月のかさは見えないけれど
ふかい雲のむこうでは
気象という名が動きそう
雪の端には
小ずるいねずみも
踏んでやろう
テレビ塔では
三尾のきつねが層になる
日はこの時ついに陰ることはなく
交叉点の信号が
青ざめて進めという
曲線に添った産声が
白い手で羽ばたき
円周率へ視線をおくり
目をふせた
ふせないで
みつめて
林檎の赤
....
朝は最初のひとりが前足を躓くと、慌ただしく、将棋倒しになって過ぎてゆく。落下してゆく。黒子だった冬が前面に出て罵声を上げて、季節の華やかな色を、乱暴に剥がしている。
冬の膨張は、僕の忘却の山 ....
いつのことでしたか
忘れてしまいましたが
絶句したその無言の先に
あの日がちらついていたのは、確かです
日溜りの微笑む
静けさのなか
涙は花ひそめ
無表情に泣いていました
それはか ....
ウルムの大氷期のそのさなか
夜の手触りと、ほのかな曳光に、
うらがえる雪はのぼりゆく
ひかりを帯びていて、
しゃん しゃん、雪が、
ともあれ、このように、考えのまえにすでに、寒さが
....
冬になったばかりの時には
どれほど待ち望んでいた寒さでも
春を渇望するぼくがいる
菜の花が咲く頃になれば
沢山の生命の芽が目に見えて嫌になる
冬は停滞してもいい気がしてた
勘違いな ....
外ってなんだ?物理的外界か?心理的外界か??
自分の外ってなんだろう
光が強ければ 影が濃くなる
ものを考えすぎれば動きが取れぬ 考えなければ生き残れない
言葉で人は救われもしない しかし ....
これだけは叶えてください
この瞬間だけでいいのです
世界を僕の思い通りに
平等でなければいけないのに
あなたは僕に対してだけは意地悪です
今まで一度たりとも
世界を僕のために動かしてく ....
朝の駅の構内で
改札の向こうからホームの階段を上る
黒い制服の青年が障害を背負う体を傾けて
こちらに向かって歩いて来る
眼鏡の奥の瞳には
いつも光を宿らせて
不器用な歩幅を
一歩 ....
背負つていた物が全部滑り落ちたから
もう其れなりに楽をしてるよ
君は如何
あたしが余計に
君に何か押付けてしまつたつて事は無いかい
極々稀に君の云つた言葉を思い出そう ....
細倉鉱山は
日暮れにどこかへ通じていく。
無人の坑道の先にあるのは
ほんとうの地名か
親しい人のまぼろしか。
夜,蔵王の山陰に
たよりない記憶はのみこまれ
吹き越す風に
....
郵便受けに溜まった新聞が日焼けしていた
古い日付は、風に晒されて
更に風化した遠いあなたの
背中に張り付いて
帰ってこない のに
201号室の、窓から入る西日を受けながら
忘れて ....
水たまり広がる波紋に耳すましきみのリズムでやってくる夏
砂浜に置いてきたもの捨てたものロケット花火と添い寝する夜
8月のリップカールのてっぺんで届きますよにぼくのメロ ....
長い眠り
そして夢
彼は水の底で 海の底で
静かに
雌伏の時を過ごしていた
そして眠り
またも眠り
心地良い水のゆらぎの中で
彼は際限なく眠りつづけていた
動乱の前の
不気 ....
自らの愚かな手で
目の前をさえぎる沼を
つくり出してしまった時は
でくのぼうとなって立ち止まり
かけがえなき友の背後から吹き抜ける
風の言葉に耳を澄まそう
私は木になりたかった
幾 ....
姉の おふるを使うん嫌やったょぉ
おそろの服いうてもなっ
色違いやねん
姉の着てる服の色のが かっこよく見えてさぁ
こっちがええっ!って言うてもサイズちゃうしさぁ
なんでも かんでも 姉が一 ....
星砂ヶ浜
夜 月光のまぶしさに
まばたき出来ない お魚が
目に焼き付ける 星のまたたき
しばしば するので 砂で洗った
こそこそ するので 飛び跳ね回っ ....
降り立った夏の停車場せみたちの鳴き声拍手喝采のごと
実家へと歩く田園風景のさびしきひとりと描かれる夜
秘密基地としての廃屋いまはもう月光だけの棲み家となりて
失った記憶と ....
夜店行くと いつも買ってた
友達と みずあめがついた二本の割り箸くるくるまわして
透明な みずあめが空気をふくんで真っ白に変わる
しろぉーくなったら もぅ一本貰える
もぅ一本欲しくて
....
何か掴まなければ と
恐れなくてもよいのだ
いつでも繋げるように
私の両手は空いている
嘗て星々に触れたとき
驚きながらも微笑んだ
一秒よりもはやく
私たちは老いてゆくから
....
水平線から屹立する歪んだ石棺の中で、僕は世界を描いている。つねに覚醒する神々の息吹に合わせて、僕は一日を造形する。鳥たちは朝と昨日とを見つけ、太陽は残酷に衣装を剥ぎ取る。選ばれているのだ。だが、奪われ ....
細かにえぐられた容積を抱え込む椎の木立が潜熱としての意味を失う地点であてどなくさざ波は広がる。枝間からこぼれ落ちる木の葉ははじまりを告げる単音を虚空に受精させ大気がむららと熟するのを苔のように待つ。
....
整然と刳り貫かれた窓の間、とびとびに漏れている明かりや疎らに設置された室外機が積み重なって、聳え立つ
黒い水の跡は長く伸びている
その営みの銀河は世界の最果てに向けた巨大なサインに似ていた
....
こんなにも
ひろびろと
あおいかぜのなかで
ぼくらは
とりになれない
だから
くもよ
ぼくらは
こうしてねころんで
かぜをつるのだ
そらのしずくが
ふたつ
いただきにさ ....
いつくしみ、それから。
海辺に立って眺めると、世のなかのへりが見える。すべてひとはそこから滑り落ちていく。花や木や鳥や雲、それからコカ・コーラやマルボロは落ちていかない。滑り込むのは、僕らの時間ばか ....
すでに言葉ではないものからはじめよう
はじまるまえのはじまりから
もうすぐ鳥がなく
ひとのきざはしに立って埋もれながら
四月が来るというのに雪が降る
路上に垂れた釣糸はみな切れていっ ....
風に揺られていたね
僕らはなにも選べずに
別れの言葉を強いるのは夕風
信じることも疑うことも
選べずにいた
僕らを置き去りにして
地球 ....
涙する者は
死んだあと
青いかなしみとなって
宇宙遠方の
つめたいの霧のなかを
何かを考えてるふうに 歩き続けます
ひとが何光年もの希薄のなかを
さまようはずは ないです ....
ああ、またここから、始まる
無意識にながれる所作に
ときどき
生まれる、感覚
蛇口をいきおいよくひねり
じょうろへと水を注ぐ
そんな、とき
朝が、
おとといよりも
昨日よりも ....
「壇上から号令 お空のマーリィを降霊
横揺れパルス 我らカラスの群れ
ラブをまぶしたピースにピス
withシーツでバラす我らカラスの群れ
怨霊マーリィ憑いたガーリィの悪阻
千の偽り ....
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