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ほうほうと
夜を捜す声がする
ほう 一羽飛び
ほう 一羽飛び
またひとつ木は居なくなる
雨のなか
しっかりと手を握る子ら
緑の闇に
飛び去る羽音を見つめている
....
鏡台につもる
見えない髪の毛
ふさふさとこぼれ
足指に触れる
鏡のふところにあなたはいる
鏡の声に応えるあなたと
ほころぶような微笑みと
映ることのないわたしを見 ....
あくびする猫
ふたたび眠りにつく
あたたかさの支配者
頭上の見えない王冠の
むずがゆさに目を閉じる
....
白い波
濁る波
沈みかけた町からきた鳥
海から川へと流れこむ夜
星を噴く船
波に呑まれてゆく船
なまぬるい風
雷光の蝶
月の光の顔をした
羽毛と追 ....
憎しみを憎めぬ己に目をつむり走りつづける霧の日の朝
手をつなぐふたつの季節の境いめのついばむ鳥さえいない花の実
何もかも光も土も不確かな滝のように流れるふち ....
春の花ほつれゆくまま雨模様
現し世のなべて二重の涙かな
雨の舌双つの蝶を行き来する
手のなかに生まれ滅びる己かな
留めおく術も失くし ....
花に目をふせ
空を喰み
目の内の手に
空を聴く
花に 花に かたむく火
花に 花に したたる火
からだのどこかに揺れ育つ
ひとつの荊に耳すますとき
水の気配 ....
手のなかの金魚がたどる路
響きのための階段を
宵宮の光が駆け上がる
かわいた飲みもの 食べものの跡
においはずっとたたずんでいる
街にやって来た映画の群れ
ひとつの方を ....