が
真夜中を、とおりすぎて
青雲でゆれていました
しかしながら
その姿を見た者は
だれひとりとしていなかったのです
川岸に転がっていた小石を持ち帰り
庭のすみっこに置い ....
とおくみつめる
あの秒針の刻む音が
きこえるほどの しずけさで
あやしくぼんやりとした曇天に
にじむ光の粒子を
私も刻む
時のまなざしは熱かった
始まりは、秋の縁側で
ぶらさがっ ....
かえるところがあるのならば、それでいい)
お葬式
カラスが黒く はばたいて
おひとりですか、と
月へ笑う
いいえ
あたしは迷子です、と
黒く燃える
火へ手紙を焼べた
....
しらけた草とは
うらはらに
澄んだ大気に
映る青
ますます薫る陽の光
からだの温もりをなぜてゆく
すずやかな風へ
ひとつ鼻歌のせたみち
雲
あんまり空が
低いので
私は泣いて みたのです
いいえ私は泣きません
ひとつも涙は零れません
とけてゆかない成分だから。
ひとり
あなたをきずつけぬよう ....
星明りの瞬く夜道を
皮ふと同化している
水晶時計の周波数と歩む
果てしない さようなら の骨格が、ひんやりうずく
しろく曲線にそった静寂(銀のしずく
の波紋)の右旋性が
夜風にとじられたま ....
西日の{ルビ紅=くれない}に照らされた
誰もいない部屋の
あの日は永遠に暮れずに
私を傾きつづけて
太陽電池式腕時計の刻みつづける
秒針の先にひっかかっている
スープに影はささないでい ....
光を
真昼の太陽を 目に映す
視界は暗くなり
ただ一点太陽だけが白く浮かびあがる
そこから
視線を外すと
しばし辺りは暗転して
浮遊する幻覚となってしまった
私は
みずから ....
目にいたい ふゆの青空 雪国の
広茂
遠い視線につらぬかれた夢のゆらぎに
ことりのさえずるこもれ日がそよぐ
おおきなまなこの
星夜のような瞳が
瞬きはせずに
宙をみつめている
しろい肌には
翼がしずかに舞いおりていた
....
それから(あ…
涙のさめる速度で
失ってゆく
かつての海原へ
予感する視線がまっすぐ立ち
地軸のかたむきをなぞる
そっと
(夢を瞳の奥に燃やしている核心
のぼっていった少しばかりの ....
青くかわいた微笑が枯れている
丸められた角を
階段とする
素数が熱せられながら
現象をのぼっていく
さようならは一度きりであって
すがすがしい光ならば
いつであろうともやわらかく待っ ....
なにがあろうと
時間はすぎてゆきます。
けれど
私はいまでも青年、少女
夜空の星をみあげるとき
風にゆれる花をかぐとき
山の小川で口をすすぎ
鳥の声に耳をすますとき。
そのとき、
こ ....
ふりしきる雨
雨してしまう
雨の
冷たい
季節
星夜
の
さく{ルビ夜=や}
の
雨
の
下
影もなく
灯る
灯台の夜が
流体にひそみ
その吐息にふれれば
はち切れて ....
「最初で最後の、黙礼を交す」
いまはむかし
(この{ルビ宇宙=そら}もなかったころ)
それは無としかいいようのない、事象でした
そんな折に私は、
星占いをゆめゆめ零さぬようにと、 ....
星の茂みの広がる{ルビ遠音=とおね}の空で
回音をのぼりつめて円頂で弾け
ふくらんでゆく
重い光で発散しながら
無重力して律動する心臓
瞬く今晩は
{ルビ青柳=あおやぎ}に迷蝶がさ ....
在る
始まって以来続いてきて
この枝の伸びやかな道道に
茂る葉の呼吸は瑞瑞しい
それも
小雪のちらつく昨夜の雲上の月も
陽炎のゆらめく送り火も
私を育ててくれる花娘
季節の ....
いつのことでしたか
忘れてしまいましたが
絶句したその無言の先に
あの日がちらついていたのは、確かです
日溜りの微笑む
静けさのなか
涙は花ひそめ
無表情に泣いていました
それはか ....
距離にたたずむ私の{ルビ首=こうべ}は
ついに飛び去ることはなく
天と地を結び
{ルビ収斂=しゅうれん}を{ルビ咽下=えんげ}している
星々がめぐり連なる
境界
深く眠る視線は果てを知 ....
魔法瓶に夜空をみたし
ほの明りの朝、遠足に出かけた
あいさつをしたら
光の丘で
化石だった風が
重く熟して
翼となった
種子
小さく{ルビ瞬=まばた}きをすれば
霧散している光へ ....
三日月を笑う
瞳の奥には
最果ての傷がひそむ
傷つくことをおそれて
前へ進めるのか
団地の裏の
十字路を
青やかな銀河の右旋系
空き地の{ルビ草原=くさはら}に影が伸びる夕景
....
鏡に映す)顔が白く仄めく
朝日の刻々と刻む音に
変容する影
どうしてか かなしくなる
私という生きものは、。
例えば(いけないかしら躍るように)、
昨日買った手鏡が、
私を映すという ....
彩るうたを{ルビ口遊=くちずさ}む
こんな命があるかしら
{ルビ水=み}の{ルビ面=も}に蝶が浮いている
ちらともせずに浮いている
こんな命があるかしら
あすを知りえず浮いている
....
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