すべてのおすすめ
降り立った夏の停車場せみたちの鳴き声拍手喝采のごと
実家へと歩く田園風景のさびしきひとりと描かれる夜
秘密基地としての廃屋いまはもう月光だけの棲み家となりて
失った記憶と ....
もう大人になった気がして二本足で立つことにした誕生日
「生命線を持って生まれたかった」スクラップされていくロボット
大福だと思って食べたら素甘だったという悲しみを背負う
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暖かな雨に追われて迷い込み君と出会った六月の町
徒に花びら数え占った恋の行方を君も知らない
花は花やがて綻び散るものの定めの前に花鋏有り
裏庭でか ....
好きなもの 好きだと言えない その気持ち 空に浮かんで 星屑になる。
{引用=011:都}
ただここにいるんだよって告げたくて座標なき都さまようアネモネ
{引用=012:メガホン}
汗だくでパスワードはじくメガホンが甘い言葉は要りません、と夏
{ ....
数式で埋め尽くされている短歌学習帳 静かな生活
繁華街首を絞めあう帰り道一人で買った大学ノート
地下鉄に紙を破って貼り付ける立てないくらい花の色です
すれ違う君が脱いでるスカートのほ ....
こめかみのヘアピンわすれ髪ながす止めるひつようあったのかどうか
誰にでもやさしくするのは自分にもやさしいことにほんとになるのか
日本語で言えないことを英語でも話す必要あるの ....
ジャケットの裏に内緒でしのばせた四月のピンクと怯える自分
こっくりと深い音をたてながら埋めたい距離と倍速の{ルビ時間=とき}
自家製の梅酒を{ルビ口実=ネタ}におしかけるグラスの氷は溶けか ....
中庭に緑の影を落とすのは独りのために建てられた家
階段と蔦からむ窓ゆらす音めぐりめぐる手すがた持たぬ手
門と門くぐる者なき中庭に降る雨のよな鳥たちの影
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花びらを コーンフレークに 混ぜてみる 君との 甘いキスの 味かも。
原に舞う少女の肩に髪の毛に見えない蛇がうずくまる午後
くずおれた樹と鉄塔は野に沈み過ぎゆくものの夢をみている
花ひとつ口に含んでまた戻し蛇と少女の無言のくち ....
ぼくたちを結ぶ機会を握ってる獣は未だ箱舟の中
辿り着く場所はどこだかわからないゴタゴタしてる神様の庭
迷い込む羊の群れのただなかできみとよく似たガラスを探す
抱きしめるガ ....
フラッシュが焚かれて君は三歳じゃ作れなかった微笑みをする
「帰ろうって決めたのはいつ?」「おとといの君の電話が二度鳴った時」
空なんて仰がなくたって小銭入れの中に銀色の桜ひ ....
雪のないアスファルト踏む嬉しさに駆け出して跳躍 春が好き
こりこりと先のほうから順番にリズムとられる 竹の子が好き
{ルビ冷酒=ひやざけ}と桜とおにぎりがあればふわりと楽しい 御花 ....
謳歌する冷蔵庫の中の牛乳 冷える身体は一人のもので
日曜の午後の桜の眩しさに白昼堂々犬を買います
僕が犬を触ることができるのは夜に牛乳皿を割るとき
君と犬の似ているところ探しては沈む夕日に口笛を ....
君と手をつないで見てる赤い空 春の毒皿どこまで喰らおか
満ちてゆく月を恨みつその日まで素知らぬふりで花摘む逢瀬
かの人を心で百度斬ったとて力なき手は髪を梳くだけ
つい ....
不安げに緑を歩む鳩の目がふと振り返り鴉になるとき
手のなかの鳥の器に降る震えこぼれゆくままこぼれゆくまま
いつわりの光の模様の窓をゆく姿を持たない鳥たちの列
....
いつまでも辿り着けないきみがいる村の名前も思い出せずに
寒村に降りだす雪の音階で深いねむりに落ちる 失恋
村々が燃えてゆきます雪の夜ひとつの火の粉とゆう名のあなた
赤い傘 ....
胸廓を侵されるなら服をぬぎ猛る桜に沈め嘲笑
「エロガッパ」中の結露に書く顔のガラスをすべる花は涙か
白酒とつまむ花びら香りなどわからなくても胎内に秘む
表情を知らないつぼみを唇ではさむ昼下がりの空のした
唇に花びらの裏の淡い色ついたと騒ぐ君が剥がれて
太陽を閉じたつぼみで隠すとき熱がしとしと茎に滴る
置いてきたひかり、はるかな百合 ....
粉ふるい男女のそれは喉に目にあれよあられに今年せつなく
マスタード月夜騒ぐよいつ帰る黄身にゆられて白身のぼくは
真夜中に詰めた音響ぱらぽろり明日の隙間かまだ夢かもし
戯言のぼくはとこ ....
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