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おれは今朝、
22口径のリボルバーを携えて
川沿いの安アパートを出て
車検切れ間近のポンティアックで
43号線を西に向かって
安物のカーステレオで
大音量のジョン・ゾーンをかけて
掌 ....
淀んだ感情にくるまれて
不安げな蛍光灯が影を揺らす
遠くに
まるい光がぼんやり見えてくると
敏感な肌が泡立つように怯え始める
やってくる
近づいてくる
しがみつくものもない孤 ....
ゆるく、なります
( ゆるく、なります )
髪の毛の先っぽ
まで
凍ったまま、に
肩までつかっては
たちのぼって消える
白、を
ひとすじ、ひとすじ、
つむいでゆく
と
わ ....
兄はまだ小学生相撲大会の賞状を
大事にしているだろうか、と
扁桃腺の手術後
縫合を忘れられたままの婿養子は
まだ考えているだろうか
ふとバス停に波は寄せて返し
沖に流されていく砂の ....
木々のはざまの灯をくぐり
遠い雨の声は届いて
うねりは低く道にほどけて
夜から夜へと紋をひろげる
冷たい翠が空につらなり
生きものはいないと告げている
灰のなかの白 ....
あなたを想って
一つ一つ記憶を浮かべていたら
どこからか笑い声が
鎖骨のくぼみに頬を近づけて
澄んだ胸を押さえると
その声が
自分の中の空洞で響いていることに
気づきました
そ ....
いつもいつもいつも
いつもいつもいつも
いつも
夕になったら眠くなってしまって
そのまま夢に消えてゆく
タイム・イズ・マニィ
いつの間に
僕は夜のしじまに焦がれてしまったのだろう
....
死ぬに死ねない冬の蜂が巣からはい出す
ふかふかと暖かな布団が空を舞う朝
木々は消えかけた希望を吸い上げ
鳥たちが絶滅の歌を歌い
落ちてきたものを受け止めかねて彼女は俯いた
遠い泥 ....
まわりくどい
いいまわしとか
いわんといてや
さっき何で
もめてたんや?
消えた消えた
元栓止めた
そんなことして
どないすんねん
10階から携帯おとしなや
で壊れんか ....
障害年金とれるかな
年金財政ぼーろぼり
「先のことを
ゆっても仕方ないよ」
つーのも、わかるが
マグマ
噴火火災竜
死人にくちなし
怒るやつらは
メディアの中
....
娘は一人で
虎を狩りにゆく
右手に聖書
左手には弓
娘はまだ
虎を見たことがない
どこにでも
約束は無いとして
真夜中で
月の沈む場所
緩やかな寝息で
どこへ落ちていく私にも
約束できる
ものは無いとして
少し
はぐれる
月の端を狙撃して
落ち ....
おまえはスポンジ
濡れたらドボドボで
乾けばパフパフで
中身なんてない
重みもない
いつでもだらしなく
欲しがってばっかりで
与えても
与えても
与えても
与えても
何の役にも立 ....
遠いめまい
かすむ声
押さえても届かない
痛み
息ができるほどの
苦しさ
穴に吹き込む風
根拠のない寒さ
血のような涙
どれもこれも
あなたを悩ます
無意識に探す
安らぎ
水 ....
さんだるで掃いて
町を踏めば
そりゃあ素敵な
ターミネイターが
生えてくるけど
ここはどこやと
金属の葉をゆらすので
まちな
ちょっと聞いてくるわと
コンビニの店長に
聞くと
....
片目で世界を視る
右
左
それぞれひとつずつ
似ているけれど
どこか違う世界
それらを混ぜ合わせて
適当に妥協させた世界に
私たちは生きている
私の目の前 ....
遠くから はさみの鳴る音が聞こえる
それはとても正確で 狂いの無いリズムで
冬の雲を切りそろえ 月の出る準備を
飛び散った雲は星に変えよう
はさみの刻む音で 月がくる
光輪のファーを巻き ....
僕は波に濡れ
波に濡れたままずぶ濡れとなり
絶え間なくそれは
断続的にそれは
いつまでもそれだった
それって
日テレ?
いえ蛋白質の軽めやや三十倍程度の喪中
ツモ
ラスハクで ....
冬には空が降下する
みんな誰も見てないし
奪えるものがあるなら
私から奪って構わない
(雪霧の向こうに浮かぶ
あれは管制塔の光源だ
低い轟音を響かせて
離陸す ....
パンツ を はいていない わたし は
はいていない わたし の パンツ を
わたし は パンツ を はいていない
はいていない わたし の パンツ を
パンツパンツパンツパンツ ....
たぶん祈りには何の意味もなく
そんなことなど承知の上で
とうに終わった宴のあとを
涙ぐみながら眺めているのです
宴が終わっていることは知っています
でもそれを認めたくはないのです
訪ねてい ....
ぴんと張った背中を
つむじ風が
らせん状に、なでて
どうしてか
しのび足でわたってゆく
ので
今いる場所がほんとうは
うすい
一枚の氷の上なのだと
冬が深まるごとに、気づく
....
娘が補助輪無しで
自転車に乗ることが出来るようになった
それは昨日のこと
最近左手がきかぬと
父がペットボトルの蓋を人に開けさせた
それは今朝のこと
僕は時のパズルと戯れながら ....
はじめに世界があり
世界には
あたりまえのように
卵があった
時が満ちて卵は孵り
そこからアダムとイヴが産まれた
アダムと
イヴは
であった次の瞬間には
アタマと
インブになり ....
深夜の駅のホームを飛び降りて
線路の上に独り立ち
北風に吹かれながら
オリオン座の方角へと吸い込まれるように
敷かれた線路の向こうに待つ明日を
全ての葛藤を貫ぬいて光る眼差しで{ルビ睨=にら ....
バスにゆらゆら夢をみたの
バスはぬくぬくだから夢をみたのよ
誰もが幸せで誰もが不幸せ
誰もが幸せでとっても不幸せ
青空一面のジグソーパズル
一生懸命取り組んだけどピースが足りない
ピースが ....
建築現場の鉄骨が
空の重さに耐えている
昼下がり
子供たちがホースで虹をつくる
二階のベランダから身を乗り出す猫
視線の先には
鳥が羽を休めている
鉄骨が発する低い唸り声が
体 ....
「これを採るにはこうするんや」
と
口を大きく空に開けて
走り回っている
おとうと
おおきすぎるそれがちょっとこわい
私に
「これ、わたがしの味がするでぇ」
と
たくさんの
....
細かな雪が
隙間なく降りそそいでいる
長く低い壁の向こうに
巨きな一本の老木があり
黒と銀にたたずんでいる
動きも音も雪のもので
老木は自身の他は持たぬまま
ただ ....
買ってくださいとうつむき加減に
冷えた指先は白い花を思わせた
不幸を売り物にできる時代じゃない
他をあたれよと背を向けたとき
飛ばされた風に散らばる花片
見開かれたままの瞳は残像をとらえ
....
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